ヤングの畳み込み不等式とは? わかりやすく解説

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ヤングの畳み込み不等式

(畳み込みに関するヤング不等式 から転送)

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2023/07/02 05:08 UTC 版)

数学におけるヤングの畳み込み不等式(ヤングのたたみこみふとうしき、: Young's convolution inequality)は、ウィリアム・ヘンリー・ヤング英語版に名を因む、ふたつの函数の畳み込みに関する不等式である[1]

定理の主張

実解析において、ヤングの畳み込み不等式[2](Theorem 3.9.4)は以下のようなものである:

定理 (Young's convolution inequality)
fLp(d), gLq(d)
が満たされるならば、不等式
が成り立つ。ここに、左辺の 畳み込みで、Lpルベーグ p-乗可積分函数の空間および
Lp-ノルムである。

おなじことだが、以下のように述べることもできる:

p, q, r ≥ 1 を満たすならば
が成り立つ。
一般化
ヤングの畳み込み不等式は、d を単模群 G に取り換えた自然な一般化ができる。G 上の両側ハール測度μ とすれば μ に関する積分が定義できて、G 上のまたは複素数値函数 f, g に対して
および
と定めれば、fLp(G, μ), gLq(G, μ) に対して、件の不等式
はそのままの形で成り立つ(もちろん、 とも書ける)。
事実として、d局所コンパクトアーベル群英語版、したがって単模であり、ルベーグ測度がそのハール測度を与えるから、事実これは先の不等式を一般化するものである。

より厳密な評価

p, q > 1 の場合、ヤングの不等式はより強く、適当な定数 cp,q < 1 を含む

の形のより厳密な評価にすることができる[3][4][5]。この最適化定数が達成されるとき、函数 f, g高次元ガウス函数英語版 である。

証明

最適化定数 1 のヤングの不等式には、初等的な証明がある[6]

位相群の不変積分版の証明を以下に示す:

応用

ヤングの不等式の応用の一つの例が、L2-ノルムを用いて 熱半群英語版縮小半群である(つまり、ヴァイヤシュトラス変換が L2-ノルムを大きくしない)ことを示すことである。

脚注

  1. ^ Young, W. H. (1912), “On the multiplication of successions of Fourier constants”, Proceedings of the Royal Society A 87 (596): 331–339, doi:10.1098/rspa.1912.0086, JFM 44.0298.02, JSTOR 93120, https://jstor.org/stable/93120 
  2. ^ Bogachev, Vladimir I. (2007), Measure Theory, I, Berlin, Heidelberg, New York: Springer-Verlag, ISBN 978-3-540-34513-8, MR2267655, Zbl 1120.28001 
  3. ^ Beckner, William (1975). “Inequalities in Fourier Analysis”. Annals of Mathematics 102 (1): 159–182. doi:10.2307/1970980. JSTOR 1970980. 
  4. ^ Brascamp, Herm Jan; Lieb, Elliott H (1976-05-01). “Best constants in Young's inequality, its converse, and its generalization to more than three functions”. Advances in Mathematics 20 (2): 151–173. doi:10.1016/0001-8708(76)90184-5. http://www.sciencedirect.com/science/article/pii/0001870876901845. 
  5. ^ Fournier, John J. F. (1977), “Sharpness in Young's inequality for convolution”, Pacific J. Math. 72 (2): 383–397, doi:10.2140/pjm.1977.72.383, MR0461034, Zbl 0357.43002, http://projecteuclid.org/DPubS?verb=Display&version=1.0&service=UI&handle=euclid.pjm/1102811121&page=record 
  6. ^ Lieb, Elliott H.; Loss, Michael (2001). Analysis. Graduate Studies in Mathematics (2nd ed.). Providence, R.I.: American Mathematical Society. pp. 100. ISBN 978-0-8218-2783-3. OCLC 45799429. https://www.worldcat.org/oclc/45799429 

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