ブレダ (フン族)とは? わかりやすく解説

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ブレダ (フン族)

(Bleda から転送)

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2024/05/28 14:39 UTC 版)

ブレダとアッティラ。
Tulipán Tamás画

ブレダBledaギリシャ語:Βλήδας[1]またはΒλέδας[2]390年頃 - 445年頃)は、フン族の共同王の一人。もう一人の王は有名なアッティラである。

生涯

4世紀ヴォルガ川東方から現れた遊牧民のフン族は、アラン族ゴート族を征服して東西ローマ帝国領に侵入した。433年には西ローマ帝国の将軍アエティウスとの取引により、パンノニア領有を認められた。

ブレダは390年頃にフン族の王族ムンズクの息子として生まれた。434年に伯父のルーア王が死去し、ブレダとアッティラの兄弟がフン族の王となった。

即位当初、ブレダとアッティラは東ローマ帝国と条約を結んで貢納金を倍額とさせ、フン族からの逃亡者たちを送還させた。その後数年間は東ローマ帝国との間で和平が保たれていたが、439年に和平は破れ、フン族は東ローマ帝国領へ侵入しイリュリア諸都市を破壊して略奪した。

東ローマ帝国は軍隊をシチリアから呼び寄せて対抗したが、フン族は443年に再び東ローマ帝国領へ侵攻、東ローマ帝国軍を撃破してコンスタンティノープルへ迫った。抗う術を失った皇帝テオドシウス2世は、多額の貢納金の支払いを認める講和を余儀なくされた。

ブレダの人物像を伝える記録は乏しく[3]、僅かにツェルコというムーア人小人にまつわる逸話が残っているのみである。ブレダはツェルコに道化をさせて楽しみ、彼が逃亡すると激怒して捜させた。ツェルコを捕らえ逃亡した理由を質すと、彼は「妻を与えてくれないからです」と答えた。ブレダはコンスタンティノープルから侍女を一人寄こさせようと誓ったという[4]

この和平期間中の445年頃にブレダは死去した。狩猟中の事故で死んだともされるが、真相は不明であり、一般的には弟のアッティラによって殺されたと信じられている[5][6]。ブレダの死により、彼に従属していた諸部族はアッティラの支配下に入り、アッティラがフン族唯一の王となった。

ブレダの死後、プリスクスら東ローマ帝国の使節がブレダの妻の一人が支配する村に立ち寄り、歓待された記録が残っている[7]

小人のツェルコは449年西ローマ帝国の将軍アエティウスへの贈物にされ、アエティウスは彼を元の主人に返している[8]

マジャル人ハンガリー人)は自らをフン族の後継者と信じており、ハンガリー国歌はハンガリー国民を「ムンズク(Bendegúz:ブレダとアッティラの父)の血筋」(Bendegúznak vére)と詠っている。ハンガリーの首都ブダペストブダ地区は、ブレダ(ハンガリー語でBuda)の名に由来する[9]

注釈

脚注

  1. ^ 5世紀の歴史家プリスクス(en)による
  2. ^ 6世紀の歴史家プロコピオスによる
  3. ^ 「図説 蛮族の歴史」p55
  4. ^ 「フン族―謎の古代帝国の興亡史」p81
  5. ^ 「フン族―謎の古代帝国の興亡史」p95
  6. ^ 「アッチラ王とフン族の秘密―古代社会の終焉」p101
  7. ^ 「フン族―謎の古代帝国の興亡史」p119
  8. ^ 「フン族―謎の古代帝国の興亡史」p138
  9. ^ 複数由来があるのでブダペスト#呼称参照

参考文献

  • 「アッチラとフン族」(ルイ・アンビス著、安斎和雄訳、白水社、1973年)ISBN 978-4560055366
  • 「アッチラ王とフン族の秘密―古代社会の終焉」(ヘルマン・シュライバー著、金森誠也翻訳、佑学社、1977年)
  • 「フン族―謎の古代帝国の興亡史」(E・A・トンプソン著、木村伸義訳、法政大学出版局、1999年)ISBN 978-4588371080
  • 「図説 蛮族の歴史 ~世界史を変えた侵略者たち」(トマス・クローウェル著、 蔵持不三也訳、原書房、2009年)ISBN 978-4562042975



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