海洋大陸
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2025/07/08 15:54 UTC 版)

海洋大陸(かいようたいりく、英語: Maritime Continent)は、主に気象学や海洋学において、東南アジアのうち、ボルネオ島、ニューギニア島、その他インドネシアの島々、フィリピン諸島、マレー半島およびその周辺海域地域を指す名称[1][2]。海大陸とも呼ばれる[2]。
インド洋と太平洋の間にあり、熱帯暖水プールとして知られる暖かい海域に位置する。活発な対流活動域で、ウォーカー循環の上昇気流が生じている地域[1][2]。
1968年にColin Ramageにより生み出された造語[3]。通常は反対の気候を表す「海洋性」(湿潤)と「大陸性」(乾燥)という用語をつなげたものとなっている[1]。
多くの島、半島で構成される多島海的な海陸分布で、陸地には山岳地帯もある。海域は主に浅海域で、東寄りの貿易風が浅海域に吹き寄せるため、海面水温が通年ほぼ28℃以上あって、概ね地球上で最も暖かい海域である[1][2]。暖かい海水は大気に対流のエネルギーを供給し、陸地では加熱や地形の効果も対流を促す[1]。
この地域の対流活動の変化は、ウォーカー循環のほかエルニーニョ・南方振動(ENSO)、マッデン・ジュリアン振動(MJO)、インド洋ダイポールモード現象にも影響し、世界の離れた地域にも降水などの天候パターンの異変をもたらす要因となることが知られている[1][2]。また、アジアモンスーンやオーストラリアモンスーン(英語版)にも影響を及ぼしている[2]。
出典
参考文献
- Ramage, C.S. (1968年6月). “Role of a tropical "maritime continent" in the atmospheric circulation”. Monthly Weather Review 96 (6): 365–370. doi:10.1175/1520-0493(1968)096<0365:ROATMC>2.0.CO;2 .
- Neale, Richard; Slingo, Julia (2003年3月). “The Maritime Continent and Its Role in the Global Climate: A GCM Study”. Journal of Climate 16 (5): 834–848. doi:10.1175/1520-0442(2003)016<0834:TMCAIR>2.0.CO;2 .
- 米山邦夫「2. YMC:海大陸域における大気―海洋―陸面相互作用研究」『天気』第66巻第1号、日本気象学会、2019年1月、23–27頁、CRID 1390282763101127936、doi:10.24761/tenki.66.1_23。
関連項目
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