複合粒子の異常磁気モーメント
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/11/23 07:55 UTC 版)
「異常磁気モーメント」の記事における「複合粒子の異常磁気モーメント」の解説
バリオンなどの複合粒子は非常に大きな異常磁気モーメントを持つことがある。古典的には電荷質量比 q/m の荷電体が角運動量 L で回転するときの磁気モーメントは μ = ( q / m ) L {\displaystyle \mu =(q/m)L} で与えられ、これに基づけば、陽子の磁気モーメントは核磁子 μ N = e ℏ / 2 m p {\displaystyle \mu _{\text{N}}=e\hbar /2m_{\text{p}}} となり、中性子は電荷をもたないので 0 となるはずだが、実際は陽子の磁気モーメントは核磁子に対して μ p / μ N = 2.792 847 344 63 ( 82 ) {\displaystyle \mu _{\text{p}}/\mu _{\text{N}}=2.792\ 847\ 344\ 63(82)} であり(2018 CODATA 推奨値)、中性子の場合は μ n / μ N = − 1.913 042 73 ( 45 ) {\displaystyle \mu _{\text{n}}/\mu _{\text{N}}=-1.913\ 042\ 73(45)} である(2018 CODATA 推奨値)。 一方で、陽子が電荷を持たない中性子と電荷を持つパイ中間子 π+ に、また中性子も負の電荷を持つ π− と正の電荷をもつ陽子に、それぞれ分裂する崩壊過程が観測されている。クォークモデルでは、陽子や中性子が実際は電荷をもったクオークの複合粒子であり、崩壊過程がそれぞれ p ( u u d ) → n ( u d d ) + π + ( u d ¯ ) {\displaystyle \mathrm {p} (\mathrm {uud} )\to \mathrm {n} (\mathrm {udd} )+\pi ^{+}(\mathrm {u{\bar {d}}} )} n ( u d d ) → p ( u u d ) + π − ( d u ¯ ) {\displaystyle \mathrm {n} (\mathrm {udd} )\to \mathrm {p} (\mathrm {uud} )+\pi ^{-}(\mathrm {d{\bar {u}}} )} として説明される。陽子や中性子の磁気モーメントは、それぞれを構成するクォークの磁気モーメントについて重要な手がかりを与えている。
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