非簡約的代数的構造
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2020/05/01 09:57 UTC 版)
簡約法則は実数や複素数の加法、減法、乗法、除法に対して(0 を掛けることと別の数によって 0 を割ることの例外だけを除いて)成り立つが、簡約法則が成り立たない代数的構造はたくさんある。 2 つのベクトルのクロス積は簡約法則に従わない。a × b = a × c であるとき、a ≠ 0 であったとしても、b = c は従わない。 行列の乗法もまた簡約法則に従うとは限らない。AB = AC かつ A ≠ 0 のとき、B = C と結論する前に、行列 A が可逆であること(すなわち det(A) ≠ 0)を示さなければならない。det(A) = 0 であれば、B は C と等しくないかもしれない、なぜならば行列の方程式 AX = B は非可逆行列 A に対して一意的な解を持たないからである。 AB = CA かつ A ≠ 0 かつ行列 A が可逆(すなわち det(A) ≠ 0)であるとき、B = C が正しいとは限らないことにも注意しよう。簡約できるのは AB = AC および BA = CA に対してのみ(もちろん行列 A は可逆として)であって、AB = CA と BA = AC に対してはできない。
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