IKAROSプロジェクト立ち上げの経緯
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/04/05 08:22 UTC 版)
「IKAROS」の記事における「IKAROSプロジェクト立ち上げの経緯」の解説
科学衛星・探査機は、通常ならば開発に5年以上の時間をかけるのに対して、この「イカロス」は計画開始から打ち上げまで2年半しかなかった。しかも予算総額は15億円と、通常の探査機に比べれば1桁少ない。これは、この「イカロス」計画が単独の実験として計画された探査機ではなく、金星探査機「あかつき」の付帯プロジェクトとして提案された探査機であったためである。金星探査機「あかつき」は当初、M-Vロケットで打ち上げる前提で設計が進められていたものの、途中でM-Vが廃止されたため、H-IIAロケットを使用しての打ち上げに変更された。そこで、H-IIAでも正常に打ち上げられるか解析した結果、金星探査機「あかつき」では軽過ぎるせいで、H-IIAの第2段で加速している間の振動が、許容範囲を超えてしまうという問題が見付かった。この振動の問題を解決するためには、500 kgの「あかつき」以外に、700 kg近いダミー・ペイロードをH-IIAに搭載する方法によって、振動を抑制するしかないと判明した。そこで、H-IIAの打ち上げ能力の余剰分を有効に使うために「あかつき」だけでなく、ピギーバック衛星の追加が決められた。この「イカロス」計画は、こうして開始された。「イカロス」を提案したのは、小惑星探査機「はやぶさ」の開発・運用を指揮した川口淳一郎で、振動解析の結果が出てから1週間で提案書を書いたとされる。
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