ボラト (ジョチ家)とは? わかりやすく解説

Weblio 辞書 > 辞書・百科事典 > 百科事典 > ボラト (ジョチ家)の意味・解説 

ボラト (ジョチ家)

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/05/25 03:39 UTC 版)

ナビゲーションに移動 検索に移動

ボラト・ハン(بولاد būlād、? - 1410年)は、バトゥ家断絶後のジョチ・ウルスハントカ・テムル系ノムカン王家の出で、先々代のハンテムル・クトルクの子にあたる。プーラード、プラドとも。

マングト部のエディゲによって推戴された傀儡ハンの一人。

概要

ボラトはジョチの十三男トカ・テムルの末裔で、トカ・テムルの孫のノムカンを始祖とする「ノムカン家」の出身であった[1]。ノムカン家のテムル・ベクオロス・ハンの没後にオルダ・ウルスでハンに即位しており、テムル・ベクの子のテムル・クトルクの子がボラトとなる[2]

テムル・ベクはトクタミシュ・ハンに敗れて亡くなり、トクタミシュはジョチ・ウルスの再統一を達成するも、南方のティムールと対立して没落した[3]。トクタミシュの没落後に台頭してきたのがマングト部のエディゲで、エディゲはテムル・ベクと自身の妹の子であるテムル・クトルクを擁立し、バトゥ・ウルスの大部分を支配した[4]

テムル・クトルクの没後にエディゲはその従兄弟にあたるシャディ・ベクを擁立したが、シャディ・ベクはエディゲを排斥しようとしたために逆にエディゲによって殺されてしまった[5]。シャディ・ベクの死後にエディゲが擁立したがのがボラト・ハンであり、ヒジュラ暦812年(1409年-1410年)にティムール朝シャー・ルフの下に使者を派遣したことが記録されている[2]

しかし、その翌年のヒジュラ暦813年(1410年-1411年)に息子を残さず急逝してしまったため、ハン位は弟のテムル・ハンに移ることになった[2]

トカ・テムル系ノムカン王家

  • ジョチ(Jöči >朮赤/zhúchì,جوچى خان/jūchī khān)
    • トカ・テムル(Toqa temür >توقا تیمور/tūqā tīmūr)
      • キン・テムル(Kin temür >کين تيمور/kīn tīmūr)
        • アバイ(Abai >اباي/abāy)
          • ノムカン(Nomuqan >نومقان/nūmuqān)
            • クトルク・テムル(Qutluq temür >قتلق تيمور/qutluq tīmūr)

脚注

  1. ^ 赤坂2005,87-90頁
  2. ^ a b c 赤坂2005,300頁
  3. ^ 川口2002,84-85頁
  4. ^ 坂井2007,42-44頁
  5. ^ 坂井2007,41-42頁

参考文献

  • 赤坂恒明『ジュチ裔諸政権史の研究』(風間書房、2005年2月)
  • 赤坂恒明「ペルシア語・チャガタイ語諸史料に見えるモンゴル王統系譜とロシア」『北西ユーラシアの歴史空間』(北海道大学出版会、2016年3月)
  • 川口琢司「キプチャク草原とロシア」『岩波講座世界歴史11』(岩波書店、1997年
  • 川口琢司「ジョチ・ウルスにおけるコンクラト部族」『ポストモンゴル期におけるアジア諸帝国に関する総合的研究』(2002年
  • 坂井弘紀「ノガイ・オルダの創始者エディゲの生涯」『和光大学表現学部紀要』(第8号、2007年

「ボラト (ジョチ家)」の例文・使い方・用例・文例

Weblio日本語例文用例辞書はプログラムで機械的に例文を生成しているため、不適切な項目が含まれていることもあります。ご了承くださいませ。


英和和英テキスト翻訳>> Weblio翻訳
英語⇒日本語日本語⇒英語
  

辞書ショートカット

すべての辞書の索引

「ボラト (ジョチ家)」の関連用語

ボラト (ジョチ家)のお隣キーワード
検索ランキング

   

英語⇒日本語
日本語⇒英語
   



ボラト (ジョチ家)のページの著作権
Weblio 辞書 情報提供元は 参加元一覧 にて確認できます。

   
ウィキペディアウィキペディア
All text is available under the terms of the GNU Free Documentation License.
この記事は、ウィキペディアのボラト (ジョチ家) (改訂履歴)の記事を複製、再配布したものにあたり、GNU Free Documentation Licenseというライセンスの下で提供されています。 Weblio辞書に掲載されているウィキペディアの記事も、全てGNU Free Documentation Licenseの元に提供されております。
Tanaka Corpusのコンテンツは、特に明示されている場合を除いて、次のライセンスに従います:
 Creative Commons Attribution (CC-BY) 2.0 France.
この対訳データはCreative Commons Attribution 3.0 Unportedでライセンスされています。
浜島書店 Catch a Wave
Copyright © 1995-2025 Hamajima Shoten, Publishers. All rights reserved.
株式会社ベネッセコーポレーション株式会社ベネッセコーポレーション
Copyright © Benesse Holdings, Inc. All rights reserved.
研究社研究社
Copyright (c) 1995-2025 Kenkyusha Co., Ltd. All rights reserved.
日本語WordNet日本語WordNet
日本語ワードネット1.1版 (C) 情報通信研究機構, 2009-2010 License All rights reserved.
WordNet 3.0 Copyright 2006 by Princeton University. All rights reserved. License
日外アソシエーツ株式会社日外アソシエーツ株式会社
Copyright (C) 1994- Nichigai Associates, Inc., All rights reserved.
「斎藤和英大辞典」斎藤秀三郎著、日外アソシエーツ辞書編集部編
EDRDGEDRDG
This page uses the JMdict dictionary files. These files are the property of the Electronic Dictionary Research and Development Group, and are used in conformance with the Group's licence.

©2025 GRAS Group, Inc.RSS