自走客車とは? わかりやすく解説

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気動車

(自走客車 から転送)

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2024/03/23 15:52 UTC 版)

気動車(きどうしゃ)とは、人員・荷物もしくは貨物を積載する空間を有し、動力源として内燃機関蒸気機関などの熱機関を搭載して自走する鉄道車両である。


注釈

  1. ^ 一部の鉄道ファンが使う「キハ」という呼称は、鉄道省が定めた「三等(座席)気動車」(現在の普通気動車)に当てた用途記号に過ぎず、気動車全体や気動車列車を表すものではない。
  2. ^ 但し、「DMU」(Diesel Multiple-Unit) が動力分散式のディーゼル列車を意味する言葉であるのに対し、日本語の気動車は蒸気動車、ガソリンカーも含む点で異なる。日本語の気動車の意味により近い英語にはSelf-propelled Railway Vehicle(もしくはSelf-propelled Car)がある。
  3. ^ 1930年代にドイツ・ユンカースユニフロー掃気ディーゼルエンジンを輸入搭載して新造されたものや、太平洋戦争後に既存気動車に民生デイゼル工業製の自動車クルップ式やデトロイトディーゼル式のユニフロー掃気エンジンを換装搭載した事例が数例ある。
  4. ^ 国鉄で気動車開発に携わった技術者が、1930年代中期、2ストロークディーゼルエンジンが低回転でも高出力を得られることに関心を示していた形跡が、発表された論文等で確認できるが、実際の採用にまでは至っていない。(例)伊藤三枝(鉄道省工作局技師)「ディーゼル動車用機関の形態に就て」(「機械學會誌」213号p43-44 1935年1月)等
  5. ^ 発生したガスは使用した燃料により「木炭ガス」、「シンダガス」等と呼ばれるが成分的には大差がないものである。
  6. ^ 戦時中は正規の燃料油以外の燃料を代用燃料と称した。代用燃料を使って走行する内燃動車が代用燃料車である。天然ガス動車も戦時中は代用燃料車の一種として扱われた。
  7. ^ 車体が傾斜した際、プロペラシャフトに大きなトルクがかかっていてもスムーズに伸縮できるように、ボールベアリングを数列並べた伸縮機構を持つプロペラシャフトを導入した。
  8. ^ 但し、2010年代にはバッテリー駆動車両(JR東日本EV-E301系電車など)のように連続した架線設備がなくても走行できる電車も開発されており、これらの点も必ずしもメリットとはいい切れなくなっている。
  9. ^ かつての日本では、編成中の1両1両が違う形式で組成された気動車列車は国鉄・私鉄を問わずありふれたもので、1950年代から1970年代にかけて製造された形態も塗色も違う複数系列の気動車群が「気動車の展覧会」の如く凸凹だらけの長大編成を組んで走り回っている光景は、国鉄時代には珍しいものではなかった。
  10. ^ 例として直流電化交流電化の境界が存在する羽越本線村上駅-酒田駅、およびえちごトキめき鉄道日本海ひすいライン糸魚川駅-直江津駅間の普通列車には、製造コストのかさむ交直流電車の代わりに気動車が運用されている。また、現在は富山ライトレールとなった富山港線では、その末期、電化区間ながら日中の列車にワンマン運転が可能な気動車を投入していた。肥薩おれんじ鉄道も旅客列車は交流電車ではなく気動車による運転である。2012年10月から室蘭本線苫小牧駅 - 東室蘭駅間の普通列車も全区間交流電化区間でありながらコスト削減のため従来の電車に代わって気動車によるワンマン運転が行われている。
  11. ^ 国鉄MT54形主電動機の場合、直流形電車交直両用形電車では印加電圧が375 Vで、電動車1両あたりの出力は120 kWx4=480 kWであるが、架線電圧の高い交流専用車では印加電圧が500 Vとされ、1両あたりの出力は150 kWx4=600 kWとさらに大きい。
  12. ^ ただし、2010年代後半には、電化区間と接する短距離の支線において蓄電池電車が使われる例も見られる。
  13. ^ 旅客列車以外ではマヤ34形などの事業用客車を挟んで運行する例がある。

出典

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