ダスト・プラズマとは? わかりやすく解説

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ダストプラズマ

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2024/07/19 05:58 UTC 版)

ダストプラズマ (dusty plasma) はイオン電子のほかに、μm(マイクロメートル)程度の巨視的大きさをもつ多数のダスト(dust、ちり、すなわち固体微粒子)を含むプラズマのことで、微粒子プラズマとも呼ばれる。そこではダスト微粒子、つまりダストの粒子には沢山の電子が付着して大きな負の電荷をもった粒子になり、通常のプラズマには見られない多くの興味ある現象を引き起こす。ダストプラズマは、宇宙空間、半導体製造のプラズマプロセスで多く見出され、それぞれ宇宙探査、産業上の問題として研究が進められた。その一方でダストプラズマは電子とイオンとに関しては通常のプラズマと同じで弱結合系であるが、ダスト微粒子だけに着目するとその粒子系は容易に強結合系にもなるので、弱結合系(ガス状態)から強結合系の典型的現象である結晶化までを個々の粒子レベルで観察出来る興味深い物理系として研究が進んでいる。

ダストプラズマの物理

ダスト微粒子の大きさと帯電

ダストプラズマ中のダスト微粒子の大きさは数 nm(ナノメートル)から数百 μm(マイクロメートル)までの広範囲にわたる。典型的には数 μm の微粒子を考える。

プラズマ中では微粒子は電子とイオンの流入を受けるが、速さに勝る電子がより多く流入して、微粒子は負に帯電する。その結果、微粒子の電位は負になる。そして電位が充分低くなると電子を追い返すようになり、電子とイオンの流入放出が釣り合って荷電が一定の値に落ち着く。その値は小さい微粒子では電気素量 e の数倍であるが、μm以上の大きな微粒子では103e から104e にもなる。

かようにして、ダスト微粒子は一般に大きな荷電を持っている。そしてnmスケールの小さいダスト微粒子はプラズマのほかのイオンや電子と同様に電磁場による力によって行動が支配される。しかし、数十 μm クラスの大きい微粒子では重力やプラズマによる粘性抵抗の影響を強く受ける。

強結合と弱結合

一般にある粒子系で、隣り合う粒子間の相互作用エネルギーが平均して熱運動エネルギーよりも大きい場合を強結合、小さい場合を弱結合という。通常のプラズマは弱結合である。それに対し、ダストプラズマではダスト微粒子の荷電 Q が大きいために、微粒子系に着目すると、それは容易に強結合になる。

粒子系での平均粒子間距離

出典は列挙するだけでなく、脚注などを用いてどの記述の情報源であるかを明記してください。記事の信頼性向上にご協力をお願いいたします。2022年12月
  • 「小特集 ダストプラズマの現状と課題」『プラズマ・核融合学会誌』73巻11号1220-1261頁、1997年。
  • 「小特集 ダストプラズマの基礎物理とその広がり」『プラズマ・核融合学会誌』78巻4号293-334頁、2002年。
  • 東辻浩夫「微粒子プラズマにおける臨界現象」『プラズマ・核融合学会誌』82巻10号693-698頁、2006年。
  • 東辻浩夫『プラズマ物理学』朝倉書店、2010年




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