サステナブルファイナンスとは? わかりやすく解説

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サステナブルファイナンス

(ソーシャルボンド から転送)

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2025/08/04 00:26 UTC 版)

サステナブルファイナンス英語: Sustainable finance)は、新たな産業・社会構造への転換を促し、持続可能な社会を実現するための金融手法である[1]

概要

2006年責任投資原則(PRI)が策定された。2007年欧州投資銀行(EIB)が「Climate Awareness Bond」を発行、2008年に初の「グリーンボンド」を世界銀行が発行した[2]

2015年持続可能な開発目標(SDGs)とパリ協定が採択された。国際資本市場協会(ICMA、en:International Capital Market Association)によりグリーンボンド原則、ソーシャルボンド原則、グリーンローン原則、サステナビリティ・リンク・ローン原則、サステナビリティ・リンク・ボンド原則などの策定が進んだ。

また、関連する規定としては、赤道原則en:Equator Principles)やEUタクソノミーen:EU taxonomy for sustainable activities)などがある。

種類

  • グリーンファイナンス
  • サステナビリティ・リンク・ローン[5]
  • サステナビリティ・リンク・ボンド
  • トランジションファイナンス[6]
    • トランジション・ボンド
    • トランジション・ローン
    • トランジション・リンク・ローン
  • SDGs債
  • ソーシャルボンド
  • サステナビリティボンド

気候シナリオ分析とNGFS

TCFD提言の中核的な要素の一つに「シナリオ分析」の実施がある。これは、企業が複数の気候変動シナリオ(例えば、2℃未満上昇シナリオや4℃上昇シナリオなど)を用いて、自社の事業戦略や財務計画のレジリエンス(頑健性)を評価することを求めるものである[7]

このシナリオ分析を実施する際に、国際的な共通参照枠組みとして広く活用されているのが、気候変動リスク等に係る金融当局ネットワーク(NGFS)が提供する「NGFSシナリオ」である[8]。NGFSシナリオは、脱炭素社会への移行に伴う移行リスク(例:炭素税導入によるコスト増)と、気候変動の物理的影響による物理的リスク(例:自然災害による資産の毀損)を整合的に評価できるように設計されており、金融機関はこれを用いて投融資ポートフォリオのリスク評価や、ネットゼロ目標と整合した経営戦略の策定を行っている[9]

日本

日本国内では、初のグリーンボンドが2014年(平成26年)に日本政策投資銀行により発行された[10]

日本政府も力を入れており、2017年(平成29年)の環境省「グリーンボンドガイドライン」、2020年(令和2年)の環境省「グリーンローン及びサステナビリティ・リンク・ローンガイドライン2020年版」、2021年(令和3年)の金融庁経済産業省・環境省「クライメート・トランジション・ファイナンスに関する基本指針」、金融庁「ソーシャルボンドガイドライン」、2022年(令和4年)の環境省「グリーンボンド及びサステナビリティ・リンク・ボンドガイドライン2022年版」、「グリーンローン及びサステナビリティ・リンク・ローンガイドライン2022年版」などの策定を進めるとともに、また金融庁より2020年(令和2年)以降「サステナブルファイナンス有識者会議」が設置されている[11]

脚注・出典

  1. ^ サステナブルファイナンスの取組み:金融庁
  2. ^ グリーンボンド等の発展の沿革 | グリーンボンド概要 | ボンド | グリーンファイナンスポータル
  3. ^ グリーンボンドとは | グリーンボンド概要 | ボンド | グリーンファイナンスポータル
  4. ^ グリーンローンとは | グリーンローン概要 | ローン(融資) | グリーンファイナンスポータル
  5. ^ サステナビリティ・リンク・ローンとは | サステナビリティ・リンク・ローン概要 | ローン(融資) | グリーンファイナンスポータル
  6. ^ トランジションファイナンスについて 経済産業省 2022年6月
  7. ^ Implementing the Recommendations of the Task Force on Climate-related Financial Disclosures”. Task Force on Climate-related Financial Disclosures (2021年10月). 2025年8月2日閲覧。
  8. ^ 一般財団法人電力中央研究所 (22 March 2024). 令和5年度 委託調査報告書 NGFS(気候変動リスク等に係る金融当局ネットワーク)シナリオの活用方法に関する調査 (pdf) (Report). 金融庁. p. 87. 2025年8月2日閲覧.
  9. ^ 一般財団法人電力中央研究所 (22 March 2024). 令和5年度 委託調査報告書 NGFS(気候変動リスク等に係る金融当局ネットワーク)シナリオの活用方法に関する調査 (pdf) (Report). 金融庁. p. 103. 2025年8月2日閲覧.
  10. ^ 日本政策投資銀行:発行概要 | グリーンボンド発行促進プラットフォーム
  11. ^ サステナブルファイナンス有識者会議:金融庁

関連項目

外部リンク




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