キリストの哀悼 (ヴァン・ダイク、1635年)
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2025/10/22 00:16 UTC 版)
| オランダ語: Bewening van Christus 英語: Lamentation over the Dead Christ |
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| 作者 | アンソニー・ヴァン・ダイク |
|---|---|
| 製作年 | 1635年 |
| 種類 | キャンバス上に油彩 |
| 寸法 | 115 cm × 208 cm (45 in × 82 in) |
| 所蔵 | アントワープ王立美術館、アントウェルペン |
『キリストの哀悼』(キリストのあいとう、蘭: Bewening van Christus, 英: Lamentation over the Dead Christ)、または『キリストの降架』(キリストのこうか、英: Deposition)は、17世紀フランドル・バロック期の画家アンソニー・ヴァン・ダイクが1635年にキャンバス上に油彩で制作した絵画で[1]、画家がこの主題で描いた最後の作品である。チェーザレ・アレッサンドロ・スカッリアが、アントウェルペンのレコレ派修道院内にあった自身の墓所に掛けるために委嘱した[2]。現在、アントワープ王立美術館に所蔵されている[2]。
作品
死せるイエス・キリストが頭部を聖母マリアの膝の上に載せて横たわっている[2]。彼らの背後にある岩は、キリストの聖なる墓所を示している。右側の福音記者ヨハネは、2人の天使にキリストが十字架に釘で磔刑にされた際に負った傷を見せている。深い悲しみの中にある聖母は両腕を伸ばす仕草をしているが、それはキリストが磔刑にされた姿を反映している。彼女の手のひらは開き、顔はキリストから背けられている[2]。
画面を5人の人物で満たすことで、ヴァン・ダイクは完全に鑑賞者をこの出来事に取り込んでいる。構図の点では、水平の形式が重要な役割を果たしている。視点は低く取られており、人物たちは地面に近く、かつ画面前景に配置されている。かくして、鑑賞者のすべての注意はキリストに向けられる。調和がとれ、抑制された茶色と明るい青色の色調もまた、深い悲しみの感情を喚起している[2]。
初期の文献によれば、ヴァン・ダイクは本作を1634-1635年に制作したようであるが、作品を所蔵するアントワープ王立美術館は制作年を1640年ごろとしている[2]。なお、ニューヨークのモルガン・ライブラリーには、本作のキリストのための準備習作が所蔵されている[2]。
脚注
- ^ “Bewening Christus Antoon van Dyck uit Antwerpen in Rijksmuseum Twenthe - Museumkijker.nl - Museumkijker.nl”. museumkijker.nl (2014年4月21日). 2015年11月25日閲覧。
- ^ a b c d e f g “The Lamentation of the Dead Christ - KMSKA”. アントワープ王立美術館公式サイト (英語). 2025年10月21日閲覧。
外部リンク
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