神の愛としてのアガペー
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/05/17 00:26 UTC 版)
ヘブライの伝統を引く原始キリスト教の信徒たちは、後の教父たちがギリシア哲学(特にプラトン哲学)を援用したとはいえ、初期には、ギリシア的伝統や、ローマの伝統とは別の形で彼らの信仰を表現したいと考えたと思える。また「神の愛」は、エロースの愛のような「肉体の愛」ではなく、「魂・霊の愛」であると考えられたので、「フィリア」か「アガペー」がより適切であった。「フィリア」は、友情や友愛の意味を持ち、この言葉がキリスト教の「愛」を示す言葉として選択されても不自然ではなかった。 しかし「アガペー」は家族愛のような意味を持ち、それ以外に、特に限定された強い用例のある「愛」ではなかったので、原始キリスト教の福音書記者たちやパウロスは、この言葉を「神の愛」を意味する言葉に採択したと考えられる。 英語の古カトリック訳では、love と訳すと「エロース」によって表される情欲的な愛と誤解されることを避けて、チャリティー (英: charity、羅: caritas、カリタス) の訳語を当てている。その後、charity の意味に変化が起こって、現在では「慈善」の意味で用いられるようになったので、ティンダル訳では「アガペー」の訳語として love が用いられるようになった。
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