最後の晩餐 (フアン・デ・フアネス)
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2025/09/26 07:37 UTC 版)
スペイン語: La última cena 英語: The Last Supper |
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作者 | フアン・デ・フアネス |
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製作年 | 1555-1562年ごろ |
種類 | 板上に油彩 |
寸法 | 116 cm × 191 cm (46 in × 75 in) |
所蔵 | プラド美術館、マドリード |
『最後の晩餐』(さいごのばんさん、西: La última cena、英: The Last Supper)は、スペインのルネサンス期の画家フアン・デ・フアネスが1555-1562年に板上に油彩で制作した絵画である。カトリックのキリスト教図像として最もよく描かれた主題の1つである最後の晩餐を表している。バレンシアのサン・エステバン教会に由来する作品[1][2]で、現在、マドリードのプラド美術館に所蔵されている[1][2]。
主題
最後の晩餐は、「マタイによる福音書」 (26章17-30節)、「マルコによる福音書」(14章12-26節)、「ルカによる福音書」(22章1-23節)、「ヨハネによる福音書」(13章21-30節) に記述されている[3]。過越祭が近づくと、イエス・キリストは食事の席を用意するよう使徒たちに命じ、晩餐をともにする。その席で、キリストは「この席に私を裏切る者がいる」と予告した。彼は騒然となる使徒たちに向かってパンを裂き、祝福の祈りを捧げると「食べなさい。これは私の体です」といった。続いて、ワインの入った杯をとって祈り、「これは私の血、契約の血である」と語った。契約の血とは、人々の罪が赦されるために、彼らに代わりキリストが血を流すという意味である[3]。この「最後の晩餐」は多くの画家たちに好まれた主題であり、その作品そのものも多い[4]。
作品
本作はバレンシアのサン・エステバン教会の祭壇用に委嘱された作品で、祭壇画の下部中央を占めていたものある[1][2]。フアン・デ・フアネスが描いた最後の晩餐を主題とする何点かの作品の1つであり、スペイン・ルネサンス期において最も色彩豊かで優れた同主題作となっている。

作品の構図は、レオナルド・ダ・ヴィンチがミラノのサンタ・マリア・デッレ・グラツィエ教会の食堂ために描いた『最後の晩餐』にもとづいている。一方、使徒たちの表情や豊かな描画技法、豊かで光沢のある色彩はラファエロを想起させる[1][2]。しかし、キリストがホスチア (聖体のパン) を持つ姿をしているのは、スペイン独特の図像表現である[2]。
前景の水差しと盥は、晩餐の前にキリストが使徒たちの足を洗ったことを示す[1]。使徒たちは皆、名前の記されている光輪 (宗教美術) を付けているが、前景右端のイスカリオテのユダだけは付けておらず、その名前は座っている椅子の上に記されている。ユダは髭と髪の毛が赤く、伝統にしたがい、嫉妬を象徴する黄色の服を纏って、金の入った袋を仲間たちから隠している[1]。
画面に描かれている聖杯は、聖杯伝説と関連するバレンシア大聖堂の聖杯 (cáliz de la Catedral de Valencia) と同定されている。キリストが最後の晩餐で使用したとされているもので、現在、バレンシア大聖堂教区美術館に所蔵されている[1][2]。この聖杯は、アラゴンからアルフォンソ5世によりバレンシア大聖堂に贈られたものである。
脚注
参考文献
- 国立プラド美術館『プラド美術館ガイドブック』国立プラド美術館、2009年。ISBN 978-84-8480-189-4。
- 大島力『名画で読み解く「聖書」』、世界文化社、2013年刊行 ISBN 978-4-418-13223-2
外部リンク
- 最後の晩餐_(フアンデフアネス)のページへのリンク