ある不定方程式
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/04/25 12:48 UTC 版)
方程式 a 2 + b 2 = 3 ( s 2 + t 2 ) {\displaystyle a^{2}+b^{2}=3(s^{2}+t^{2})\,} が自明な解 a = b = s = t = 0 以外に整数解を持たないことを、無限降下法で証明できる。非自明な整数解 (a1, b1, s1, t1) が存在すると仮定すると、 a 1 2 + b 1 2 = 3 ( s 1 2 + t 1 2 ) {\displaystyle a_{1}^{2}+b_{1}^{2}=3(s_{1}^{2}+t_{1}^{2})\,} より a12 + b12 は 3 の倍数である。平方数を 3 で割った余りは 0 か 1 であるから、a1, b1 ともに 3 の倍数でなければならないことが分かる。そこで、a1 = 3a2, b1 = 3b2 とおくと、 s 1 2 + t 1 2 = 3 ( a 2 2 + b 2 2 ) {\displaystyle s_{1}^{2}+t_{1}^{2}=3(a_{2}^{2}+b_{2}^{2})\,} となる。すなわち、新しい解 (s1, t1, a2, b2) を得た。4つの数の和について | a 1 | + | b 1 | + | s 1 | + | t 1 | > | s 1 | + | t 1 | + | a 2 | + | b 2 | {\displaystyle |a_{1}|+|b_{1}|+|s_{1}|+|t_{1}|>|s_{1}|+|t_{1}|+|a_{2}|+|b_{2}|\,} であるから、新しい解の方が小さい。こうして次々に「小さい」解を得ることができるが、これは矛盾である。したがって、方程式は非自明な解を持たない。
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