自由選択許可のパラドックス
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/05/07 01:46 UTC 版)
「義務論理」の記事における「自由選択許可のパラドックス」の解説
直観的には、「あなたはソファで眠るかベッドで寝るかしてよい」という命題から、「あなたはソファで眠ってもよいし、あなたはベッドで寝てもよい」という命題が論理的に導けるように思われる。ところが、標準義務論理によればそのような推論は認められない。この問題を、自由選択許可(free choice permission)のパラドックスと言う。 上の二つの命題を標準義務論理によって表現すると、それぞれ次のようになる。 P ( s ∨ g ) {\displaystyle P(s\lor g)} P s ∧ P g {\displaystyle Ps\land Pg} 直観的には、 P ( s ∨ g ) → ( P s ∧ P g ) {\displaystyle P(s\lor g)\to (Ps\land Pg)} であるように思われる。しかし、この論理式は標準義務論理によれば恒真ではない。これがパラドックスである。 パラドックスを解消するために、 P ( A ∨ B ) → ( P A ∧ P B ) {\displaystyle P(A\lor B)\to (PA\land PB)} を公理として追加することも考えられる。しかしこの方策はうまくいかない。この公理を追加した場合、 ¬ O A {\displaystyle \lnot OA} が定理となってしまい、どんな命題も義務ではないことが帰結されてしまう。これではやはり直観に反することになる。
※この「自由選択許可のパラドックス」の解説は、「義務論理」の解説の一部です。
「自由選択許可のパラドックス」を含む「義務論理」の記事については、「義務論理」の概要を参照ください。
- 自由選択許可のパラドックスのページへのリンク