池田利牛
（生年不詳）
江戸蕉門の一人。野坡と同じ越後屋の手代であった。蕉門の中では若い層に属し、それだけに芭蕉の俳諧革新「軽み」の新風に積極的に応じていく。志太野坡・小泉弧屋らと『炭俵』を編纂。
利牛の代表作
子は裸父はてゝれで早苗舟（『炭俵』）
初日影我莖立とつまればや（『炭俵』）
梅さきて湯殿の崩れなほしけり（『炭俵』）
長閑さや寒の残りも三ケ一（『炭俵』）
鶯の一聲も念を入にけり（『炭俵』）
町なかへしだるゝ宿の柳かな（『炭俵』）
おちつきは魚やまかせや櫻がり（『炭俵』）
麻の種毎年踏る桃の華（『炭俵』）
梅さくらふた月ばかり別れけり（『炭俵』）
扇屋の暖簾白し衣がへ（『炭俵』）
時鳥啼々風が雨になる（『炭俵』）
刈こみし麥の匂ひや宿の内（『炭俵』）
改て酒に名のつくあつさ哉（『炭俵』）
もち汐の橋のひくさよけふの月（『炭俵』）
柿のなる本を子どもの寄どころ（『炭俵』）
蕎麦切に吸物もなき寒さ哉（『炭俵』）
刈りこみし麦の匂ほいや宿の内
（元禄7年5月8日芭蕉最後の江戸出立の折）
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