ランゴバルド人とは? わかりやすく解説

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ランゴバルド人

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2024/04/04 22:52 UTC 版)

ランゴバルド人(ランゴバルドじん、: Lombards, : Longobardi, : Langobarden, : Lombards, : Langobardi, ギリシア語ラテン翻字: Langobardoi)、またはランゴバルド族(ランゴバルドぞく)は、6世紀後半にイタリア半島の大部分を支配する王国(ランゴバルド王国)を築いたことで知られるゲルマン系部族である。日本語ではしばしば英語形に基づきロンバルドとも表記される。


注釈

  1. ^ ランゴバルド人はWōtan(ウォータン)に「G」を加えてこのように呼んだとされる[1]
  2. ^ このような移動経路地図の利用には鋭い批判があることに留意が必要である。古代の著述家がしばしば人々の集団(「民族」)を不変の存在として描写し、近代ヨーロッパのナショナリズムがそのように描写された古代の「民族」に自らの起源を見出したことによって、数百年に渡り同質性を保ち放浪する「蛮族」の「大移動」というモデルが強化され流布してきた。しかし、第二次世界大戦後の歴史学・考古学や関連諸学の発展は、こうした部族の成員が流動的であったこと、部族の存在が遺伝的連続性に立脚したものではないこと、言語の類似が直接的な血縁を証明するものではないことなどを明らかにしている。また、地図を構築するのに用いられる複数の史料の性格や信憑性の情報は捨象されてしまう。このことから、ここに示したような矢印を用いた部族の移動経路図は、複数の史料の証言を荒く合成したものであると同時に、不変の「民族」を前提とすることから、基本的に否定されるべきであるという指摘がされる。クメールとデュメジルはまさに、Wikipediaにおけるこうした移動経路図の提示を、民族についての古い理解を再び流布するものとして批判している[6]
  3. ^ Schone(スコーネ)とも。Schonenはドイツ語[4][4]
  4. ^ ランゴバルド人がスカンディナヴィア半島に起源を持つという伝承はパウルス・ディアコヌスが記した『ランゴバルドの歴史』に記録されている。ただし、パウルス・ディアコヌスはスカンディナヴィアを島であると記している。彼によれば人口過剰のため部族全体を3つに分け、そのうちの1つをクジ引きで選び、新しい土地へ移住させることにしたという[8]
  5. ^ タキトゥスによればスエビ人のうち、その母族として最も古く、最も高貴とされる首族[9]
  6. ^ 現代にもドイツにはバルデンガウドイツ語版バルドヴィーク英語版のように、ランゴバルド族に由来する地名が残存する[4]

出典

  1. ^ 髙橋輝和編訳、『古期ドイツ語作品集成』(2003)p.337、K5.パウルス・デアーコルヌスの『ランゴバルド史』より。
  2. ^ a b c d e f g h i j k l m n o p 久野 1971, p. 38
  3. ^ ランゴバルドの歴史, 巻1§8
  4. ^ a b c d ゲルマニア, 第2部§40、訳注(一)より。
  5. ^ a b c 西洋古典学辞典 2010, p. 1325 「ランゴバルディー(族)」の項目より
  6. ^ クメール、デュメジル 2019, pp. 18-26
  7. ^ a b 久野 1971, p. 37
  8. ^ ランゴバルドの歴史, 巻1§2
  9. ^ ゲルマニア, 第2部§39
  10. ^ ゲルマニア, 第2部§40
  11. ^ a b c 久野 1971, p. 39
  12. ^ a b c 久野 1971, p. 40
  13. ^ a b 久野 1971, p. 41
  14. ^ a b c d e f g 久野 1971, p. 44
  15. ^ a b c d e f g 久野 1971, p. 42
  16. ^ 久野 1971, p. 43
  17. ^ a b c 久野 1971, p. 45
  18. ^ a b 久野 1971, p. 46
  19. ^ a b c d 久野 1971, p. 47
  20. ^ 久野 1971, p. 48
  21. ^ a b c 久野 1971, p. 49
  22. ^ リシェ 1974, p. 158
  23. ^ a b 斎藤 2008, p. 128
  24. ^ 斎藤 2008, p. 126
  25. ^ a b c d e 斎藤 2008, p. 130
  26. ^ リシェ 1974, p. 160
  27. ^ a b c 斎藤 2008, p. 135
  28. ^ Kortmann, Bernd (2011). The Languages and Linguistics of Europe: Vol.II. Berlin 
  29. ^ Marcello Meli, Le lingue germaniche, p. 95.
  30. ^ a b c d e f g h i j k 言語学大辞典, pp. 713-717「ランゴバルド語」の項目より
  31. ^ Emilia Denčeva, Langobardische (?) Inschrift auf einem Schwert aus dem 8. Jahrhundert in bulgarischem Boden.
  32. ^ ランゴバルドの歴史, 巻1§14
  33. ^ ランゴバルドの歴史, 巻1§16
  34. ^ ランゴバルドの歴史, 巻1§15
  35. ^ a b c ランゴバルドの歴史, 巻1§18
  36. ^ a b ランゴバルドの歴史, 巻1§20
  37. ^ ランゴバルドの歴史, 巻1§21
  38. ^ ランゴバルドの歴史, p. 22。訳者、日向太郎の訳注(34)による
  39. ^ ランゴバルドの歴史, 巻1§22


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