浸炭後の処理
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2018/07/06 22:08 UTC 版)
浸炭後には焼入れ・焼き戻しにより硬化を行う。焼入れは高低温の2段階で行う方法(二段焼入れ)と1回で済ませる方法(直接焼入れ)がある。二段焼入れは、素材内外で炭素量が異なり、従ってオーステナイト変態温度も異なることを利用している。この方法は優れた性質が得られるが、直接焼入れでもそれに近い性質が得られるようになったため、現在ではあまり使われていない。 浸炭焼入れではしばしば残留オーステナイトが問題となる。被浸炭材の表面は炭素量が多いため、焼入れに伴って未変態のオーステナイトが残留しやすい。オーステナイト組織が存在していると変形・耐摩耗性の低下が発生し有害であるため、深冷処理などによってオーステナイト組織をマルテンサイト組織に変化させる必要がある。 焼入れや深冷処理に続いて、最後に焼き戻しを行うと一連の処理が完了する。量産部品の浸炭焼入れには、各処理を自動で連続的に行うようにした連続炉が用いられている。 浸炭の失敗例としては、浸炭が進行しすぎる「過剰浸炭」や、粗大な結晶の発生による欠陥などがある。
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