減税条例とは? わかりやすく解説

減税条例

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2023/04/14 23:27 UTC 版)

減税条例(げんぜいじょうれい)とは地方自治体条例

概要

2009年12月18日に愛知県半田市で初めて住民税の減税に関する条例が制定され、2010年度における減税が行われた[1]。また、名古屋市でも条例が制定され、2010年度における減税が行われた[2]。また東京都杉並区では積み立て運用益で10年後の区民税減税を目指す条例が可決された[3]

また、埼玉県北本市や愛知県の大治町沖縄県金武町でも住民税の減税に関する条例が制定されている。

名古屋市
愛知県名古屋市河村たかし市長は、市長選挙の公約で市民税の10%減税を掲げた。
そして、公約通り1割減となる。ただし、2010年度限りである[4]
個人については、市民税所得割にあたる6%のうちの10%減の5.4%となる。但し、土地建物株式等の譲渡所得については減税とはならない。また、法人市民税についても2010年4月1日から2011年3月31日までに終了する事業年度に限り10%減となる[5]
その後、議会で話し合われた結果、2012年度以降個人・法人とも5%の恒久減税(個人市民税は5.7%)となった。全国初である。
半田市
愛知県の半田市も2010年度に限り減税となった。名古屋市と異なり、市民税所得割は6%から5.6%となり、均等割は3,000円から100円となった。住民税の減税は名古屋市のイメージが強いが、全国で初めて住民税減税の条例が議会で可決された自治体は半田市である。
杉並区
東京都の杉並区の山田宏区長(1999年4月〜2010年5月)の公約。
仕組みは、年間予算の約1割にあたる150億円を積み立てて運用し、運用益で住民税をまかなう。年2%複利で運用できれば、78年後に住民税を運用益のみでまかなえるようになるというものであった[6]
考え方の母体になったのは、松下幸之助の「無税国家構想」(山田は松下政経塾の2期生となる)[6]
制約は、景気金利物価、国の制度といった外部要因。それでも、山田は「やる気と実際に行動を続けることによって実現は可能」と明言していた[6]
しかし、山田区長の参議院選挙立候補に伴う退任により、後任の田中良区長が「減税で税収が増えるなら、どの自治体でもやっている。減税基金はリアリティーがない虚構」と主張し、積み立てを凍結、条例を廃止した[7][8]
北本市
埼玉県の北本市で石津賢治北本市長によって2011年度における減税条例が提案され、2010年9月25日に市議会で可決、2011年度の個人市民税率が5.4%に引き下げられた。[9]。地方交付税を受け取っている自治体が減税条例を施行するのは全国初だった。その後、都市計画税の税率を引き下げる代わりに個人住民税の減税は中止[10]、結局、単年度限りの措置となった
大治町
愛知県の大治町で2011年度における町民税の10%の減税条例案が町議会に提出され、2011年12月22日に可決された[11]。個人町民税の均等割を3000円から法律で定める最低の100円にし、所得割の税率を6%から5.6%に引き下げた。生活の支援と経済活性化を狙っての措置であったが[12]、防災対策のため翌年度は行なわれず[10]、こちらも単年度の措置となった。
金武町
沖縄県の金武町で2011年3月26日に減税条例が可決され、町民税の均等割を3000円から2700円にし、所得割の税率を6%から5.4%に引き下げた。2012年度に施行[13]されたが、2014年9月議会にて減税条例の廃止を可決。同年度いっぱいで終了した。
和泉市
大阪府の和泉市では2012年9月議会にて減税条例が可決され、2013年度に限り市民税の均等割を3000円から100円、所得割の税率を6%から5.85%に引き下げた[14]

脚注

  1. ^ 全国初の市民税10%減税条例 愛知・半田で可決 共同通信 2009年12月18日
  2. ^ 名古屋市の10%減税条例が可決 来年度から市民税で全国初 共同通信 2009年12月22日
  3. ^ 東京・杉並区の減税条例が成立 全国初、実現性は未知数 共同通信 2010年3月12日
  4. ^ [1]
  5. ^ [2]
  6. ^ a b c 『命がけで! 杉並区“住民税ゼロ”構想の本気度』2007年8月7日付配信 産経iza
  7. ^ 2011年9月29日 日本経済新聞
  8. ^ http://sankei.jp.msn.com/region/news/120216/tky12021623130016-n1.htm 産経ニュース
  9. ^ 朝日新聞 2010年9月25日
  10. ^ a b https://www.soumu.go.jp/main_content/000174389.pdf 総務省資料「税率についての課税自主権の拡大について」
  11. ^ 朝日新聞2010年12月24日
  12. ^ http://www.town.oharu.aichi.jp/koho/h2305/04.pdf 広報おおはる平成23年5月号
  13. ^ 金武町議会、町民税減税を可決 県内初 10%削減、来年4月実施琉球新報 2011年3月26日
  14. ^ http://www.city.osaka-izumi.lg.jp/kurasitetu/zeikin/shiminnzei/1317172901018.html 和泉市税務室

関連項目


「減税条例」の例文・使い方・用例・文例

Weblio日本語例文用例辞書はプログラムで機械的に例文を生成しているため、不適切な項目が含まれていることもあります。ご了承くださいませ。



固有名詞の分類


英和和英テキスト翻訳>> Weblio翻訳
英語⇒日本語日本語⇒英語
  

辞書ショートカット

すべての辞書の索引

「減税条例」の関連用語

減税条例のお隣キーワード
検索ランキング

   

英語⇒日本語
日本語⇒英語
   



減税条例のページの著作権
Weblio 辞書 情報提供元は 参加元一覧 にて確認できます。

   
ウィキペディアウィキペディア
All text is available under the terms of the GNU Free Documentation License.
この記事は、ウィキペディアの減税条例 (改訂履歴)の記事を複製、再配布したものにあたり、GNU Free Documentation Licenseというライセンスの下で提供されています。 Weblio辞書に掲載されているウィキペディアの記事も、全てGNU Free Documentation Licenseの元に提供されております。
Tanaka Corpusのコンテンツは、特に明示されている場合を除いて、次のライセンスに従います:
 Creative Commons Attribution (CC-BY) 2.0 France.
この対訳データはCreative Commons Attribution 3.0 Unportedでライセンスされています。
浜島書店 Catch a Wave
Copyright © 1995-2025 Hamajima Shoten, Publishers. All rights reserved.
株式会社ベネッセコーポレーション株式会社ベネッセコーポレーション
Copyright © Benesse Holdings, Inc. All rights reserved.
研究社研究社
Copyright (c) 1995-2025 Kenkyusha Co., Ltd. All rights reserved.
日本語WordNet日本語WordNet
日本語ワードネット1.1版 (C) 情報通信研究機構, 2009-2010 License All rights reserved.
WordNet 3.0 Copyright 2006 by Princeton University. All rights reserved. License
日外アソシエーツ株式会社日外アソシエーツ株式会社
Copyright (C) 1994- Nichigai Associates, Inc., All rights reserved.
「斎藤和英大辞典」斎藤秀三郎著、日外アソシエーツ辞書編集部編
EDRDGEDRDG
This page uses the JMdict dictionary files. These files are the property of the Electronic Dictionary Research and Development Group, and are used in conformance with the Group's licence.

©2025 GRAS Group, Inc.RSS