フィルモア・イースト 1969
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2025/04/22 10:12 UTC 版)
『フィルモア・イースト・1969』 | ||||
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ザ・ナイス の ライブ・アルバム | ||||
リリース | ||||
録音 | ||||
ジャンル | サイケデリック・ロック プログレッシブ・ロック |
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時間 | ||||
レーベル | カリスマ・レコード | |||
専門評論家によるレビュー | ||||
AllMusic Rating ![]() |
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ザ・ナイス アルバム 年表 | ||||
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『フィルモア・イースト 1969』 (Live at the Fillmore East December 1969) は、イングランドのロック・バンドのザ・ナイスが1969年12月にフィルモア・イーストで行なったコンサートを収録したCD。
彼等が1970年4月に解散した当時在籍していたカリスマ・レコードによって、録音後40年たった2009年に発表された[注釈 1]。
解説
経緯
1969年11月下旬、ザ・ナイスは3度目のアメリカ・ツアーを開始し、12月11日から14日まで、サンフランシスコのフィルモア・ウエストでザ・チャンバーズ・ブラザーズ、キング・クリムゾンと同じステージに立った[1]。メンバーのキース・エマーソン(キーボード)は、マネージャーのトニー・ストラットン・スミスの薦めで[注釈 2][2]キング・クリムゾンのグレッグ・レイク(ベース・ギター、ヴォーカル)と16日に秘密裏に話し会い、ザ・ナイスを脱退してレイクと新しいトリオを結成しようと決意した[3]。
本作はその数日後の19日と20日にニューヨークのフィルモア・イーストで開かれたコンサートの模様を収録した。20日のコンサートはアメリカ・ツアーの最後のものだった。
内容
ザ・ナイスはサード・アルバム『ジャズ+クラシック/ロック=ナイス』(1969年)以後のアルバムにオーケストラとの共演を含むライブ音源の幾つかを収録したが、本作にはエマーソン、リー・ジャクソン(ベース・ギター、ヴォーカル)、ブライアン・デヴィソン(ドラムス)のトリオだけのコンサートのほぼ全編が収録されている[4]。
カリスマ・レコード[注釈 3]は、本作の収録日と同じ1969年6月19日と20日にフィルモア・イーストで録音された音源として、「カントリー・パイ」を彼等が解散した直後の1970年6月に発表した『ファイヴ・ブリッジズ』、「夢を追って」と「アメリカ」を1971年4月に発表した未発表音源集『エレジー』に、それぞれ収録した。本作に収録された3曲は、それらとは異なる演奏である[注釈 4]。
「リトル・アラベラ」の中間部のヴォーカルは、オリジナルのスタジオ録音版[注釈 5]と同様にエマーソンが担当している。「夢を追って」と「間奏曲(「カレリア組曲」より)」では、ジャクソンがベース・ギターでボウイング奏法を披露している。
収録曲
# | タイトル | 作詞・作曲 | 時間 |
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1. | 「ロンド Rondo」 | Keith Emerson, Davy O'List, Brian Davison, Lee Jackson | |
2. | 「少年易老学難成 Ars Longa Vita Brevis」 | Emerson, O'List, Davison, Jackson | |
3. | 「リトル・アラベラ Little Arabella」 | Emerson, Jackson | |
4. | 「シー・ビロングズ・トゥ・ミー She Belongs To Me」 | Bob Dylan | |
合計時間:
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# | タイトル | 作詞・作曲 | 編曲 | 時間 |
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1. | 「カントリー・パイ Country Pie」 | Dylan | ||
2. | 「ファイヴ・ブリッジズ Five Bridges Suite」 | Emerson, Jackson | ||
3. | 「夢を追って Hang On To A Dream」 | Tim Hardin | ||
4. | 「間奏曲(「カレリア組曲」より) Intermezzo: Karelia Suite」 | John Julius Christian Sibelius | Emerson, Joseph Eger | |
5. | 「アメリカ America」 | Leonard Bernstein, Steven Sondheim | Emerson, Jackson, Davison | |
6. | 「戦争と平和 War And Peace」 | Emerson, O'List, Davison, Jackson | ||
合計時間:
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参加ミュージシャン
- ザ・ナイス
- キース・エマーソン Keith Emerson – ピアノ、オルガン、ヴォーカル
- リー・ジャクソン Lee Jackson – ベース・ギター、ヴォーカル
- ブライアン・デヴィソン Brian Davison – ドラムス、パーカッション
脚注
注釈
- ^ 製品番号はVirgin Records Ltd. 693 1432である。
- ^ エマーソンはスミスに、新しいヴォーカリストを見つけたいと伝えていた。
- ^ トニー・ストラットン・スミスが設立したレーベル。
- ^ 『ファイブ・ブリッジズ』に収録された「カントリー・パイ」は6月19日の録音であるので、本作に収録された同曲は6月20日の演奏であろう。『エレジー』には収録された「夢を追って」と「アメリカ」の録音日が記載されていないので、本作の収録曲が6月19日の演奏が20日の演奏かは不明である。『エレジー』の「夢を追って」は『ジャズ+クラシック/ロック=ナイス』に収録されたスタジオ録音版と同様にピアノで演奏されていたが、本作の「夢を追って」はハモンド・オルガンで演奏されている。
- ^ 1968年発表のセカンド・アルバム『少年易老学難成』に収録。
出典
- ^ Hanson (2014), pp. 136–140.
- ^ Hanson (2014), pp. 138, 141.
- ^ Emerson (2003), p. 161.
- ^ Hanson (2014), p. 254.
参考文献
- Emerson, Keith (2003), Pictures of an Exhibitionist, John Blake, ISBN 9-781904-034797
- Hanson, Martyn (2014), Hang on to a Dream: The Story of the Nice, Foruli Classics, ISBN 978-1-905792-61-0
関連項目
- フィルモア・イースト 1969のページへのリンク