トマト黄化葉巻ウイルス
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2025/09/02 00:55 UTC 版)
トマト黄化葉巻ウイルス(トマトおうかはまきウイルス、Tomato Yellow Leaf Curl Virus:TYLCV)は、ジェミニウイルス科ベゴモウイルス属に属するウイルスの一種[1]。トマト黄化葉巻病(tomato yellow leaf curl disease:TYLCD)を生じさせる病原ウイルスの一種である[2]。
なお、TYLCVはしばしば土着種等を含むTYLCV様ウイルスの総称を指すことがあり、TYLCDもTYLCV様ウイルスなどが感染してトマトに発生する病気の総称と定義されることがある[2][注釈 1]。
系統
種としてのTYLCVには、イスラエル系統(TYLCV-IL)、イスラエルマイルド系統(TYLCV-Mld)、イラン系統(TYLCV-IR)、ゲジラ系統 (TYLCV-Gez)、オマーン系統(TYLCV-OM)の5系統がある[2][3]。
- イスラエル系統(TYLCV-IL)[3] - 上海株、土佐株、長崎株など[2]
- イスラエルマイルド系統(TYLCV-Mld)[3] - 単にマイルド系統とも、愛知株、レユニオン株、静岡株など[2]
- イラン系統(TYLCV-IR)[3]
- ゲジラ系統 (TYLCV-Gez)[3]
- オマーン系統(TYLCV-OM)[3]
伝染様式
シルバーリーフコナジラミによる循環型の永続伝搬がみられる[4]。これらの成虫や幼虫が罹患植物を吸汁する際にウイルスを体内に取り込むことで伝搬能力を持つようになる[4]。経卵伝染の報告もあるが、日本では確認されていない[4]。また、接ぎ木により感染するが、種子伝染や土壌伝染はしないとされる[4]。
宿主範囲
TYLCVが自然感染する作物は少なく、経済作物ではトマト、タバコ、トルコギキョウ、ヒャクニチソウの4種に感染し発病することが知られている[4]。インゲンマメやヒラマメにも感染するが病徴を現わさない[4]。雑草では、ウシハコベ、エノキグサ、ノゲシに感染することが確認されている[4]。また、接種によりシロバナチョウセンアサガオに感染することも明らかになっている[4]。
植物の病害
脚注
注釈
出典
- ^ 本多健一郎. “トマト黄化葉巻病と媒介コナジラミ、防除法を巡る研究情勢と問題点”. 農林水産省. 2025年9月2日閲覧。
- ^ a b c d e f 上田 重文「トマト黄化葉巻病の流行と予防」『植物防疫』第62巻第8号、2008年。
- ^ a b c d e f 岡田 亮、David,W.、高木 素紀、鹿島 哲郎「黄化葉巻病耐病性トマト品種におけるトマト黄化葉巻ウイルスの動態」『茨城県病害虫研究会報』第58号、茨城県病害虫研究会、2019年5月、29-40頁。
- ^ a b c d e f g h i 行徳 裕. “Tomato yellow leaf curl virus(TYLCV)によるトマト黄化葉巻病の発生生態と防除”. 農林水産省. 2025年9月2日閲覧。
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