入江製菓
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2025/06/08 16:20 UTC 版)
| 種類 | 株式会社 |
|---|---|
| 本社所在地 | 〒807-0821 福岡県北九州市八幡西区陣原2-8-10 北緯33度51分56.2秒 東経130度44分34.8秒 / 北緯33.865611度 東経130.743000度 |
| 設立 | 2021年6月16日[1] |
| 業種 | 食料品 |
| 事業内容 | 菓子製造販売 |
| 代表者 | 入江雅彦 (代表取締役社長)[2] |
| 資本金 | 1000万円[2] |
| 従業員数 | 46人 (2014年)[3] |
| 外部リンク | https://irie-seika.co.jp/ |
入江製菓株式会社(いりえせいか)は、福岡県北九州市に本社を置く飴菓子の製造販売を行う企業。
概要
1934年(昭和9年)、入江卯之助が八幡市(現在の八幡東区)で創業[4][5]。卯之助は1947年(昭和22年)、大阪千日前でアイスキャンデー店を開き、1949年(昭和24年)には大阪市内で入江製菓株式会社(ドロップ、キャンデー製造[6])を設立[7][8]。その後、八幡に戻り、八幡市東通で入江製菓有限会社を設立[7][注釈 1][注釈 2]。長男の良太郎を社長とし、自身は会長に就任した[7]。砂糖菓子や和菓子を製造し販売を行っていた[10]。飴はチャイナマーブルや「琉球飴」を製造していた[9][11][12]。1957年(昭和32年)当時、八幡市天神町に本社があった[注釈 3]。のち、八幡区帆柱町を経て[注釈 4]、1966年(昭和41年)に現所在地へ移転、工場を新設した[15][注釈 5]。
移転に先立つ1957年(昭和32年)から、中高年や労働者を購買層に見据え金平糖の製造を開始した[17][18][3]。新日鉄八幡製鉄所や安川電機などの売店で好調な売れ行きを見せ、金平糖は同社の売上の10%を占めるようになった。また、同社製品はダイエーや丸食などのスーパーでも取り扱われたが[19]、1980年代後半になるとスーパーの仕入れの一本化が進み、問屋を介した取引が増えたため実質売上は減少した[20][21]。
主力商品だった金平糖も、菓子の多様化に伴って1990年代後半には売上は全体の5%に落ち込んだ[3]。低迷が続く中、金平糖のブランド化に着手。2012年8月、ネットショップを開設し高級化路線の新商品「いろは屋の金平糖」を発売した[3]。ブドウや抹茶などのパウダーをまぶした商品が支持され、金平糖の売上は全体の10%超に伸びた[3]。当初12種類だった金平糖はバリエーション展開を重ね、2016年には約50種類となった[10]。2016年には、「駄菓子のイメージを払拭した贈答品」と評価され2020年東京オリンピック招致活動やG7エネルギー相会合で各国関係者へのお土産に選定された[10]。
2020年(令和2年)、同社を含む金平糖メーカー4社で業界団体「金平糖deつなぐ会」を結成[22]。2022年(令和4年)2月、福岡地裁小倉支部より特別清算開始決定を受けた[1]。現法人は2021年(令和3年)6月設立[1]。
沿革
- 1934年(昭和9年)6月、入江卯之助が八幡市新町で入江製菓所を創業[4][7]。
- 1948年(昭和23年)9月[1][15][23]もしくは1952年(昭和27年)3月[24][16][7]、「入江製菓有限会社」設立(以下、旧法人)。
- 1957年(昭和32年)、金平糖の製造を開始。
- 1964年(昭和39年)10月、株式会社に改組[24]。
- 1965年(昭和40年)、琉球飴の製造を開始[15]。
- 1966年(昭和41年)、本社を現所在地へ移転。
- 1981年(昭和56年)、自動キャンディクッカーを導入[15]。
- 2012年(平成24年)、「いろは屋の金平糖」を発売。
- 2016年(平成28年)、「鐵平糖」を発売。
- 2021年(令和3年)6月、現法人を設立。
- 2022年(令和4年)2月、旧法人が福岡地裁小倉支部より特別清算開始決定を受けた[1]。
製品
金平糖など90種類の飴を製造している[3]。「いろは屋の金平糖」と「あめ彦」をブランド展開している。
金平糖
2024年現在、兵庫県以西唯一の金平糖メーカーである[25]。大釜を使った従来の製法で金平糖を製造している。
八女抹茶や大分カボス、福岡あまおうなど九州特産物を使用した商品を積極的に開発している[5][26]。2016年9月、ナオブランド(北九州市小倉南区、金平糖加工販売)と共同で、トマト味とバナナ味の金平糖を開発。トマト金平糖は「若松トマト」の果肉粉末を使用している[27]。バナナ金平糖は門司港のバナナの叩き売りに因んだものである。ナオブランド運営の「こんぺいとうカフェ」や北九州空港内の売店で販売されている[28]。
そのほか、イベントや展覧会の限定商品の開発[26][29]、およびTOTOミュージアムやJR九州「36ぷらす3」向けオリジナル商品の開発・製造受託を行っている[30]。また、北九州市在住のアーティストや学生と開発した商品も販売している[25][31]。
鐵平糖
2016年3月、「鉄」をイメージして鉄分を加えた金平糖「鐵平糖」を発売[32]。2015年に官営八幡製鐵所旧本事務所が世界遺産に登録されたことを機に千草ホテル(八幡東区)が企画し、半年を掛け開発された。「おいしくない」ことが話題を呼び[33]、3か月で3000個以上を売り上げた[34]。
飴
「ニッケ玉」、「まめ玉」、のど飴などを製造している。ニッケ玉は70年以上にわたって販売されている商品である[35]。
脚注
注釈
出典
- ^ a b c d e 法人登記情報より
- ^ a b “会社概要”. 入江製菓株式会社. 2025年5月9日閲覧。
- ^ a b c d e f 「ふくおか探索:北九州・金平糖メーカー「入江製菓」やさしい味の裏に職人気質 全て手作り、14日間かけ商品サイズに」『毎日新聞』2014年5月9日、16面。
- ^ a b 「青年部ブロック長がゆく/7月7日は「コンペイトウの日」 入江製菓株式会社」『菓子工業新聞』全国菓子工業組合連合会、2021年7月15日、8面。
- ^ a b 「つながる九州・山口:砂糖菓子、再び進化へ シュガーロード、日本遺産 各地と情報共有、再興に期待 /福岡」『毎日新聞』2021年1月3日、21面。
- ^ 菓子飴新聞社 1955, p. 415
- ^ a b c d e “創業者入江卯之助 プロフィール”. 入江製菓株式会社 (2010年10月10日). 2020年9月28日時点のオリジナルよりアーカイブ。2025年5月9日閲覧。
- ^ 東亜興信所 編『商工信用録 近畿版 昭和28年度版』東亜興信所、1953年、31頁。
- ^ a b c 菓子飴新聞社 1955, p. 472
- ^ a b c 「北九州の金平糖が熱い 五輪招致活動、エネ相会合のお土産に採用」『読売新聞』2016年6月19日、31面。
- ^ 『産経日本紳士年鑑 第5版 下』産経新聞年鑑局、1964年、48頁。
- ^ 通商産業省大臣官房調査統計部 編『全国工場通覧 昭和45年版』日刊工業新聞社、1969年、1318頁。
- ^ 通商産業省大臣官房調査統計部 編『全国工場通覧 昭和33年版』日刊工業新聞社、1957年、1590頁。
- ^ 通商産業省大臣官房調査統計部 編『全国工場通覧 昭和35年版』日刊工業新聞社、1959年、1780頁。
- ^ a b c d “沿革”. 入江製菓株式会社. 2020年11月29日時点のオリジナルよりアーカイブ。2025年5月9日閲覧。
- ^ a b 『帝国銀行・会社要録 第50版』帝国興信所、1969年、福岡 12頁。
- ^ 「(報!)長崎街道、甘い誘惑 砂糖の道、歴史・文化売り出せ 【西部】」『朝日新聞』2010年10月2日、1面。
- ^ 「これイチ:技と遊び心、新味も 九州唯一の金平糖メーカー=北九州市八幡西区・入江製菓」『毎日新聞』2013年2月4日、西部夕刊、6面。
- ^ 『全国食品業者名鑑 1980年版 西日本編』食品新聞社出版部、1979年9月、646頁。
- ^ 『東商信用録 九州版 昭和63年版』東京商工リサーチ福岡支社、1988年8月、408頁。
- ^ 『東商信用録 九州版 平成元年版』東京商工リサーチ福岡支社、1989年8月、407頁。
- ^ “コンペイトー、甘くても甘くない熟練の技 九州唯一、北九州市のメーカー工場に潜入 /福岡のミカタ”. 西日本新聞me (2024年6月17日). 2025年5月9日閲覧。
- ^ 『帝国銀行・会社要録 第56版西日本』帝国興信所、1975年、福岡 10頁。
- ^ a b 『産経日本紳士年鑑 第5版 上』産経新聞年鑑局、1964年。
- ^ a b 「金平糖 装い鮮やか まゆワッサンさん、帯デザイン 八幡西・入江製菓 今月中旬から販売 /福岡」『毎日新聞』2024年5月5日、19面。
- ^ a b 「ネジチョコ・限定の金平糖…、北九州、スイーツでPR、ファッションイベント連携、東京や大阪で販売。」『日本経済新聞』2016年9月24日、13面。
- ^ 「福岡―ナオブランド、ご当地トマト金平糖(ご当地NewFace)」『日本経済新聞』2017年1月9日、27面。
- ^ 「金平糖:若松トマト使い新開発 /福岡」『毎日新聞』2016年9月13日、24面。
- ^ 「金平糖 横山大観あしらう 北九州市立美術館=福岡」『読売新聞』2024年4月5日、18面。
- ^ “OEM実績”. 入江製菓株式会社. 2025年5月9日閲覧。
- ^ 「金平糖に若者アイデア 北九州 高校、大学生ら2種類考案=福岡」『読売新聞』2024年1月13日、24面。
- ^ 「歩む:小野山美緒さん(42)=八幡東区 「鐵平糖」新名物に / 福岡」『毎日新聞』2016年5月5日、25面。
- ^ 「[仰天ゴハン]鐵の味の金平糖 さびない誇り 情熱の結晶」『読売新聞』2019年3月31日、1面。
- ^ 「鉄の街から、鉄味の金平糖 北九州、微妙な味わい好評 【西部】」『朝日新聞』2016年6月7日、7面。
- ^ “ニッケ玉”. 入江製菓株式会社. 2025年5月9日閲覧。
参考文献
- 菓子飴新聞社 編『菓子飴年鑑 昭和30年版』菓子飴新聞社、1955年。
外部リンク
- 入江製菓株式会社 - 公式サイト
- 入江製菓 (@irieseika) - X(旧Twitter)
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