ピロティ階
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2014/11/27 12:37 UTC 版)
この記事は検証可能な参考文献や出典が全く示されていないか、不十分です。 出典を追加して記事の信頼性向上にご協力ください。(2011年10月) |
ピロティ階(ピロティかい)とは、「耐力壁、そで壁、腰壁、たれ壁、方立て壁等の量が上階と比較して急激に少なくなっている階」を示す構造計算用語である。構造関係技術基準に明記されている。
建築学用語でピロティとは「1階を壁で囲わずに、柱だけの外部に開かれた空間」と定義されているが、構造計算においては、1階かどうかと壁の有無。開放性について限定せず“ピロティ階”として独自に定義されている。
大震災で水平剛性、水平耐力が不足し応力により座屈が集中し、被害が増大したため、構造上特筆してこのように呼ばれる。日本においてピロティが普及し始めた後に発生した1964年(昭和39年)の新潟地震以降注目されるようになった。
ピロティ階特徴的被害
ピロティ型建築物の中でもピロティ型共同住宅建築物の被害は、1995年(平成7年)の兵庫県南部地震における特徴的被害の一つである。
- 多くは、ピロティ階において直上の耐力壁を支持する単独柱の軸力変動が非常に大きくなる1スパンの建築物
- ピロティ階において直上の耐力壁を支持する単独柱の曲げ降伏又はせん断破壊による
- ピロティ階への過度の変形及び集中を生じる層崩壊メカニズムにより崩壊
- 中高層建築物の中間階の被害ねじれに起因する破壊並びに1層のせん断破壊等のように、現行基準以前・以降に関わらず多く見られた。
ピロティ階建築物の層崩壊の防止
- 耐力壁等を特定部分に過度の変形が生じないようを適切に配置。
- 変形が集中しやすい場合には、荷重増分解析等により、建築物の塑性化後の挙動を確認。
- ピロティ階の構造部材に十分な靭性と強度を確保。
- ピロティ階で層崩壊しないような架構形式として1階柱の上下端の曲げ降伏形、2階壁脚での壁曲げ降伏形を想定。
- イメージとして1階部分の剛性、強度を十分に高くし、人工地盤的な架構にする。
ピロティ階の単独柱及び耐力壁の設計
- ピロティ階の単独柱の設計は、柱上下端で曲げ降伏となるように設計。
- 曲げ強度算定用の軸力は崩壊メカニズム時で計算。
- せん断対しては崩壊メカニズム形成までに生じうる最大のせん断力に対して余裕をもつ。
- 全体崩壊形の場合には、単独柱には、上部の耐力壁からの軸方向力変動の増加する可能性があるので、十分な靭性を付与。
- 耐力壁は、ピロティ階で確実に降伏させないように、せん断強度を崩壊メカニズム時のせん断力に対し約1.2倍以上。
- 耐力壁を支持する単独柱の軸方向力は、当該柱の引張耐力の0.75以下、圧縮耐力σ/Fc≦0.55にする
ピロティ階の直上直下の床版の設計
- 耐力壁の剪断力を床スラブを通じピロティ階の耐力壁や柱に伝達する必要があるためピロティ階の直上、直下の床スラブは、十分な剛性及び強度を確保。
関連項目
- ピロティ階のページへのリンク