こけらずし (三重県)
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2025/05/19 16:16 UTC 版)
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こけらずしは三重県東紀州地域の郷土料理[1]。押し寿司の一種である[1]。
概要
人が集まった際や、慶事の際によく作られる押し寿司である[1][2]。
複数の具材を寿司飯に乗せ、その上に葉を敷き、さらに寿司飯、具材、葉と3段あるいは5段ほど重ねて押し寿司にする[1]。
こけらずしの材料の具材は5種類とされ、彩り豊かな仕上がりとする。5種類の中の1種は必ず魚を使い、主に魚を酢の物にしたものが使用される。魚にはしめさば、サンマ、アジなど、その時々の旬の魚が使用される[1]。
各段の間に敷く植物の葉には、山いちごの葉、花みょうがの葉などが用いられる[1]。葉の香りや味が、寿司の味を引き立てるほか、防腐効果もあるといわれている[1]。
名称について
こけらずしを単に押し寿司と呼ぶこともある[3]。
名前の由来は、こけら落としの席で出されていたこと、杮葺の屋根のように1枚1枚ずらし重ねて具材を盛り付けたことからとされる[1][3]。
方言としては熊野市や南牟婁郡での押し寿司の言い方であり、津市でも古老は「こけらずし」の呼称を使うこともある[3]。
押し型
東紀州で押し寿司が発達したのは、この地域に豊かな木材資源(主にヒノキ)があり、木材を利用した押し型が発達したことによると考えられている[1]。
押し型には、米一升型、五合型、三合型といったいろいろな伝統的なサイズの型があるほか、近年では少人数用に適用するような小型のものや一人用、一段用など型も作られている[1]。尾鷲市須賀利町では米二升半用の大きな押し型も使われている[1]。
食べかた
こけらずしを食べるときは外枠を抜き取って、重ねたまま食べやすい大きさに切る[1]。取り分けられたこけらずしは、上から葉を外しながら1段ずつ食べる[1]。
食べる機会
祭り、結婚式といった祝い事、60歳の還暦や厄祝いの際にこけらずしをたくさん作り、切り分けて親戚や近所に配って共に祝い合う[1]。
1年中どこかで誰かがこけらずしを作っているような、地域では馴染みの深い料理である[1]。
地域ごとの特色
- 海山町(現・紀北町)
- 4段重ねのこけらずしを扇形に切って供する[2]。
- 尾鷲市
- 上述のように大きな押し型でも作られるが、小さい押し型に2段重ねのこけらずしも食されている[2]。
- 葉にはミョウガ、カラシナ、野いちごの葉が使用される[3]。
- 南伊勢町
- 葉にはツワブキが使用される[3]。
出典
- こけらずし (三重県)のページへのリンク