2億円トイレ
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2025/06/19 04:51 UTC 版)
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トイレ5 | |
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情報 | |
用途 | トイレ[1] |
設計者 | 米澤隆建築設計事務所[1] |
施工 | 西村工務店[1] |
建築主 | 公益社団法人2025年日本国際博覧会協会[1] |
管理運営 | 公益社団法人2025年日本国際博覧会協会[1] |
構造形式 | 鉄骨造[1] |
建築面積 | 185.14 m² [1] |
延床面積 | 246.04 m² [1] |
階数 | 1階建て[1] |
高さ | 5.65m[1] |
開館開所 | 2025年4月13日 2025年10月13日閉館 |
所在地 | 大阪府大阪市此花区夢洲 |
座標 | 北緯34度39分7.5秒 東経135度23分4.1秒 / 北緯34.652083度 東経135.384472度座標: 北緯34度39分7.5秒 東経135度23分4.1秒 / 北緯34.652083度 東経135.384472度 |
2億円トイレとは、2025年日本国際博覧会(大阪・関西万博)の会場に設置されたトイレの一つ。正式名称はトイレ5[2]。若手の建築家が手掛けた「デザイナーズトイレ」の一つである[3]。
内容
鉄骨や鋼板で組み立てられた複数の棟で構成され、カラフルな積み木のようなデザインが特徴的[4]なトイレで、46の便器を備える[5]。設計したのは米澤隆で、本人はこれを、1970年の大阪万博にて終焉を迎えたと言われている、建築の「生命性」について思考した 建築思想「メタボリズム」を、55年の時を経てアップデートしてリバイバルさせたものとしており、積み木のようなデザインにすることにより、閉会後はユニットごとに解体し、公園や広場などに移設して、その場に必要な数や形に組み換えることができる設計となっている。また、カラフルなユニットを緩く連帯させながら共存させることで、万博の会場デザインコンセプトである「多様でありながら、ひとつ」を表現している[6]。
施工会社の入札は難航し、2023年7月と2024年2月に入札が行われたがいずれも成立しなかった。そこで、2024年6月には延床面積を300平方メートルから246平方メートルに縮小するなど施設を簡素化し、撤去工事込みの予定価格を当初より約2000万円減の1億5300万円に引き下げた上で入札が行われた。その結果、2社がこれと同額で応札し、くじ引きの結果、西村工務店が落札した。トイレの1平方メートルあたりの費用は約62万円で、経済産業省によると、2016年から2022年の公衆トイレの1平方メートルあたりの建設費用である約74万円を下回る[5]。
反応
2024年2月15日8時、ダイヤモンド社が「トイレ1カ所に2億円!「大阪万博は全てデザイナーズトイレ」で、また税金が消えていく」と記事を投稿した。この記事はSNSで拡散され、その結果、万博のトイレが「2億円トイレ」と呼ばれ「高額だ」と批判の対象となった。ただし、当時「2億円トイレ」と呼ばれていたのは、2024年3月21日時点でそれぞれ撤去工事費を含め1億9228万円と1億8244万円で落札された2箇所のトイレであり、トイレ5は当時落札されていなかった[7]。これについて吉村洋文大阪府知事は、2億円で契約した大規模なトイレがあることを明らかにしつつ「大規模なトイレは便器数も50~60基ある。平米単価にすると、実は、一般の公共施設のトイレと1基あたりの値段は大きく変わらない」とした[8]。
「2億円トイレ」がトイレ5を指す呼び方として認識されたのは、その翌年の3月10日にXにて投稿された、女優の毬谷友子による画像付きの投稿が発端である。投稿では「2億円かけて作られた万博のトイレだそうです。さすがに我慢の限界です。怒りで震えています。明細を国民に見せて下さい」といったコメントに、トイレ5の画像が添付されていた[9]。この投稿は同年3月14日地点で3.5万件以上リポストされた他、表示回数は2500万回を超え、話題となった[10]。しかし、実際に話題になった画像はトイレの一部分を切り取ったものであり、実際には大規模なものであった。日本ファクトチェックセンターはこのトイレについて、建設・撤去工事一式で1億5000万円ほどで落札されたものだとしている[11]。設計者の米澤隆も投稿に反論した上で、「『2億円トイレ』という名称が、ラグジュアリーなものを想像させたことで、現実とのギャップを生み、批判につながった」との見方を示した[12]。
一方、この騒動でトイレ5の知名度は上昇し、万博に訪れた際の目的地として注目を集めている。設計者の米澤隆は5月30日、Xを更新。トイレ5の状況について「20代前半の女性4人組は『わぁ~2億円感じたぁ~?』、スーツ姿の男性3人組は『先輩、これがアートっていうもんらしいでっせぇw』、小学生達は『2億円トイレでしょんべんしたったぁ~!』、子供連れファミリーのお父さんは『これはなぁ、工事金額が高いと騒がれておるがなぁ、物価上昇というのがあってぇ、、、公共のトイレと比べるとぉ、、、』などなど」と利用者の反応を紹介した上で「もはや、イジられコンテンツと化しているのを実感する」「そのどれもに悪意は感じなく、愛情のようなものすら感じる」と綴った[2][13]。
出典
- ^ a b c d e f g h i j “トイレ5”. 施設等の移築 リスト公開サイト. 2025年日本国際博覧会協会. 2025年6月18日閲覧。
- ^ a b “万博「2億円トイレ」は今や“イジられ名所”? 設計者が明かす愛あるイジり”. ENCOUNT. Creative2 (2025年5月31日). 2025年6月18日閲覧。
- ^ “【物議】大阪万博に“2億円デザイナーズトイレ”を設置 「わざわざお金をかける意味が分からない」街からは賛否の声”. FNNプライムオンライン. フジテレビジョン (2024年2月21日). 2025年6月18日閲覧。
- ^ 「「2億円トイレ」のイメージ図など公開 大阪・関西万博」『毎日新聞』2024年6月4日。2025年6月18日閲覧。
- ^ a b 「高額の予定価格に批判、万博「2億円トイレ」3回目の入札で施工会社決まる…1億5300万円に引き下げ」『読売新聞』2024年6月13日。2025年6月18日閲覧。
- ^ “若手20組の万博“新風”総まくり(下):東エリアでも注目株が輝き、冴えていた藤本壮介プロデューサーの若手差配”. BUNGA NET. ブンガネット (2025年4月30日). 2025年6月18日閲覧。
- ^ 「2億円トイレ騒動 万博協会は詳細説明せず 批判続出、建築家「理念伝わっていない」と憂慮」『産経新聞』2024年3月22日。2025年6月18日閲覧。
- ^ “2億円の『万博トイレ』 「建築家が、トイレに魂も吹き込んでいます」と吉村知事 1基あたりの価格は通常の公共トイレと変わらないとの認識”. FNNプライムオンライン. フジテレビジョン (2024年2月20日). 2025年6月18日閲覧。
- ^ “女優、万博の2億円トイレに怒りもツッコミの声 「一般の公衆トイレより安い」”. J-CASTニュース. ジェイ・キャスト. 2025年6月18日閲覧。
- ^ “2億円かけて作られた万博のトイレ? 画像は一部【ファクトチェック】(修正あり)”. 日本ファクトチェックセンター (2025年3月21日). 2025年6月18日閲覧。
- ^ “開幕直前──大阪万博の“デマ”真偽は? 「2億円トイレ」「無駄遣いにもほどがある」をファクトチェック リング崩れる?”. 日テレNEWS NNN. 日本テレビ (2025年4月10日). 2025年6月18日閲覧。
- ^ “大阪万博2億円トイレ問題に建築家・米澤隆氏が反論「設計意図を理解してほしい」”. coki. Sacco (2025年3月17日). 2025年6月18日閲覧。
- ^ “「愛情のようなものすら...」万博〝2億円トイレ〟42歳設計者が耳にした実際の評判とは...「もはや万博内の観光名所になってる」「そのポジティブさが素晴らしい」の声”. OTTO!. 西日本新聞社 (2025年5月31日). 2025年6月18日閲覧。
外部リンク
- トイレ1カ所に2億円!「大阪万博は全てデザイナーズトイレ」で、また税金が消えていく - ダイヤモンド・オンライン
- 2億円トイレのページへのリンク