学説による危険責任の展開
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2018/07/21 21:23 UTC 版)
「危険責任」の記事における「学説による危険責任の展開」の解説
上述のような危険責任論の規定を見てくれば分かるように、危険責任論は、現実化してしまった危険の損害について、誰が責任を負担するか、という損害の分配の問題であることが分かる。 そこで、例えば、公害の問題について、原因発生の企業に責任を負わせる理論として、危険責任論が展開されることがある。公害による不法行為の場合、一般の不法行為(民法709条)による責任追及に当たっては、特に因果関係の立証が非常に困難である。そこで、立証責任の転換を図る議論(いわゆる「証拠に近い者が証拠提出責任を負う」とする理論)が生じる。つまり、公害発生の危険を支配していたのは企業なのであるから、企業側の責任は推定され、むしろ企業が自らの責任のないことを証明しなければならないとするものである。この理論は確かに被害者の救済の点などでメリットが大きいが、逆の側には「~でないことを証明する」ことにより、困難な証明を必要とすること、また、この責任を原則としてしまうと民法の行為責任の大きな転換となることから問題も多い。
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