歌川豊国 (2代目)とは? わかりやすく解説

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歌川豊国 (2代目)

(歌川豊重 から転送)

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2025/06/08 00:35 UTC 版)

「名勝八景 大山夜雨」 8枚揃の内、二代目豊国画。

二代目 歌川 豊国(うたがわ とよくに、生没年不詳[1] )とは、江戸時代浮世絵師

来歴

初代歌川豊国の門人。名は源蔵、一陽斎(文政11 - 12年)、一暎斎(文政11年頃以降)、後素亭(文政11年頃 - 天保5年)、満穂庵、また一龍斎と号す。文政の初め頃、初代豊国に入門し当初は国重(くにしげ)と称したという。のちに豊重(とよしげ)と名を改め、豊国忰豊重とも称した。文政7年(1824年)以前には初代豊国の養子となり、初代の没後、翌文政8年に二代豊国を襲名する。しかしこの襲名について『名人忌辰録』は「同門不承知」であったと伝えており(「歌川豊国二世」の項、ただしこの豊国とは歌川国貞のこと)、また『狂歌人名辞書』も「一たび豊国の号を継ぎしが物議の為め再び元の国重に復す」とあり、豊重の豊国襲名が当時の歌川派の中で問題になっていたらしいことが窺える。ちなみに弘化元年(1844年)、兄弟子の国貞が豊国の名跡を継いでいるが、なぜか本来は三代目にあたるにもかかわらず、二代目豊国の存在を無視して自らを「二代豊国」と称した。

画業は忠実に師の画風を受け継ぎ、堅実な作風で合巻の挿絵や美人画、役者絵、芝居絵を描いた。文政11年(1828年)頃には本郷春木町に住んだことから、後に二代目歌川豊国を称した国貞と区別するため「本郷豊国」と呼ばれる。天保5年(1834年)頃を境に作品は見られなくなる。『名人忌辰録』によれば豊国襲名が「同門不承知」だったことからついに絵師を廃業し、本郷三丁目で陶器商を営んだという。門人に二代目歌川国重歌川国盛歌川国鶴がいる。

作品

合巻挿絵

錦絵

肉筆画

作品名 技法 形状・員数 寸法(縦x横cm) 所有者 年代 落款 印章 備考
桜下遊女図 絹本着色 1幅 90.7x29.0 東京国立博物館 文政8年(1825年)-文政13年(1830年) 「一瑛齋豊國畫」 「歌川」朱文方印・「豐國」白文円印
花魁 女房 芸者 絹本着色 浮世絵太田記念美術館
桜下短冊を結ぶ娘図 絹本着色 浮世絵太田記念美術館
月下芸姑図 絹本着色 1幅 62.0x25.5 摘水軒記念文化振興財団 「一瑛斎豊國画」[2]
七代目市川團十郎の『暫』 絹本着色 1幅 74.0x31.6 奈良県立美術館 1829年(文政12年) 「後素亭 歌川豊国畫」 「豐國」白文円印 七代目市川團十郎賛「たた先祖のかけ/なるへし 顔見せや/臼とる跡に/糠の月」[3]
隅田川遊船図 絹本着色 プラハ国立美術館所蔵[4]

脚注

  1. ^ 『浮世絵師伝』は生年を享和2年(1802年)、『原色浮世絵大百科事典』第2巻及び『図説浮世絵入門』も生年を享和2年頃とするが、『名人忌辰録』の「歌川国重」(二代目豊国)の項では「天保六未年(1835年)十一月朔日歿す、歳五十九」と記しており、天保6年没で享年59だとすると生年が享和2年では計算が合わない。『浮世絵の基礎知識』(雄山閣、1987年)は生年を安永6年(1777年)としており、天保6年没享年59から逆算したものと見られる。『名人忌辰録』の「歌川豊国二世」(歌川国貞)の項には「一龍斎国重、故豊国の号を嗣で二世と称し夭死す」とある。
  2. ^ 渋谷区立松濤美術館編集・発行 『月―夜を彩る清けき光』 2016年、pp.69,137。
  3. ^ 池田芙美 丹羽理恵子 井垣万里子編集 『歌舞伎座新開場記念展 歌舞伎 江戸の芝居小屋』 サントリー美術館、2013年2月6日、pp.128,254-255
  4. ^ 浮世絵太田記念美術館編集 『京都市プラハ姉妹都市提携1周年記念 プラハ国立美術館所蔵浮世絵展』 プラハ浮世絵展京都実行委員会、1997年2月27日、p.10。

参考文献

  • 関根只誠 『名人忌辰録 下』 1894年 ※国立国会図書館デジタルコレクションに本文あり[1]
  • 井上和雄編 『浮世絵師伝』 渡辺版画店、1931年 ※国立国会図書館デジタルコレクションに本文あり[2]
  • 狩野快庵編 『狂歌人名辞書』 臨川書店、1977年(復刻版、原著は昭和3年〈1928年〉刊行) ※「国重」(69頁)、「豊国」(二代)の項(154頁)
  • 日本浮世絵協会編 『原色浮世絵大百科事典』(第2巻) 大修館書店、1982年 ※76頁
  • 太田一斎編 『歌川派二百年と七代目歌川豊國』 歌川豊國興隆会、2002年

関連項目

先代
歌川豊国
歌川豊国
2代:1844
次代
歌川国貞



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