沈泊塵とは? わかりやすく解説

Weblio 辞書 > 辞書・百科事典 > 百科事典 > 沈泊塵の意味・解説 

沈泊塵

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2025/08/20 09:05 UTC 版)

沈泊塵
プロフィール
出生: 1889年[1]
死去: 1920年3月7日[1]
中華民国上海市
出身地: 浙江省桐郷県[1]
職業: 画家・漫画家
各種表記
繁体字 沈泊塵
簡体字 沈泊尘
拼音 Shěn Bóchén
ラテン字 Shen Po-ch'en
和名表記: しん はくじん
発音転記: シェン・ポーチェン(シェン・ポーチェン)
テンプレートを表示

沈 泊塵(しん はくじん、1889年1920年3月7日)は、中華民国最初期の画家・漫画家。泊塵は雅号で、名は学明。字は伯誠。他の名義には沈忱沈明もあったという[1]。海上画派系の仕女画家として上海の新聞紙上に作品を掲載し、また、中国人運営としては初の漫画雑誌『上海パック(原文:上海溌克)』を創刊した。弟にはジャーナリスト・官僚・文物収集家・文筆家・翻訳者の沈能毅(沈学仁)がいる[2]

事績

『上海パック』掲載の沈泊塵作品

早くに父を亡くしたため、年少の頃は杭州上海の商家で丁稚奉公していた。その一方で絵画への関心も高く、『点石斎画報』に掲載される呉友如の絵を手本として練習していた[1]

1909年宣統元年)、本格的に画家としての修行を開始するため、海上画派の代表的人物である銭慧安や潘雅声に師事し、人物画や仕女画に長じるようになった。沈泊塵の作品、特に仕女画は、上海の「大報」(新聞一般紙の類。タブロイド紙類の「小報」の対義語)である『申報』・『時事新報』・『大共和日報』・『神州日報(画報)』・『民権画報』に掲載された。後には「小報」の『晶報』にも掲載されている[1]

沈泊塵は漫画家としても活躍し、特に風刺画を得意としていた。1918年(民国7年)、沈泊塵は弟の沈能毅らと沈氏兄弟公司を創立し、9月1日には中国人運営のものとしては初の漫画雑誌『上海パック(原文:上海溌克)』を創刊した[1][2]。なお「パック」という名前は、英国のユーモア雑誌『ポンチ』からとったものとされる[3]。内容は封建軍閥や帝国主義による人民への圧迫を批判するものとなっており、五四運動の社会背景もあって、『上海パック』はたちまち話題になったという[1][4][5]

しかし、沈泊塵は生来病弱であり、1920年(民国9年)3月7日、上海にて肺病で死去した。享年32。これにより好評だった『上海パック』も僅か4号での廃刊を余儀なくされたが[4][5]、この雑誌から後進の漫画家も育ったという[6]。弟の沈能毅は、上海キリスト教青年会の協力を得て沈泊塵風刺漫画展を開催したが、このような漫画展も中国では最初のものの1つとされている[1]

出典

  1. ^ a b c d e f g h i 王(2019)、87-88頁。
  2. ^ a b 李(2024)、119頁。
  3. ^ 何(1991)、40頁。
  4. ^ a b 森田(1990)、200-201頁。
  5. ^ a b 畢著, 落合訳(1984)、71-75頁。
  6. ^ 尾崎(1972)、55頁。

参考文献

  • 王韌「西洋画家沈泊塵及其作品情懐探析」『江蘇理工学院学報』第25巻第3期、2019年6月、江蘇省教育庁、86-93頁。
  • 李揚「以画議政:現代化進程中漫画期刊的言論実践-“溌克”先生在中国的70年紙上脱口秀(1867-1937)」『新聞与伝播研究』31巻8号、中国社会科学院新聞研究所、2024年。
  • 何韋著, 三山駿訳「「漫画」の源流を探る」『日中芸術研究』第32号、1991年7月、日中芸術研究会、39-49頁。
  • 森田靖郎『上海セピアモダン メガロポリスの原画』朝日新聞社、1985年。ISBN 4-02-256030-4 
  • 畢克官著, 落合茂訳『中国漫画史話』筑摩書房、1984年。 
  • 尾崎秀樹『現代漫画の原点 笑い言語へのアタック』講談社、1972年。 



英和和英テキスト翻訳>> Weblio翻訳
英語⇒日本語日本語⇒英語
  
  •  沈泊塵のページへのリンク

辞書ショートカット

すべての辞書の索引

沈泊塵のお隣キーワード
検索ランキング

   

英語⇒日本語
日本語⇒英語
   



沈泊塵のページの著作権
Weblio 辞書 情報提供元は 参加元一覧 にて確認できます。

   
ウィキペディアウィキペディア
All text is available under the terms of the GNU Free Documentation License.
この記事は、ウィキペディアの沈泊塵 (改訂履歴)の記事を複製、再配布したものにあたり、GNU Free Documentation Licenseというライセンスの下で提供されています。 Weblio辞書に掲載されているウィキペディアの記事も、全てGNU Free Documentation Licenseの元に提供されております。

©2025 GRAS Group, Inc.RSS