ウィーンフィル・ニューイヤーコンサート2025
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ウィーンフィル・ニューイヤーコンサート2025(ドイツ語: Neujahrskonzert der Wiener Philharmoniker 2025)は、ウィーン・フィルハーモニー管弦楽団による第85回ニューイヤーコンサート。2025年1月1日にウィーン楽友協会大ホールで開催された。リッカルド・ムーティが7度目の指揮を務めた。プログラムには初めて女性の作品、コンスタンツェ・ガイガーの『フェルディナンドのワルツ』が登場した[1]。
概要
リッカルド・ムーティはこれまで1993年、1997年、2000年、2004年、2018年、2021年のニューイヤーコンサートを指揮している。ナポリ生まれの指揮者ムーティは、ウィーン・フィルハーモニー管弦楽団との共演は2025年に55年目を迎える。1973年以来、ウィーン楽友協会、ザルツブルク音楽祭、コンサート・ツアーで500回以上のコンサートを指揮している[2][3]。
コンスタンツェ・ガイガー(1835年 - 1890年)はシュトラウス一家と親交があり、彼女の作品も演奏された。彼女は野心的な両親から「ピアノの神童」として紹介され、9歳で作曲を始めた。ガイガー最初の伝記は、ウィーン・フィルハーモニー管弦楽団のヴァイオリニスト、ライムント・リシーによって2024年に出版された[4]。今年のニューイヤーコンサートのオープニング曲であるヨハン・シュトラウス1世の『自由行進曲』と、最後のアンコール曲である同作曲家の『ラデツキー行進曲』も『フェルディナンドのワルツ』と同じ1848年に作曲された。ヨハン・シュトラウス1世は、『フェルディナンドのワルツ』を含め、1848年に何度かコンスタンツェ・ガイガーの作品を演奏している[5]。
ムーティはコンサートに向けて「音楽は魂にとって最良の薬である。」と説いた。彼はこのコンサートを、ウィーンから世界に発信される「平和のメッセージ」だと考えている。「私たち音楽家は、残念ながら世界のほんの一部にすぎません。私たちが平和、美、調和に貢献できることはわずかですが、とても重要なことです。」と続けた[2]。そして、アンコール2曲目の『美しく青きドナウ』の前、フィルハーモニー管弦楽団伝統の「新年おめでとう!」という挨拶の後、指揮者は母国語であるイタリア語で「平和、絆、愛を全世界に!」と祈った。
2025年はヨハン・シュトラウス2世の生誕200年にあたり、それを記念してプログラム全17曲中10曲は、ヨハン・シュトラウス2世の作品である。
演奏曲目
第一部
- 『自由行進曲』op. 226(ヨハン・シュトラウス1世)
- ワルツ『オーストリアの村つばめ』op. 164(ヨーゼフ・シュトラウス)
- ポルカ・フランセーズ『取りこわしポルカ』op. 269(ヨハン・シュトラウス2世)
- 『入り江のワルツ』op. 411(ヨハン・シュトラウス2世)
- ポルカ・シュネル『軽やかに、かぐわしく』op. 206(エドゥアルト・シュトラウス1世)
第二部
- 喜歌劇『ジプシー男爵』序曲(ヨハン・シュトラウス2世)
- 『加速度ワルツ』op. 234(ヨハン・シュトラウス2世)
- 喜歌劇『すみれ娘』から 行進曲『愉快な兄弟』(ヨーゼフ・ヘルメスベルガー2世)*
- 『フェルディナントのワルツ』Op. 10(コンスタンツェ・ガイガー、編曲ウォルフガング・デルナー)*
- ポルカ・シュネル『あれか、これか』op. 403(ヨハン・シュトラウス2世)
- ワルツ『トランスアクツィオン』op. 184(ヨーゼフ・シュトラウス)
- 『アンネン・ポルカ』op. 117(ヨハン・シュトラウス2世)
- 『トリッチ・トラッチ・ポルカ』op. 214(ヨハン・シュトラウス2世)
- ワルツ『酒、女、歌』op. 333(ヨハン・シュトラウス2世)
アンコール
- ポルカ・シュネル『インドの舞姫』op. 351(ヨハン・シュトラウス2世)
- ワルツ『美しく青きドナウ』op. 314(ヨハン・シュトラウス2世)
- 『ラデツキー行進曲』op. 228(ヨハン・シュトラウス1世)
「*」印は、ニューイヤーコンサートのプログラムに初めて登場する作品。
中継放送
ニューイヤーコンサートの模様は、ブラジル、ドイツ、イスラエル、イタリア、ウクライナ、アメリカの放送局を含む90を超える国と地域のテレビや配信などで生中継された[6]。
脚注
- ^ “Neujahrskonzert mit viel Strauss und Geiger”. 2025年1月20日閲覧。
- ^ a b “Neujahrskonzert 2025 als „Friedensbotschaft“”. 2025年1月20日閲覧。
- ^ “2025年ニューイヤーコンサートは、マエストロ・リッカルド・ムーティ指揮”. ウィーン・フィルハーモニー管弦楽団. 2025年1月20日閲覧。
- ^ “Biografie über Constanze Geiger: Porträt einer vergessenen Komponistin”. SWR Kultur. 2025年1月20日閲覧。
- ^ “作曲家コンスタンツェ・ガイガーとヨゼフィーネ・ヴァインリッヒ”. ウィーン・フィルハーモニー管弦楽団. 2025年1月20日閲覧。
- ^ “シュトラウス生誕200年 ウィーン・フィル ニューイヤーコンサート【Eテレ】”. NHK. 2025年1月20日閲覧。
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