イシュマエルの誕生
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/02/11 04:28 UTC 版)
この道程の途上、神はアブラムと彼の子孫に対してカナンの地を与える約束をした。しかしサライは不妊の女であった。彼女は75歳になるに至って自らによる出産を諦め、女奴隷のハガルを側女としてアブラムに与えた。当時のこの地方には、不妊の妻が女奴隷を夫に与え、その側女との間に生まれた子供を自分の子供にできる風習があり、サライもまた、ハガルを通じて息子を得ようとしたのであった。しかしハガルは妊娠したとたん、女主人サライを見下すようになった。この屈辱に耐えかねたサライがアブラムに不平を漏らしたところ、アブラムはこの件に関しては干渉しない旨を伝えた。するとサライはハガルを散々虐待したので、ついにハガルは逃亡してしまった。ハガルはその後、「主の御使い」(『新共同訳聖書』による訳出)に促されてサラのもとへと戻り、無事イシュマエルを出産している。イシュマエルが13歳のとき神がアブラハムに現れ、彼に多くの子孫が生まれること、彼らにカナンの地が与えられること、そしてイシュマエルではなく、サライによって誕生する息子イサクがその地を受け継ぐことを約束した。もっとも、アブラムには信じがたい約束であったため、彼はイシュマエルについての約束の成就を神に祈願した。それでも神は、イサクについての約束が成就すると念を押した。この折に、アブラムはアブラハムへと、サライはサラへとそれぞれ改名されている。そんなある日のこと、二人のもとに三人の客人が現れ、今から一年後、サラには息子がいることを告げた。この言葉を聴いてサラは内心、密かに笑っていたのだが、この行為が「イサク」という息子の名前の由来となっている。
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