古郡家1号墳とは? わかりやすく解説

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古郡家1号墳

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2025/10/25 21:44 UTC 版)

古郡家1号墳

墳丘(右に前方部、左奥に後円部)
所属 古郡家古墳群
所在地 鳥取県鳥取市古郡家(字上ノ山)
位置 北緯35度27分5.15秒 東経134度14分0.90秒 / 北緯35.4514306度 東経134.2335833度 / 35.4514306; 134.2335833座標: 北緯35度27分5.15秒 東経134度14分0.90秒 / 北緯35.4514306度 東経134.2335833度 / 35.4514306; 134.2335833
形状 前方後円墳
規模 墳丘長92.5m
埋葬施設 粘土槨1基
箱式石棺2基
出土品 副葬品多数・埴輪
築造時期 4世紀
史跡 なし
有形文化財 出土遺物(鳥取県指定文化財)
特記事項 因幡地方第1位の規模
地図
古郡家1号墳
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750 m
古郡家
1号墳
六部山
3号墳
古墳の位置

古郡家1号墳(ここおげいちごうふん)は、鳥取県鳥取市古郡家にある古墳。形状は前方後円墳。古郡家古墳群を構成する古墳の1つ。史跡指定はされていない。出土遺物は鳥取県指定保護文化財に指定されている。

因幡地方(鳥取県東部)では最大規模の古墳で、4世紀末(古墳時代中期初頭)頃の築造と推定される。

概要

鳥取県東部、鳥取平野南縁の低丘陵(通称「上ノ山」)上に築造された古墳である[1]1957年昭和32年)に発掘調査が実施されている[1]

墳形は前方後円形で、前方部を北北東方向に向ける[2][1]。墳丘は2段築成[2]。墳丘長は92.5メートルを測り、因幡地方(鳥取県東部)で最大規模になる[3]。墳丘外表では円筒埴輪・朝顔形埴輪による埴輪列のほか、形象埴輪(家形・盾形埴輪)、葺石が認められている[2][1]。埋葬施設は、後円部中央における粘土槨1基・箱式石棺2基の計3基からなり、発掘調査ではこれらの埋葬施設から多量の副葬品が出土している[1]

築造時期は、古墳時代中期初頭の4世紀末頃と推定される[1]。一帯では、南東の六部山3号墳(墳丘長65.5メートル、因幡地方最古級の前方後円墳)に後続する有力首長墓に位置づけられる古墳である[4]

出土遺物は2014年平成26年)に鳥取県指定保護文化財に指定されている[3]

埋葬施設

後円部墳頂
移築箱式石棺
鳥取県立博物館展示。

埋葬施設としては、後円部に3基が認められている。3基の埋葬方向は、いずれも墳丘主軸に直交する東西方向である[1]

中央棺
粘土槨で、後円部中央に位置する。長さ6.3メートル、幅1.3-1.6メートル。棺からは八ツ手葉形銅製品のほか勾玉・管玉等の副葬品が出土した[1]。特に八ツ手葉形銅製品は、同型品が奈良県新沢500号墳で知られるのみになる[2][3]
南棺
箱式石棺で、中央棺の南側に位置する。長さ1.43メートル、幅0.44-0.46メートル、深さ0.38メートルで、西に石枕を置き、棺内面は丹塗りされている。棺から副葬品は出土せず、代わりに再葬骨の残存が認められている[1]
北棺
箱式石棺で、中央棺の北側に位置する。長さ1.9メートル、幅0.44-0.46メートル、深さ0.40メートルで、西に土師器壺転用枕を置き、棺内面は丹塗りされている。棺からは重圏文鏡・櫛・短甲・鉄剣等の副葬品が出土した[1]。特に短甲は、類例中では最古に位置づけられている[3]

出土品

出土品
鳥取県立博物館展示。
長方板革綴短甲

発掘調査で出土した遺物は次の通り[5]

中央棺出土
  • 八ツ手葉形銅製品 1
  • 玉類
    • 翡翠勾玉 1
    • 碧玉製管玉 1
    • 緑色凝灰岩製管玉 18
  • 土師器 - 甕1、高坏1。
北棺出土
  • 重圏文鏡 1
  • 竪櫛 4
  • 武器
    • 鉄剣 5
    • 鉄鏃 24 - 圭頭式4、逆刺柳葉式2、鑿頭式18。
  • 甲冑
    • 長方板革綴短甲 1
  • 工具
    • 刀子 3
    • 鉇 3
    • 鑿 1
  • 土師器 - 壺1(転用枕)。
墳丘出土
  • 円筒埴輪
  • 家形埴輪

文化財

鳥取県指定文化財

  • 保護文化財(有形文化財)
    • 古郡家1号墳出土遺物一括(考古資料) - 明細は後出[5]鳥取県立博物館保管。2014年(平成26年)10月3日指定[3]
鳥取県指定保護文化財「古郡家1号墳出土遺物一括」の明細
  • 八ツ手葉形銅製品 1面
  • 玉類
    • 翡翠勾玉 1箇
    • 碧玉製管玉 1箇
    • 緑色凝灰岩製管玉 18箇
  • 土師器
    • 甕 1箇
    • 高杯 1箇
  • 重圏文鏡 1面
  • 長方板革綴短甲 1領
  • 鉄剣 5本
  • 鉄鏃
    • 圭頭式 4本
    • 逆刺柳葉式 2本
    • 鑿頭式 18本
  • 鉄製工具
    • 刀子 3本
    • ヤリガンナ 3本
    • 鑿 1本
  • 竪櫛 4箇
  • 土師器壺 1箇
  • 朱付き板石 1枚
  • 埴輪 一括
    • 円筒埴輪
    • 家形埴輪

関連施設

周辺

中臣崇健神社
  • 中臣崇健神社 - 延喜式内社。

脚注

  1. ^ a b c d e f g h i j 鳥取県の地名 1992.
  2. ^ a b c d 日本古墳大辞典 1989.
  3. ^ a b c d e 古郡家1号墳出土遺物一括(鳥取県ホームページ「とっとり文化財ナビ」)。
  4. ^ 鳥取市古郡家1号墳・六部山3号墳の研究(鳥取県ホームページ)。
  5. ^ a b 平成26年10月3日鳥取県公報 (PDF) より鳥取県教育委員会告示第26号(鳥取県ホームページ)。

参考文献

(記事執筆に使用した文献)

関連文献

(記事執筆に使用していない関連文献)

  • 鳥取県立公文書館県史編さん室 編『古郡家1号墳・六部山3号墳の研究 -出土品再整理報告書-』鳥取県、2013年。 

外部リンク

  • ウィキメディア・コモンズには、古郡家古墳群に関するカテゴリがあります。



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