民間説話とメルヘン
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/04/26 13:56 UTC 版)
2004年にATU510Bという分類番号が付けられた、毛皮を被ることで身分を隠すという類話群があるのだが、浜本隆志はこれらの作品では冒頭で近親相姦の素材が扱われる場合が多いと指摘している。例えば、ジャンバティスタ・バジーレの『ペンタメローネ』に収録された「牝熊」では、父親の王に求婚された娘が熊に変身し森に逃げ込むが、王子のキスで変身が解けその王子と結婚するという話で、シャルル・ペローの『ペロー童話集』の『ペンタメローネ』所収の話をフランスの宮廷向けに改変した「ロバの皮」では、父親の王に求婚された娘が、ロバの皮を被り国外に脱出し王子と結婚する話となっている。 浜本隆志は、『グリム童話』の初版の「白雪姫」で実母が娘を殺害しようとするという不自然な内容になっているのは、本当は「白雪姫」も「ロバの皮」の類話群と同じ父と娘の近親相姦を扱うはずの話だったからではないのかと指摘している。『グリム童話』の初版では、父親が実際に娘と結婚する「千匹皮」という作品もあったのだが、読者からの猛抗議で改変する事態になった。『グリム童話』には父親が娘に性的関係を強要しようとして拒まれたため胸と腕を切り落とす「手なし娘」という話も収録される予定だったが、この話を問題視したヴィルヘルム・グリムによって近親相姦的描写は全面カットになってしまった。
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