サントリーホール国際作曲委嘱シリーズ
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2025/05/25 01:47 UTC 版)
サントリーホール国際作曲委嘱シリーズ(サントリーホールこくさいさっきょくいしょくシリーズ、Suntory Hall International Program for Music Composition)は、サントリー芸術財団が1986年から毎年開催している、世界の第一線で活躍する作曲家に管弦楽作品を委嘱し、サントリーホールで世界初演するシリーズ[1]。監修は1986年から1998年が武満徹[注釈 1]、1999年から2011年が湯浅譲二[2]、2013年からは細川俊夫が担当している[1][3]。
初演コンサートの概要
サントリーホールが開館した1986年10月から翌1987年2月にかけて、「サントリーホール オープニング・シリーズ」として、武満徹を始めとする5人の作曲家の委嘱作品5曲が披露された。1987年から1991年までは毎年秋にサントリーホールの周年行事として1人から3人の作曲家に委嘱され、ヴォルフガング・リームら計9人の作品が初演されている。 1992年のホセ・マセダからは、大ホールでの公演だけでなく小ホール (ブルーローズ) を会場に、作曲家の生の声を聴く企画が始まった。 2004年からは「サントリー音楽財団サマーフェスティバル」[1][注釈 2] の中に組み込まれた。そして大ホールでの管弦楽初演、小ホールでの作曲家トークに加え、室内楽コンサートが小ホールで開催されるようになっている[4]
委嘱作品一覧[5]
No. | 作曲者名 | 出身国 | 曲名 | 初演日 | 出演 |
---|---|---|---|---|---|
1 | 武満徹 (1930-1996) |
日本 | ジェモー(双子座)—オーボエ、トロンボーン、2つのオーケストラ、2人の指揮者のための | 1986年10月15日 | 井上道義、尾高忠明(指揮) ブルクハルト・グレッツナー(オーボエ)、 ヴィンコ・グロボカール(トロンボーン) |
2 | ヤニス・クセナキス (1922-2001) |
フランス[注釈 3] | ホロス | 1986年10月24日 | 岩城宏之(指揮) 日本フィルハーモニー交響楽団 |
3 | 尹伊桑 (1917-1995) |
ドイツ[注釈 4] | 交響曲第4番(全2楽章)—暗黒の中で歌う | 1986年11月13日 | 岩城宏之(指揮) 東京都交響楽団 |
4 | ジョン・ケージ (1912-1992) |
アメリカ | エトセトラ 2 | 1986年12月8日 | 岩城宏之、一柳慧、黛敏郎、湯浅譲二(指揮) 東京シティ・フィルハーモニック管弦楽団 |
5 | シルヴァーノ・ブッソッティ (1931-2021) |
イタリア | カタログ IV オーケストラのための詩 第1番 "H III" | 1987年2月10日 | 尾高忠明(指揮) 東京フィルハーモニー交響楽団 |
6 | ヴォルフガング・リーム (1952-2024) |
ドイツ | 無題 II | 1987年10月31日 | 井上道義(指揮) 高橋アキ(ピアノ) 新日本フィルハーモニー交響楽団 |
7 | バーナード・ランズ (1934-) |
英 | セレモニアル II | 1987年11月14日 | 小泉和裕(指揮) 東京フィルハーモニー交響楽団 |
8 | ルイジ・ノーノ (1924-1990) |
イタリア | 2) 進むべき道はない だが進まねばならない……アンドレイ・タルコフスキー | 1987年11月28日 | 高関健(指揮) 東京都交響楽団 |
9 | ルイス・デ・パブロ (1930-2021) |
スペイン | 風の道 | 1988年11月4日 | 岩城宏之(指揮) 東京都交響楽団 |
10 | ルーカス・フォス (1922-2009) |
アメリカ[注釈 5] | クラリネット協奏曲 | 1988年12月2日 | 外山雄三(指揮)、鈴木良昭(クラリネット) 東京都交響楽団 |
11 | ロディオン・シチェドリン (1932-) |
ロシア | ホロヴォディ (輪廻) オーケストラのための | 1989年11月2日 | 十束尚宏(指揮) 東京都交響楽団 |
12 | ロジャー・レイノルズ (1934-) |
アメリカ | 交響曲「神話」 | 1990年10月25日 | 佐藤功太郎(指揮)、今井奈緒子(オルガン)、 |
13 | アルネ・ノールヘイム (1931-2010) |
ノルウェー | モノリス オーケストラのための | 1991年4月2日 | 外山雄三(指揮) 新日本フィルハーモニー交響楽団 |
14 | ペア・ノアゴー (1932-) |
デンマーク | Spaces of Time (時の空間) オーケストラとピアノのための | 1991年10月7日 | 山下一史(指揮)、高橋アキ(ピアノ) 東京都交響楽団 |
15 | ホセ・マセダ (1917-2004) |
フィリピン | ディステンペラメント (平均律の解体) | 1992年5月24日 | 高橋悠治(指揮)、沢井忠夫(筝) 新日本フィルハーモニー交響楽団 |
16 | ハンス・ヴェルナー・ヘンツェ (1926-2012) |
ドイツ | 3つの宗教的コンチェルト Tpと器楽アンサンブルのための | 1992年11月26日 | オリヴァー・ナッセン(指揮)、 徳永二男(ヴァイオリン)、 ホーカン・ハーデンベルガー(トランペット) |
17 | 譚盾 (1957-) |
中国 | オーケストラル・シアター II:Re 2人の指揮者と分割されたオーケストラ、バス、聴衆のための | 1993年7月1日 | 岩城宏之、譚盾(指揮)、 |
18 | マグヌス・リンドベルイ (1958-) |
フィンランド | オーラ W.ルトスワフスキの思い出のために | 1994年6月11日 | 山下一史(指揮) 東京交響楽団 |
19 | オリヴァー・ナッセン (1952-2018) |
イギリス | ホルン協奏曲 | 1994年10月7日 | オリヴァー・ナッセン(指揮)、バリー・タックウェル(ホルン) 東京都交響楽団 |
20 | マリー・シェーファー (1933-2021) |
カナダ | 精霊 | 1995年7月8日 | 秋山和慶(指揮) 東京交響楽団 |
21 | ジグムント・クラウゼ (1938-) |
ポーランド | ピアノ協奏曲第2番 | 1996年10月30日 | 秋山和慶(指揮)、ジグムント・クラウゼ(ピアノ) 東京交響楽団 |
22 | ピーター・スカルソープ (1929-2014) |
オーストラリア | グレート・サンディ・アイランド | 1998年10月13日 | 山下一史(指揮)、山本友重(ヴァイオリン) 東京シティ・フィルハーモニック管弦楽団 |
23 | 湯浅譲二 (1929-2024) |
日本 | クロノプラスティクII—エドガー・ヴァレーズ讃— | 1999年11月9日 | 岩城宏之(指揮) 東京交響楽団 |
24 | ジルベール・アミ (1936-) |
フランス | チェロとオーケストラのための協奏曲 | 2000年12月4日 | 井上道義(指揮) ジャン=ギアン・ケラス(チェロ) 東京交響楽団 |
25 | ドイナ・ロタル (1951-) |
ルーマニア | 交響曲第3番「スピリット・オブ・エレメンツ」 | 2001年9月9日 | 飯森範親(指揮 東京フィルハーモニー交響楽団 |
26 | エサ=ペッカ・サロネン (1958-) |
フィンランド | インソムニア | 2002年12月1日 | エサ=ペッカ・サロネン(指揮) NHK交響楽団 |
27 | ヘルムート・ラッヘンマン (1935-) |
ドイツ | 書 | 2003年12月4日 | 秋山和慶(指揮) 東京交響楽団 |
28 | ヴィンコ・グロボカール (1934-) |
フランス[注釈 6] | 「人質」—大オーケストラとサンプラーのための | 2004年8月26日 | ヴィンコ・グロボカール(指揮) 東京フィルハーモニー交響楽団 |
29 | サルヴァトーレ・シャリーノ (1947-) |
イタリア | シャドウ・オブ・サウンド—オーケストラのための | 2005年8月27日 | ティート・チェッケリーニ(指揮) 東京フィルハーモニー交響楽団 |
30 | マーク=アンドレ・ダルバヴィ (1961-) |
フランス | ヤナーチェクの作品によるオーケストラ変奏曲 | 2006年8月25日 | マーク=アンドレ・ダルバヴィ(指揮) 東京フィルハーモニー交響楽団 |
31 | ジャン=クロード・リセ (1938-2016) |
フランス | スキーム—ヴァイオリンとオーケストラのための | 2007年9月5日 | 秋山和慶(指揮) 木村まり(ヴァイオリン) 東京交響楽団 |
32 | ステファーノ・ジェルヴァゾーニ (1962-) |
イタリア | ルコネサンス | 2008年8月29日 | 杉山洋一(指揮) 東京都交響楽団 |
33 | ウンスク・チン (陳銀淑) (1961-) |
韓国 | シュウ—中国笙とオーケストラのための協奏曲 | 2009年8月28日 | 秋山和慶(指揮) ウー・ウェイ(笙) 東京交響楽団 |
34 | ジョナサン・ハーヴェイ (1939-2012) |
イギリス | 80ブレス・フォー・トウキョウ—オーケストラのための | 2010年8月30日 | 沼尻竜典(指揮) 東京フィルハーモニー交響楽団 |
35 | ジュリアン・ユー (于京君) (1957-) |
中国 | 交響組曲「我らの自然界のために」 | 2011年8月25日 | 山田和樹(指揮) 東京都交響楽団 |
36 | 細川俊夫 (1955-) |
日本 | トランペット協奏曲「霧のなかで」 | 2013年9月5日 | 準・メルクル(指揮) ジェロエン・ベルヴェルツ(トランペット) 東京都交響楽団 |
37 | パスカル・デュサパン (1955-) |
フランス | 風に耳をすませば—オペラ《ペンテジレーア》からの3つの場面 | 2014年8月21日 | アレクサンダー・リープライヒ(指揮) ナターシャ・ペトリンスキー(メゾ・ソプラノ) 東京交響楽団 |
38 | ハインツ・ホリガー (1939-) |
スイス | デンマーリヒト—薄明 ソプラノと大管弦楽のための5つの俳句 | 2015年8月27日 | ハインツ・ホリガー(指揮) サラ・ヴェゲナー(ソプラノ) 東京交響楽団 |
39 | カイヤ・サーリアホ (1952-2023) |
フィンランド | トランス(変わりゆく) | 2016年8月30日 | エルネスト・マルティネス=イスキエルド(指揮)、 グザヴィエ・ドゥ・メストレ(ハープ) |
40 | ゲオルク・フリードリヒ・ハース (1953-) |
オーストリア | ヴァイオリン協奏曲第2番 | 2017年9月7日 | イラン・ヴォルコフ(指揮) ミランダ・クックソン(ヴァイオリン) 東京交響楽団 |
41 | イェルク・ヴィトマン (1973-) |
ドイツ | ヴァイオリン協奏曲第2番 | 2018年8月31日 | イェルク・ヴィトマン(指揮・クラリネット) カロリン・ヴィトマン(ヴァイオリン) 東京都交響楽団 |
42 | ミカエル・ジャレル (1958-) |
スイス | 『4つの印象』 ヴァイオリンとオーケストラのための協奏曲 | 2019年8月30日 | パスカル・ロフェ(指揮) ルノー・カプソン(ヴァイオリン) 東京交響楽団 |
43 | マティアス・ピンチャー (1971-) |
ドイツ | 河[ネハロート] オーケストラのための | 2021年8月27日 | マティアス・ピンチャー(指揮) 東京交響楽団 |
44 | イザベル・ムンドリー (1963-) |
ドイツ | 身ぶり(ジェスチャー) ヴィオラとオーケストラのための | 2022年8月28日 | ニルス・メンケマイヤー(ヴィオラ) ミヒャエル・ヴェンデベルク(指揮) 東京交響楽団 |
45 | オルガ・ノイヴィルト (1968-) |
オーストリア | オルランド・ワールド | 2023年8月24日 | ヴィルピ・ライサネン(メソ・ソプラノ) マティアス・ピンチャー(指揮) 東京交響楽団 |
46 | フィリップ・マヌリ (1952-) |
フランス | プレサンス 空間化された大オーケストラのための | 2024年8月23日 | ブラッド・ラブマン(指揮) 東京交響楽団 |
47 | ジョルジュ・アペルギス (1945-) |
ギリシャ | 大管弦楽のための「エチュードⅧ」 | 2025年8月29日 | エミリオ・ポマリコ(指揮) 東京交響楽団 |
脚注
注釈
出典
- ^ a b c Global Partnership | サントリーホール 2020年4月8日閲覧。
- ^ 特別インタヴュ- <サントリーホール国際作曲委嘱シリーズ>監修に就任, 2001年<武満徹作曲賞>の審査にあたる湯浅譲二氏 / 湯浅譲二. 音楽芸術 56(8), pp68-72, 1998-08
- ^ 沼野雄司「サントリーホール国際作曲委嘱シリーズの歴史と成果」 | サントリーホール 2020年4月9日閲覧
- ^ サントリーホール公演アーカイブ 2020年4月8日閲覧。
- ^ 「サントリーホール国際作曲委嘱シリーズ 委嘱作品一覧」サントリーホール サマーフェスティバル2019 公演プログラム pp80-81
外部リンク
- Global Partnership|サントリーホール 2020年4月8日閲覧。
- サントリーホール国際作曲委嘱シリーズのページへのリンク