スターバト・マーテル (ハイドン)とは? わかりやすく解説

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スターバト・マーテル (ハイドン)

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/10/09 02:16 UTC 版)

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スターバト・マーテル Hob.XXbisは、フランツ・ヨーゼフ・ハイドンが1767年に作曲した声楽作品。13曲からなる大規模な受難オラトリオ風の作品である[1]

大部分の曲が遅く、短調の曲と長調の曲が交替する。この点で後の『十字架上のキリストの最後の7つの言葉』と共通する[2]

演奏時間は約1時間。

概要

1766年3月にエステルハージ家の楽長ヴェルナーが没し、副楽長だったハイドンが楽長に就任すると、『チェチリア・ミサ』を皮切りに、それまでヴェルナーの担当だった宗教作品を次々に発表した。『スターバト・マーテル』もその中の1曲である[3]

『スターバト・マーテル』には自筆原稿がないが、1768年の手紙の中で1年前に作曲したと言っているため、1767年の作曲と考えられる[4]

当時の教会音楽、とくに当時ウィーンに住んでいたハッセの影響を受けており、ハイドンは筆写譜をハッセに送っている[5]

1771年3月29日にはウィーンのマリア・トロイ教会(ピアリスト教会)で演奏された[6]

1780年代にはいると、この曲はヨーロッパ中で有名になった[7]。晩年のオラトリオ『天地創造』以前、『スターバト・マーテル』はハイドンのもっとも有名な声楽曲だった[2]

パリでは1781年にコンセール・スピリチュエルによって初演され、好評のため4回演奏された[8]ロンドン、ドイツ各地、ローマでも演奏された[2]

1803年には弟子のノイコムによってオーケストレーションがやり直された。1802年の『ハルモニー・ミサ』を最後としてハイドンは毎年のミサ曲の作曲をやめたため、1803年9月にミサ曲のかわりに演奏された可能性があるという[2]

歌詞は本来のスターバト・マーテルとは少し異なっている。とくに第12曲の「Fac me cruce」の部分(第19詩節)は本来のスターバト・マーテルには存在せず、他の作曲家の作品にも見えない[2]

編成

第2曲と第10曲ではオーボエにかわってコーラングレが使用される。ハイドンは同時期の大オルガン・ミサでもコーラングレを使用している。

構成

  1. Stabat Mater dolorosa - ラルゴ、ト短調、テノール独唱と合唱。
  2. O quam tristis - ラルゲット、変ホ長調、アルト独唱。
  3. Quis est homo - レント、ハ短調、合唱。
  4. Quis non posset - モデラート、ヘ長調、ソプラノ独唱。
  5. Pro peccatis - アレグロ・マ・ノン・トロッポ、変ロ長調、バス独唱。
  6. Vidit suum - レント、ヘ短調、テノール独唱。
  7. Eia Mater - アレグレット、ニ短調、合唱。
  8. Sancta Mater - ラルゲット、変ロ長調、ソプラノとテノールの独唱。
  9. Fac me vere - ラグリモーゾ、ト短調、アルト独唱。
  10. Virgo virginum praeclara - アンダンテ、変ホ長調、独唱者たちと合唱。
  11. Flammis orci ne succendar - プレスト、ハ短調、バス独唱。
  12. Fac me cruce - モデラート、ハ長調、テノール独唱。
  13. Quando corpus - ラルゴ・アッサイ、ト短調、ソプラノとアルトの独唱と合唱。
    最後の「Paradisi gloria」はソプラノ独唱と合唱によるト長調のアーメン・フーガになる。

脚注

  1. ^ 大宮(1981) p.221
  2. ^ a b c d e エラートミシェル・コルボ指揮ローザンヌ声楽アンサンブルによるスターバト・マーテルのCD(2292-45181-2)解説、1983年
  3. ^ Larsen (1982) p.91
  4. ^ Larsen (1982) p.30
  5. ^ Larsen (1982) p.91
  6. ^ Larsen (1982) p.36
  7. ^ Larsen (1982) p.30,91
  8. ^ 大宮(1981) p.104

参考文献

外部リンク




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