美術品の美術館における公開の促進に関する法律
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美術品の美術館における公開の促進に関する法律 | |
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![]() 日本の法令 | |
通称・略称 | 美術品公開促進法 |
法令番号 | 平成10年法律第99号 |
提出区分 | 閣法 |
種類 | 教育法 |
効力 | 現行法 |
成立 | 1998年6月4日 |
公布 | 1998年6月10日 |
施行 | 1998年12月10日 |
所管 | 文化庁 |
主な内容 | 美術品の登録制度 |
関連法令 | 文化財保護法 |
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美術品の美術館における公開の促進に関する法律(びじゅつひんのびじゅつかんにおけるこうかいにかんするほうりつ、平成10年6月10日法律第99号)は、個人や企業が持っている日本国内の美術品を、所有権は変えずに美術館や博物館で一般公開することを定めた法律である[1][2]。美術品公開促進法とも表記される[3]。
内容
美術品の価値および公開可能性を要件に、美術品所有者は文化庁長官の登録を受けることができると定める[5]。これにより、美術館での継続的な公開を確保する[5]。また、美術館には公開義務の他に、登録美術品につき善管注意義務が課している[5]。なお、所有者へのインセンティブとして、登録美術品に相続税に関して優遇措置をとる[5]。
背景
美術品の美術館における公開の促進に関する法律が成立した背景としては、バブル期に日本で盛んに購入された美術品を、日本国外へ流出させないための仕組みが必要だったことが指摘されている[2][6]。背景としては他にも、1980年代以降地方自治体で公立美術館を建設したものの、収蔵品購入のための予算が確保できていなかった事情が指摘される[6]。
評価
小林真理は本法について「いかにして、優れた美術品を『購入』せずに、日本国内にとどめるかという策ともいえる」と評している[6]。また、朝日新聞学芸部編集委員の田中三蔵は「企業には税制上のメリットがないことや、現存作家の作品は対象にならないことなどの不備が指摘されている」と報じている[2]。
脚注
- ^ 佐々木壮勇「法律の窓 海外美術品等の公開促進を目指して」『ジュリスト』第1430号、有斐閣、2011年10月1日、2頁、国立国会図書館書誌ID:000000011053。
- ^ a b c 田中三蔵「美術品の公開と秘蔵 現代のパトロンはだれか(探究・記者の目)」『朝日新聞』1999年6月26日、朝刊、16面。
- ^ a b 小林 2021, p. 199.
- ^ 「通常国会で成立した主な法律 成立率は83%」『朝日新聞』1998年6月18日、朝刊政治、7面。
- ^ a b c d 大村敦志『もうひとつの基本民法. 1』有斐閣、2005年、109頁。ISBN 4-641-13385-9。
- ^ a b c 小林 2021, p. 200.
参考文献
- 小林真理「美術品公開促進法・海外美術品公開促進法・美術品損害賠償法・文化観光推進法」『法から学ぶ文化政策』、有斐閣、2021年、ISBN 978-4-641-12630-5。
外部リンク
- 美術品の美術館における公開の促進に関する法律のページへのリンク