紅白梅図屏風とは? わかりやすく解説

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こうはくばいずびょうぶ〔コウハクバイヅビヤウブ〕【紅白梅図屏風】

読み方:こうはくばいずびょうぶ

江戸中期画家尾形光琳代表作紙本金地著色による二曲一双屏風で、画面中央水流描き左右に紅白配した作品光琳最晩年の作と見られている。国宝MOA美術館紅白梅図


紅白梅図

(紅白梅図屏風 から転送)

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2023/09/20 15:58 UTC 版)

紅白梅図屏風
光琳が描いた梅の木

紅白梅図(こうはくばいず)、紅白梅図屏風(こうはくばいずびょうぶ)は、江戸時代(18世紀)の尾形光琳による彼の晩年の一大傑作。水流と紅白のが描かれている。津軽家に伝来[1]MOA美術館収蔵。国宝に指定されている。

概要

同じく国宝の燕子花図とともに尾形光琳の代表作の1つであり、彼が模索していた大胆なデザイン(意匠)の集大成といえ、日本美術で最も著名な作品の1つである[2]。紙本金地著色・二曲一双。大きさは156.0cm×172.2cm。

流れを挟んで向かいあう紅梅と白梅。金地に対して流れを銀地とし、紅白の梅を左右に配すという際立った対照による大胆な構図である。光琳の最高傑作であり、装飾性を追求した琳派様式の一到達点を示す。斬新な意匠のうちに優れた象徴性を秘めてもいよう[3]小林太市郎は、「光琳と乾山」(『世界の人間像』第7巻、角川書店)の中で、画面中央の川を女体とし、両側の梅樹を男性とする解釈を行った。

なお、『紅白梅図』屏風の金地(金色の背景)について、2003年(平成15年)から翌年にかけての東京文化財研究所蛍光X線による調査の結果、金箔を貼ったものではなく、金泥(金粉をで溶いた絵具)を使って描き、金箔の継ぎ目(箔足)をわざわざ描き出していた可能性が指摘された[4]。一方、2011年(平成23年)のMOA美術館らの発表によれば、X線回折法による再調査により、やはり金箔を貼ったものという調査結果が出た[5]としており、本屏風の制作技法については、なお議論が続いている。[6]中央の川は地に金泥を塗った上に硫黄をまぶして銀を黒く変色させるという技法を使っている。また、現在は白梅と認識されている梅は本来は桃色であったが、有機染料で描いたために褪色してしまっている[7]

2012年、東日本大震災の被災地支援のため、所蔵するMOA美術館から初めて館外に貸し出され、3月6日から25日まで仙台市博物館で「国宝 紅白梅図屏風とMOA美術館の名品」と題し東北ゆかりの品々と共に展示された[8]

1969年発行の特殊切手国宝シリーズの15円切手のデザインに採用された。また、2020年の切手趣味週間に発行された84円切手のデザインに採用された[9]

脚注

  1. ^ 紅白梅図屏風 | MOA美術館 | MOA MUSEUM OF ART”. www.moaart.or.jp. 2020年11月27日閲覧。
  2. ^ 東京文化財研究所編集 中央公論美術出版 書籍「国宝紅白梅図屏風: 尾形光琳筆」ISBN : 9784805505007
  3. ^ 国指定文化財等データベース”. kunishitei.bunka.go.jp. 文化庁(一部改変). 2021年3月3日閲覧。
  4. ^ 早川泰弘, 佐野千絵, 三浦定俊, 内田篤呉「尾形光琳筆紅白梅図屏風の蛍光X線分析」『保存科学』第44号、2005年、1-16頁、doi:10.18953/00003629 
  5. ^ 阿部善也, 権代紘志, 竹内翔吾, 白瀧絢子, 内田篤呉, 中井泉「可搬型X線分析装置を用いる「国宝 紅白梅図屏風」の金地製法解明」『分析化学』第60巻第6号、2011年、477-487頁、doi:10.2116/bunsekikagaku.60.477 
  6. ^ 2010年2月15日付『読売新聞』社会面[要文献特定詳細情報]
  7. ^ 趣味どきっ! 2015年4月14日放送分[出典無効]
  8. ^ 紅白梅図屏風、初めて館外へ MOA美術館、仙台に貸与
  9. ^ 切手趣味週間


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