アイルランド陸軍
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2025/06/20 15:07 UTC 版)
アイルランド陸軍 | |
---|---|
Arm na hÉireann Irish Army |
|
![]()
アイルランド国防軍の紋章
|
|
創設 | 1922年 |
国籍 | ![]() |
軍種 | 陸軍 |
規模 | 現役6,250人、予備役1,500人(2024年時点) |
上級部隊 | アイルランド国防軍 |
戦歴 | |
アイルランド陸軍(アイルランド語: Arm na hÉireann、英語: Irish Army)は、アイルランドの陸軍組織[1]。
概要
2024年時点で、現役6,250名と予備役1,500名で構成されている[2]。主要部隊としては2個歩兵旅団と、国防軍訓練センター(陸軍レンジャー部隊を含む)があり、第1旅団は南部地域、第2旅団は北部地域での作戦を担当している[3]。
アイルランドは北アイルランド問題を理由としてNATOへの加盟を拒否しており、以後軍事的には非同盟・中立方針をとってきた[4][5][注釈 1]。かわりに国連を中心とした集団的安全保障には積極的な協力姿勢を取っており、陸軍も国際協力を主要任務のひとつに掲げ、国連PKO活動に多くの人員を派遣してきた[1][5]。
アイルランドとイギリスの歴史的経緯から、陸軍も隣国イギリスとの交流は少ない[1]。
歴史
イギリスからの独立を目指して1913年に結成されたアイルランド義勇軍(Óglaigh na hÉireann)をルーツとし、アイルランド独立後に発展改組する形で陸軍となった[1]。
1960年から始まったコンゴ動乱では、アイルランド陸軍2個大隊を国連平和維持部隊として派遣している[6]。なお、当時のアイルランド国防法では、いかなる理由によっても国防軍が国外で活動することを禁じていたが、派遣のために改正措置をとっている[6]。
保有装備
現役
名称 | 画像 | 種別 | 型式 | 運用数 | 備考 |
---|---|---|---|---|---|
装甲戦闘車両 | |||||
ピラーニャIII[2] | ![]() |
装甲偵察車 | ピラーニャIIIH 30mm[2] | 6[2] | |
ピラーニャIII[2] | ![]() |
装甲兵員輸送車 | ピラーニャIII[2] ピラーニャIIIH[2] |
56[2] 18[2] |
|
RG-32[2] | ![]() |
軽装甲車 | RG-32M[2] | 27[2] | |
火砲・ロケット砲 | |||||
L118[2] | ![]() |
105mm榴弾砲 | 17[2] | ||
L119[2] | 105mm榴弾砲 | 6[2] | |||
Denel Vektor M1[7] | 60mm迫撃砲 | 歩兵中隊内の武器小隊迫撃砲分隊に配備[7]。 | |||
Hocthkiss Brandt[2][8] | 81mm迫撃砲 | 84[2] | 歩兵大隊内の支援中隊迫撃砲小隊に配備[8]。 | ||
Ruag M87[2] | ![]() |
120mm迫撃砲 | 24[2] | ||
歩兵火器 | |||||
H&K USP[9] | ![]() |
自動拳銃 | |||
ステアー AUG[9] | ![]() |
自動小銃 | AUG Mod 14[9] | 1988年から就役[9]。2014年から、ピカティニーレールの追加や光学機器の採用を含む近代化を実施し、AUG Mod 14型に改修している[9]。 | |
FN MAG[9] | ![]() |
汎用機関銃 | MAG58[9] | 歩兵中隊内の武器小隊機関銃分隊に配備[7]。 | |
ブローニング M2[8] | ![]() |
重機関銃 | 歩兵大隊内の支援中隊重機関銃小隊に配備[8]。 | ||
アキュラシー・インターナショナル AI 92[8] | ![]() |
狙撃銃 | 1992年から就役[8]。歩兵大隊内の支援中隊偵察小隊に配備[8]。 | ||
M203[9] | グレネードランチャー | ||||
AT4[9] | 無反動砲 | 1997年から就役[9]。 | |||
カールグスタフ[2][7] | 無反動砲 | 歩兵中隊内の武器小隊対戦車分隊に配備[7]。 | |||
FGM-148 ジャベリン[2][8] | ![]() |
対戦車ミサイル | 歩兵大隊内の支援中隊対戦車小隊に配備[8]。 | ||
RBS-70[2] | 地対空ミサイル |
退役
名称 | 画像 | 種別 | 型式 | 運用数 | 備考 |
---|---|---|---|---|---|
装甲戦闘車両 | |||||
スコーピオン[10] | ![]() |
軽戦車 | 2004年時点で14両を保有[10]。 | ||
AML[10] | ![]() |
装甲偵察車 | AML20[10] AML90[10] |
2004年時点で18両のAML20、15両のAML90を保有[10]。 | |
A-180 Sisu[10] | 装甲兵員輸送車 | 2004年時点で2両を保有[10]。 | |||
火砲・ロケット砲 | |||||
QF 25ポンド砲[10] | ![]() |
88mm榴弾砲 | 2004年時点で42門を保有[10]。 | ||
ボフォース L70[10] | ![]() |
40mm対空機関砲 | 2004年時点で30門を保有[10]。 | ||
歩兵火器 | |||||
ミラン[10] | 対戦車ミサイル | 2004年時点で21基を保有[10]。 |
脚注
注釈
出典
- ^ a b c d 竹内修『万物図鑑シリーズ 全161か国 これが世界の陸軍力だ!』笠倉出版社、2014年11月9日、58頁。ISBN 978-4-7730-8738-3。
- ^ a b c d e f g h i j k l m n o p q r s t u v w The International Institute for Strategic Studies (IISS) (2024) (英語). The Military Balance 2024. Routledge. p. 105. ISBN 978-1-032-78004-7
- ^ “Army”. アイルランド国防軍. 2025年4月11日閲覧。
- ^ a b 斎木伸生「アイルランド血の独立抗争史」『軍事研究』第32巻第1号、ジャパンミリタリー・レビュー、1997年1月、222-223頁、doi:10.11501/2661832。
- ^ a b 斎木伸生「アイルランド、1万2千人の軍隊」『軍事研究』第32巻第8号、ジャパンミリタリー・レビュー、1997年8月、230-241頁、doi:10.11501/2661839。
- ^ a b 小谷秀二郎「コンゴ国連軍参加に関するアイルランド共和国の国防法改正について(I)」『防衛論集』第1巻第1号、防衛研修所、1962年3月、34-49頁、doi:10.11501/1388466。
- ^ a b c d e “Company Level Weapons”. アイルランド国防軍. 2025年4月11日閲覧。
- ^ a b c d e f g h i “Battalion Level Weapons”. アイルランド国防軍. 2025年4月11日閲覧。
- ^ a b c d e f g h i j “Platoon Weapons”. アイルランド国防軍. 2025年4月11日閲覧。
- ^ a b c d e f g h i j k l m n The International Institute for Strategic Studies (IISS) (2004-10-01) (英語). The Military Balance 2004-2005. Routledge. p. 89. ISBN 0-19-856622-0
関連項目
- ジャドヴィル包囲戦 -6日間の戦い- - コンゴ動乱でのアイルランド陸軍部隊を描いた2016年のアクション戦争映画。
- アイルランド陸軍のページへのリンク