緊急列車防護装置とは? わかりやすく解説

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緊急列車防護装置

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2024/11/13 01:41 UTC 版)

緊急列車防護装置
JR西日本521系電車
クラッカープレート内の「緊急」と書かれた赤いボタン

緊急列車防護装置(きんきゅうれっしゃぼうごそうち:One Touch Operative Emergency Device)とは、列車に踏切事故など非常事態が発生またはその恐れがある場合に、運転士が行う必要がある一連の列車防護操作を、1つのボタンで迅速かつ自動的に行う装置である[1][2][3]。「ワンタッチ装置」[1]、「TE装置」とも呼ばれている。1972年以降、主に日本国有鉄道(国鉄)の電気機関車ディーゼル機関車に装備されはじめた装置で[2][3]、1985年以降は電車[3]気動車にも装備されはじめている。また、私鉄でも普及しはじめている。

通常TE装置を動作させるボタンは赤い大きなボタンで、運転席の操作しやすい位置に配置されている。ボタンによっては「緊急」と表記されている場合もある。ただし誤操作を防止するため、クラッカープレートなどで覆いを被せている場合がある。

このボタンを操作すると、主回路遮断(ディーゼル機関車、気動車の場合はエンジンのキルストップ)・非常ブレーキ作動・パンタグラフ降下(電気機関車・電車)・汽笛吹鳴60秒・防護無線発報・信号炎管点火・滑走防止の砂撒き・暖房のための蒸気発生装置(SG)の停止など、一連の列車防護操作が自動的に行われる[2]。ただし、圧縮空気の抑制のため、汽笛吹鳴と砂撒きは押下後60秒間だけ行われる[2]

西日本旅客鉄道(JR西日本)では521系3次車から脱線などの異常事態を検知し、TE装置を自動的に作動させる「車両異常挙動検知システム」を搭載し、既存車両についても207系体質改善車から順次搭載している。

私鉄の例

  • 京浜急行電鉄2100形から採用)では緊急スイッチと呼称し、使用した場合は非常ブレーキ動作、パンタグラフ降下、非常信号発報の3動作が行われる。2100形での採用以後、過去の形式の一部にも追設されている。
  • 京成電鉄3000形の途中から採用)・新京成電鉄N800形から採用)・北総鉄道7500形から採用)・千葉ニュータウン鉄道(9200形から採用)では京急同様に緊急スイッチと呼称し、使用した場合は非常ブレーキ動作、パンタグラフ降下、警笛吹鳴、非常発報信号の4動作が行われる。京急同様、これらの事業者でも初採用の形式における採用の後、過去の形式の一部に追設されている。

注釈・出典

  1. ^ a b 交通協力会『交通技術』1971年5月号レーザー・スポット「ワンタッチ装置 緊急列車防護装置」pp.34 - 35。
  2. ^ a b c d 信号保安協会『信号保安』1981年3月号豆知識「TE装置」p.148。
  3. ^ a b c 車両電気協会『車両と電気』1985年3月号鉄道技術ゼミナール「EB・TE装置について」pp.25 - 29。

参考文献

  • 交通協力会『交通技術』1971年5月号レーザー・スポット「ワンタッチ装置 緊急列車防護装置」
  • 信号保安協会『信号保安』1981年3月号豆知識「TE装置」
  • 車両電気協会『車両と電気』1985年3月号鉄道技術ゼミナール「EB・TE装置について」

関連項目

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