空なる交叉
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/01/31 20:12 UTC 版)
「空積・束論・空な合併」も参照 上記、任意個数の集合の交叉の定義において、族が空集合 (∅) となる場合を排除したことに注意しなければならない。これは集合族 M の交わりを ⋂ M = { x : ∀ A ∈ M , x ∈ A } {\displaystyle \bigcap \mathbf {M} =\{x:\forall A\in \mathbf {M} ,\ x\in A\}} で定義するために、M が空ならば A ∈ M なる集合は存在しないから「x が満たすべき条件は一体何であるか」という問題を生じるからである。M が空なるときの上記条件は空虚な真(英語版)の一例であるから、答えは「可能な限りの全ての x」となるべきである。すなわち、空な集合族の交わりは普遍集合(交叉演算の単位元)と定義することになる。 困ったことに標準的な集合論 (ZFC(英語版)) には普遍集合が存在しないから、これを部分的に回避するために宇宙と呼ばれる一つの大きな集合 U を固定してその部分集合となる集合のみを考えることがよく行われる。このような条件下での U の部分集合族の交わりは ⋂ M = { x ∈ U : ∀ A ∈ M , x ∈ A } {\displaystyle \bigcap \mathbf {M} =\{x\in U:\forall A\in \mathbf {M} ,\ x\in A\}} と定義されるべきものであって、ここで M を空にとっても何も問題は生じない。即ち、空な交叉は定義により well-defined であって宇宙全体 U に一致する。そしてそれは U の部分集合全体の上で定義される交叉演算の単位元である。
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