ガルフ・ライブストック1とは? わかりやすく解説

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ガルフ・ライブストック1

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2025/08/01 00:08 UTC 版)

ガルフ・ライブストック1
フリーマントル港に接岸中の本船
基本情報
船種 家畜運搬船英語版
船籍  パナマ
所有者 Gulf Navigation Holding
建造所 Hegemann Roland造船所
IMO番号 9262883
改名 Maersk Waterford (2002–2006)
Dana Hollandia (2006–2012)
Cetus J. (2012–2015)
Rahmeh (2015–2019)
Gulf Livestock 1 (2019–2020)
経歴
起工 2002年4月4日
進水 2002年9月20日
竣工 2002年12月20日
最後 2020年9月2日(奄美大島西方の東シナ海で沈没)[1]
要目
総トン数 11,947トン[2]
長さ 133.6 m[3]
19.4 m
機関方式 ディーゼル
主機関 1基
速力 18ノット
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ガルフ・ライブストック1 (Gulf Livestock 1) は、パナマ船籍の家畜運搬船英語版2020年(令和2年)9月2日午前1時45分頃、日本奄美大島西方185km沖で沈没した[1]。乗員1名が死亡[4]、40名が行方不明となり、積荷の5867頭が全頭死亡した[5][6]。生存者は2名[4]

船歴

この船はベルリンのHegemann Roland造船所でコンテナ船「Maersk Waterford」として建造された[7]。2002年4月4日起工、9月20日進水で、12月9日に船主に引き渡された[7]。2006年に「Dana Hollandia」、2012年に「Cetus J」と改名され、2015年に家畜運搬船へと改装されて「Rahmeh」と改名[7]。2019年に「ガルフ・ライブストック1」となった[7]

総トン数は11,947トンで[2]、長さは133.6メートル (438 ft)[3]、幅は19.4メートル (64 ft)、機関はディーゼル機関1基で速力は18ノット (33 km/h)であった[7]

沈没

漂流する乗員を救助する海上保安庁の救助艇

アラブ首長国連邦に拠点を置くGulf Navigation Holding所有であった「ガルフ・ライブストック1」は乗員43名(フィリピン人39名、ニュージーランド人2名、オーストラリア人2名)と[3][8]、牛5867頭[5]を載せて2020年8月14日にニュージーランドのネーピアを出港し、9月11日に中国の唐山に到着予定だった[8]


9月2日午前1時45分頃(日本時間)[1]、「ガルフ・ライブストック1」は日本の奄美大島西方の東シナ海で遭難信号を発したが[9]台風9号(メイサーク)による荒天の中で[6]エンジン1機が止まり、波を受けて転覆し沈没した[1]


遭難信号を受け海上保安庁海上自衛隊が航空機や巡視船を出動させ捜索を行った[10][4]。同日午後6時40分頃には海上自衛隊のP3C哨戒機が、救命胴衣を装着した1人が漂流しているのを確認し[10]、同日中に[4]海上保安庁によって救助された[2]。 4日午後には[4]、沿岸からの「オレンジ色の物体が浮かんでいる」という118番通報により発見された救命ボートから1名が救助された[2]。救助された乗員は高波で船から投げ出され、運搬していた積み荷の牛にしがみついた後に約3分後に近くに流れてきた救命ボートに乗り移り、救助を待っていた[11]

救助されたフィリピン人乗員の2名は、奄美市内の病院で治療を受け宿泊施設で療養。同年9月19日に帰国した[1]

影響

事故を受け、本船の出航国であるニュージーランド第一次産業省英語版は、家畜輸送船の乗員と家畜の安全を確保するための見直しに着手した[6]。 見直しの結果、2023年から生体家畜の輸出が全面的に禁止となった[12]

脚注

  1. ^ a b c d e 全乗組員の発見祈る 奄美大島沖パナマ船遭難 瀬戸内町西古見”. 南海日日新聞 (2020年9月18日). 2025年7月31日時点のオリジナルよりアーカイブ。2025年7月31日閲覧。
  2. ^ a b c d Column Vol.05 パナマ籍貨物船Gulf Livestock 1海難対応”. 海上保安レポート2021. 海上保安庁. 2025年7月31日時点のオリジナルよりアーカイブ。2025年7月31日閲覧。
  3. ^ a b c 乗員43人と畜牛5800頭乗せた貨物船が遭難、1人救助”. CNN (2020年9月4日). 2025年7月31日時点のオリジナルよりアーカイブ。2025年7月31日閲覧。
  4. ^ a b c d e 「救助活動に感謝」”. 奄美新聞 (2020年9月16日). 2025年7月31日時点のオリジナルよりアーカイブ。2025年7月31日閲覧。
  5. ^ a b “Cargo ship with 43 crew and nearly 6,000 cattle sank off Japan, survivor says”. The Guardian. (2020年9月3日). https://www.theguardian.com/world/2020/sep/03/typhoon-maysak-ship-with-43-crew-and-nearly-6000-cattle-missing-off-japan 
  6. ^ a b c 豪州およびニュージーランドにおける生体牛輸出の現状”. 農畜産業振興機構 (2022年11月). 2025年7月31日時点のオリジナルよりアーカイブ。2025年7月31日閲覧。
  7. ^ a b c d e Gulf Livestock 1 (9262883)”. Miramar Ship Index. 2020年9月4日閲覧.[リンク切れ]
  8. ^ a b “Japanese coast guard looking for live export ship with 43 crew, thousands of cattle, missing during Typhoon Maysak”. ABC News. (2020年9月3日). https://www.abc.net.au/news/2020-09-03/missing-live-export-ship-43-crew-typhoon-coastguard/12624472 2020年9月3日閲覧。 
  9. ^ Loomes, Phoebe; Khalil, Shireen (2020年9月4日). “Australians caught on missing Gulf Livestock 1 ship after typhoon in Japan”. https://www.news.com.au/world/australians-caught-on-missing-gulf-livestock-1-ship-after-typhoon-in-japan/news-story/6626f89f9159f963caf4589dcb1ed8a9 2020年9月4日閲覧。 
  10. ^ a b 遭難のパナマ船籍 1人漂流確認も救助に至らず 奄美大島沖で捜索続く”. 毎日新聞. 毎日新聞社 (2020年9月2日). 2025年7月31日時点のオリジナルよりアーカイブ。2025年7月31日閲覧。
  11. ^ 積み荷の牛と泳ぎ助かる 遭難貨物船、救助の男性 鹿児島”. 産経新聞. 産業経済新聞社 (2020年9月9日). 2025年7月31日時点のオリジナルよりアーカイブ。2025年7月31日閲覧。
  12. ^ 残酷な生体輸送が変わり始めた”. 畜産動物たちに希望を Hope For Animal. アニマルライツセンター (2025年5月8日). 2025年7月31日時点のオリジナルよりアーカイブ。2025年7月31日閲覧。

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