交響曲第38番 (モーツァルト)とは? わかりやすく解説

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交響曲第38番 (モーツァルト)

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2024/04/01 06:47 UTC 版)

音楽・音声外部リンク
全曲を試聴する
Mozart: Sinfonía nº 38, «Praga» - Dima Slobodeniouk - Sinfónica de Galicia - ディーマ・スロボデニューク指揮ガリシア交響楽団による演奏。ガリシア交響楽団公式YouTube。

交響曲第38番 ニ長調 K. 504 は、ヴォルフガング・アマデウス・モーツァルトが作曲した交響曲。『プラハ[1]というニックネームを持つ。1787年1月19日プラハにて初演された。

  • 基本資料の所在:ヤゲウォ大学図書館(自筆総譜)
  • 出版:〔初版〕ロンドン、チャンケッティーニ&スペラーティ社、1800年頃(総譜)。〔全集〕新モーツァルト全集第4篇、第11作品群、第8巻。

作曲の経緯

1786年12月、プラハでのオペラフィガロの結婚』(K. 492)の上演が大成功を収めたことにより、モーツァルトはプラハから招待を受けた。1787年1月22日、モーツァルトはプラハで自ら『フィガロの結婚』を指揮したが、この交響曲はそれに先立って初演されたものである。

モーツァルト自身の作品目録によれば、この交響曲の完成は1786年12月6日で、プラハ旅行の少し前である。このため、作曲の目的はプラハでの演奏ではなく、1786年から1787年の冬のウィーンでの演奏会のためではないかと見られている。ただし、ウィーンでの演奏の記録は残されていない。

楽器編成

曲の構成

この交響曲は3楽章からなり、メヌエット楽章を欠いているが、その理由は不明である。アラン・タイソンによる自筆譜の研究では、第3楽章の執筆時期は1786年のはじめとされる。タイソンは、同じニ長調で3楽章構成の『第31番 ニ長調《パリ》』(K. 297)のフィナーレを差し替えるために第3楽章を作曲し、のちに第1、2楽章も新たに書いたのではないかと推測している。

  • 第1楽章 アダージョ - アレグロ
    ニ長調、4分の4拍子、序奏つきソナタ形式
    
\relative c' {
  \override Score.NonMusicalPaperColumn #'line-break-permission = ##f
  \version "2.18.2"
  \key d \major
  \tempo "Adagio"
  \tempo 4 = 45
  \override TupletBracket #'direction = #-1
  \override TupletBracket #'stencil = ##f
  d2~\fp d4 r8. \times 2/3 { a32\f( b cis } |
  d4) r8. \times 2/3 { a32( b cis } d8)[ r16 \times 2/3 { a32( b cis] } d8)[ r16
    \times 2/3 { a32( b cis] } |
  d8) r fis\p r a r d r |
  ais,2\f( b8) r r4
}
    アダージョによる導入部から始まる。
    
<<
\new Staff \relative c'' {
  \version "2.18.2"
  \clef "treble"
  \key d \major
  \tempo "Allegro"
  \time 4/4
  \tempo 4 = 160
 d,8 \p ^ \markup{V1} d4 d d d8 ~
 d8 d4 d d d8 ~
 d8 d4 d d d8 ~
 d8 d4 d d d8 ~
 d8 d d d d d d e16 fis
 g8 g g g g g g (fis16 g)
 <a d>2 \f ^ \markup{Fl} <fis' d'> ~
 <fis d'>8   (<e cis'>)  <g b-.>   <fis a-.>
  <fis a>  (<e g>)  <d fis-.>   <cis e-.>
}
\new Staff \relative c' {
    \clef "treble"
    \key d \major
    \time 4/4
    R1 a1\p ^\markup {V2}
    b4 c!2 a4
    b4 c!2 a4
    b2 (a b cis)
    d4 r4 r2 R1
}
>>
    D音シンコペーションがやがて8分音符の快活な連打となり、そこから第1主題が流れ出る様は非常に印象的である(また、この第1主題の対旋律は、『フィガロの結婚』の有名なアリア「もう飛ぶまいぞこの蝶々」からとられており、第2主題が短調を経た後に同じく『フィガロの結婚』より、スザンナのアリア「膝をついて」が現れる)。
    再現部は展開部の流れを受けて、第1主題が提示部における発展順序と一部入れ替わっているため、再現部と展開部とが相互浸透的になっている。
  • 第3楽章 フィナーレ:プレスト
    ニ長調、4分の2拍子、ロンドソナタ形式
    
<<
  \new Staff \with { instrumentName = #"V1 "}
  \relative c'' {
    \version "2.18.2"
    \key d  \major
    \tempo "Presto"
    \time 2/4
    \tempo 4 = 180
     r8 d8\p fis d
     a'2 ~
     a8 (g4 fis8 ~
     fis e4 dis8)
     fis (e) r8 dis
     fis (e) r8 dis
     fis (e) e-. dis-.
      fis (e) e-. e-.
}
\new Staff \with { instrumentName = #"V2 "}
\relative c'' {
    \key d  \major
    \time 2/4
     d,4\p r4
     r8 fis a fis
     d'4 (c b a)
     g8 r8 a r8 
     g8 r8 a r8
     g8 r8 a r8
     g8 r8 r4    
}
>>
    第1主題の旋律は『フィガロの結婚』第2幕のスザンナとケルビーノの二重唱「早く開けて」に似る。

脚注

  1. ^ 古くは英語読みをした『プラーグ』と呼ばれることもあり、現在でも全音ポケットスコアの楽譜ではこの表記になっている[1]

参考文献

  • 海老澤敏ほか『モーツァルト事典』東京書籍、1991年
  • 『作曲家別名曲解説ライブラリー14 モーツァルトI』音楽の友社、1993年

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