バトラー・ボルマー式
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出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2025/01/04 14:22 UTC 版)
バトラー・ボルマー式(バトラー・ボルマーしき、英: Butler–Volmer equation)または Erdey-Grúz–Volmer 式とは、電気化学反応速度論における最も基礎的な関係式である。同じ電極上でカソード反応とアノード反応の両方が起きるとした上で、電極に流れる電流が次のように電極電位に依存することを主張する。
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上図は電流密度がどのように過電圧 η に依存するかを表わす。アノード電流密度は ja, カソード電流密度 jc と書き、α=αa=αc=0.5 かつ j0 = 1 mA/cm2 と置いた(白金およびパラジウムの値に近い)。下図は α の値によってどのようにグラフが変化するかを片対数グラフで示している。 ここで、次のような変数を用いた。
- j: 電極電流密度 A/m2 (j = I/A)
- j0: 交換電流密度 A/m2
- E: 電極電位 V
- Eeq: 平衡電位 V
- T: 絶対温度 K
- z: 電極反応に関わる電子数
- F: ファラデー定数
- R: 気体定数
- αc: いわゆるカソード電荷移動係数: 無次元数
- αa: いわゆるアノード電荷移動係数: 無次元数
- η: 活性化過電圧 (η = E − Eeq)
右図のプロットは αa=1 − αc が成り立つものとしている。
この式の名称は、ジョン・アルフレッド・バレンタイン・バトラー[1]とマックス・フォルマー (Max Volmer)に由来する。
物質輸送律速
前述した形式のバトラー・ボルマー式は電極反応が電荷移動律速の場合、すなわちバルク電解質と電極表面との間の物質輸送が十分に速い場合にのみ成り立つ。しかし、電気化学においてバトラー・ボルマー式は広く有用であり、しばしば「現象論的電極反応速度論における中心的な方程式」 "central in the phenomenological electrode kinetics" であると言及される[2][3]。
限界電流の領域では、電極反応の中で物質輸送過程が律速段階であり、電流密度は以下のように記述される。
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