家族の陽気な食事

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家族の陽気な食事

出典: フリー百科事典『ウィキペディア（Wikipedia）』 (2025/04/20 13:50 UTC 版)

『家族の陽気な食事』

フランス語: Joyeux repas de famille 英語: Festive Family Meal
作者	ヤン・ステーン
製作年	1674年ごろ
素材	キャンバス上に油彩
寸法	82 cm × 68.5 cm (32 in × 27.0 in)
所蔵	ルーヴル美術館、パリ

『家族の陽気な食事』（かぞくのようきなしょくじ、仏: Joyeux repas de famille、英: Festive Family Meal）は、17世紀オランダ黄金時代の画家ヤン・ステーンが最晩年の1674年ごろ、キャンバス上に油彩で制作した絵画である。本来、アムステルダムの元市議会議員コルネリス・バッケル (Cornelis Backer) が所有していた^[1]。その後、様々な所有者を経て、フランス人医師ラ・カーズ（英語版）により取得されたが、1869年に氏から遺贈されて以来^[1]、パリのルーヴル美術館に収蔵されている^[1][2]。

作品

画面の情景は楽し気だが、あからさまに無秩序で、きわめて演劇的である。当時の喜劇と関連して、下品な調子が放恣な人物の形態の間に響き渡る^[2]。赤いベストの女性が椅子に倒れ込んでいる男性のグラスに酒を注いでいるが、これは絵画として許されるぎりぎりの性的暗示である。前景左寄りの犬までもが演劇的役割を持ち、このグラスに鑑賞者の注意を引き付けている^[2]。ちなみに、酒を注いでいる女性の奥には、愉快な顔をしたステーン自身が登場している^[1]。

節度のない人物たちは、典型的なオランダの中流階級の人物たちの姿となっている。子供や青年に対する、このようにいい加減な教育は画家ステーンが好んだ主題で、表現されているのはおそらく繫栄する社会に存在する悪徳の問題である^[2]。なお、本作には五感、そして人生の様々な段階が示唆されているという見方もある^[1]。また、画面上部にある鳥かごは愛の象徴である^[1]。

ステーンの最後の10年間に制作された作品は質的に大きな差があるが、本作は画家が新しい制作手法に挑んだ結果もたらされた、目覚ましい刷新を示すものと評価されている^[2]。生き生きとして滑らかな色彩、精緻な描写、自在な筆致が見られ、ステーンの制作活動が最も控えめになった後においても、この絵画は不毛な反復に陥らない表現領域の広さを示している^[2]。

脚注

1. ^ ^{a b c d e f} “Joyeux repas de famille”. ルーヴル美術館公式サイト (フランス語). 2025年4月19日閲覧。
2. ^ ^{a b c d e f} 『ルーヴル美術館展―17世紀ヨーロッパ絵画』、2009年、116頁。

参考文献

• 『ルーヴル美術館展―17世紀ヨーロッパ絵画』、国立西洋美術館、ルーヴル美術館、日本テレビ放送網、読売新聞東京本社、2009年発行

外部リンク

• ルーヴル美術館公式サイト、ヤン・ステーン『家族の陽気な食事』 (フランス語)

表 話 編 歴 ヤン・ステーン
絵画作品	『母子像』（1652年頃） 『ハガルの追放』（1655–1657年頃） 『牡蠣を食べる少女』（1658-1660年頃） 『恋わずらい』（1660年） 『医師の往診』（1660-1662年頃） 『十二夜の晩餐』（1662年） 『居酒屋の庭』（1661-1663年） 『踊るカップル』（1663年） 『贅沢に気をつけよ』（1663年） 『不摂生の結果』（1663-1665年頃） 『村の学校』（1665年頃） 『聖ニコラウスのお祭り』（1665–1668年頃） 『陽気な家族』（1668年） 『悪い仲間』（1665–1670年頃） 『親に倣って子も歌う』（1668–1670年頃） 『農民の結婚式』（1670年頃） 『家族の陽気な食事』（1674年頃） 『テラスの陽気な集い』（1673-1675年頃） 『カナの婚宴』（1674–1678年） 『楽しい里帰り』（1670-1679年）