ニュートン・ガウス線
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2024/12/07 17:07 UTC 版)

幾何学において、ニュートン・ガウス線[1](ニュートン・ガウスせん、英: Newton–Gauss line, Gauss–Newton line)あるいは単にニュートン線[2]は、完全四辺形の3つの対角線の中点を結ぶ直線である。
凸四角形の2つの対角線の中点を結ぶ直線であるニュートン線とは区別される。四角形の辺を延長して、完全四辺形を作れば、四角形のニュートン線は完全四辺形のニュートン・ガウス線となる。
完全四辺形
一般の位置にある(どれも平行でないかつ共点でない)4つの直線は、完全四辺形を成す。この配置は4本の直線とその6つの交点から成る[3]。この6点のうち任意の2点を端点とする線分が、もと4直線の交点以外で交わるように、6つの交点を3組に分割することができる。この3つの線分を完全四辺形の対角線という。
ニュートン・ガウス線の存在証明

完全四辺形の対角線の中点が共線であることはとても有名な定理である[4]。証明方法も多く存在しており、例えば面積[4]や楔積[5]、ガウス・ボーデンミラーの定理[1]を用いるものなどがある。ここでは、1920年のHillyerによるメネラウスの定理を用いた証明を紹介する[6]。
対角線がAA', BB', CC'であるような完全四辺形ABCA'B'C'について、線分AA', BB', CC',BC, CA', A'Bの中点をそれぞれL, M, N, P, Q, Rとする。明らかにL, Q, Rは共線である。同様にM, R, PとN, P, Qも共線であるから、三角形の相似より次の関係式が成立する。
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図1: 角の等価性。 円に外接する四角形ABCDの対角線AC, BDの交点をF、対辺AB, CDの交点をE、 EFの中点をN、BCの中点をMとする(図1)。
定理
BFの中点をPとすれば、完全四辺形ABCDEFのニュートン・ガウス線と直線PMによって決定される角∠PMNは∠EFDと等しい。
証明
BE ∥ PNとFC ∥ PMから∠NPM = ∠EACが分かる。また、
図2:等角共役線。 等角共役線
定理
完全四辺形ABCDEFのニュートン・ガウス線のEを通る平行線は、∠BECにおける直線EFの等角共役線である[7]。
証明
三角形△EDF, △NPM は相似であるから、∠DEF = ∠PNMである。完全四辺形ABCDEFのニュートン・ガウス線NMのEを通る平行線とBCの交点をE'とする。
PN ∥ BE と NM ∥ EE' より、∠BEF = ∠PNF, ∠FNM = ∠E'EF。
したがって、
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図3:四角形MPGN, MQHN は円に内接する。 補題
GとHを、点Fのそれぞれ直線AB,CDにおける直交射影とする。
証明
前項で示したように、∠EFD = ∠PMN。 点PとNはそれぞれ直角三角形△BFG, △EFGの外心であるから∠PGF = ∠PFGと∠FGN = ∠GFNが成立する。
したがって、
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図4:完全四辺形EDGHIJ, ABCDEFはニュートン・ガウス線を共有する。 定理
GF, HFの延長線は、それぞれEC, EBとI, Jで交わるとする。
完全四辺形 EFGHIJ, ABCDEFのニュートン・ガウス線は一致する[7]。
証明
2つの完全四辺形は対角線EFを共有する。Nは双方のニュートン・ガウス線上に位置する。四角形EGFHが円に内接することと、その円の中心がNであることより、NはG,Hと等距離である。
△GMP, △HMQ が合同ならば、MはHGの垂直二等分線上に位置するから、 直線MNは線分GHの中点を含むみ、完全四辺形EFGHIJのニュートン・ガウス線となる。
△GMP, △HMQの合同を示す。BF, BCの中点がM, Pであることより、PMQFは平行四辺形である。
したがって
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