日和見リンパ腫
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/05/13 02:05 UTC 版)
「エプスタイン・バール・ウイルス」の記事における「日和見リンパ腫」の解説
日和見リンパ腫(opportunistic lymphoma)とは、ウィスコット・アルドリッチ症候群(Wiskott-Aldrich syndrome;WAS)・毛細血管拡張性小脳失調症(ataxia telangiectasia;AT)等の先天的免疫不全、臓器移植に伴う免疫調節薬投与・後天的免疫不全症(AIDS)・種々の疾患の免疫抑制療法等による後天的免疫不全によって、EBV特異的細胞性免疫が破綻する結果生じるリンパ腫のことである。 先天的EBV特異的免疫不全症であるX連鎖リンパ増殖症候群(X-linked lymphoproliferative syndrome;XLP、ダンカン病)では致死的伝染性単核球症やBリンパ腫が高率に発生する。 移植後リンパ増殖性疾患(post-transplant lymphoproliferative disorder;PTLD)・免疫不全関連リンパ増殖性疾患(immunodeficiency-associated lymphoproliferative disorder)は、AIDSや臓器移植に伴う免疫不全に起因する。増殖性を獲得しているのはEBVによって不死化されたBリンパ球である。通常であれば腫瘍免疫によって排除されているが、免疫抑制状態では排除できずに発症する。ヒト免疫不全ウイルスによるAIDSの免疫不全の状況下においては、EBVは毛状白板症(hairy leukoplakia)・中枢神経系原発悪性リンパ腫(primary central nervous system lymphoma;PCNSL)の原因ともなり、PCNSLにおいてはEBV陽性率が著しく高い。 類縁の病態として、加齢等に伴う免疫能の低下によって生じると考えられる、老人性EBV陽性びまん性大細胞型B細胞性リンパ腫(EBV-positive diffuse large B cell lymphoma of eldery)、膿胸関連リンパ腫(pyrothrax-associated lymphoma;PAL)が挙げられる。
※この「日和見リンパ腫」の解説は、「エプスタイン・バール・ウイルス」の解説の一部です。
「日和見リンパ腫」を含む「エプスタイン・バール・ウイルス」の記事については、「エプスタイン・バール・ウイルス」の概要を参照ください。
- 日和見リンパ腫のページへのリンク