Technics SL-1200
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2023/12/21 13:49 UTC 版)
2010年に一度販売終了したが、2016年に復活している。2010年の一時販売終了までの累計販売台数は全世界で約350万台[1]。
概要
のちに初代機と看做される製品のみならず同名を冠した後継機も製造販売されたため、当然ながら当初は(のちに初代機と看做される)単一の製品を指す名称であったが、後継機種が世代を重ね販売されるに連れ「同名を冠する製品シリーズ全般」を指す用語としても用いられるようになった。すなわちTechnics SL-1200とは、狭義には初代機自体の製品型番そのものであり、広義には初代機を筆頭とする製品シリーズ全般を指す。本項では明記しない限り、広義の「製品シリーズ全般」として記述する。
トルクの強さ(回転の安定性及びスクラッチ、手で止めるなどに向く)、堅牢(耐久)性、レコード再生後の立ちあがりの速さ(0.7秒)、±8%、±16%(±16%は、SL-1200MK5G、SL-1200GLD、およびSL-1200GAE以降の機種のみ)のピッチコントロール(ミックスにおけるリズムキープのための調整)、ストップブレーキの減速度つまり停止までの時間が調整できるなどの特徴により、世界中のクラブ・ディスコで使われているアナログレコードターンテーブル機材である。またSL-1200MK7では逆回転の機能があらたに加わった。
本シリーズは全機種フォノイコライザーアンプ非搭載なので、ミニコンポなどの「AUX IN(LINE IN)」端子に本シリーズを繋ぐ場合は市販のフォノイコライザーが別途必要(フォノイコライザーを介さず直接AUX IN端子に本シリーズを繋ぐと音が小さくなり、かつ、標準的なLPレコードの場合で、周波数1kHzの音に対して、20kHzでは19.62dB大きく、20Hzでは19.27dB小さくなる。これは、メーカーを問わず、SL-1200シリーズ以外のプレーヤーでも同じ。パナソニックもかつてフォノイコライザーを補修部品扱いで生産しておりサービスルート扱いで購入出来たが、1200シリーズ生産終了に伴い2010年を以てフォノイコライザー生産も終了)。またミニコンポ・CD&MDラジカセなどの外部入力(AUX INまたはLINE IN)端子がミニジャック(M3)や大型ジャック(M6)の場合は(フォノイコライザーに加え)市販のピンコード中継アダプター&ピンプラグ→ミニプラグ変換ケーブル、またはピンプラグ→ミニプラグ変換延長ケーブルが別途必要(本機の出力コードは全てステレオRCAピンプラグ)。
さらにカートリッジをMC型に交換した場合、カートリッジ切替スイッチ非搭載(MMカートリッジ使用プレーヤー専用)アンプにそのまま繋ぐと音が小さくなるので市販の昇圧トランスが別途必要(普及型フルオートタイプとは異なりカートリッジは全機種別売、ヘッドシェル・カートリッジ取付ネジ・軽量カートリッジ用の錘のみ付属)。さらにヘッドホン端子も全機種非搭載なので、ヘッドホンや外部アクティブスピーカーはアンプやDJミキサーを経由して接続する形となる。
世代
パナソニックは2023年のSL-1200GR2発売時に、SL-1200シリーズをはじめとした自身のダイレクトドライブターンテーブルの世代を以下のように定義している[2]。
第1世代 (1970年~)
ダイレクトドライブターンテーブルの初期の商品群を指す。世界初のダイレクトドライブターンテーブルの実用化モデルであるSP-10や、SL-1200シリーズでは初代機であるSL-1200が該当する。
第2世代 (1975年~)
水晶発振器を搭載することで、回転速度を高精度に制御することができるようになった。SL-1200シリーズではSL-1200MK2からSL-1200MK6までの機種が該当する。また、ジャケットサイズレコードプレーヤーであるSL-10もこの世代の商品に当たる。
第3世代 (2016年~)
コアレス・ダイレクトドライブ・モーターを新たに採用することで、従来のダイレクトドライブ・モーターの課題であったコギングによる回転ムラを排除している。また、ブルーレイディスクドライブの制御技術を応用したデジタル回転制御により、高トルクで安定したモーター回転を実現している[3]。Technicsブランド復活後のSL-1200GAEからSL-1200MK7が該当する。
第4世代 (2023年~)
モーターのデジタル回転制御技術にΔΣ変調と高精度PWM生成技術を搭載し、ダイレクトドライブ・モーターの駆動信号の量子化誤差と歪を低減することで、モーターのわずかな回転ムラや微振動を抑えている。2023年12月時点ではSL-1200GR2のみが該当する。
- ^ a b c 「SL-1200インタビュー」 - OTAI RECORD
- ^ グランドクラス ダイレクトドライブターンテーブルシステム SL-1200GR2
- ^ 復活Technicsターンテーブルの標準モデル「SL-1200G」。33万円 - AV Watch・2016年4月27日
- ^ a b c SL-1200Mk6 開発者インタビュー
- ^ パナソニック - 「SL-1200」のあゆみ
- ^ 【DJ通信】Technics EPC-U1200K用交換針について - 島村楽器・2011年8月17日
- ^ テクニクスの名アナログレコードプレーヤーを復活 - ascii.jp・2016年1月7日
- ^ Technics、50周年記念の特別カラー・ターンテーブル「SL-1200GAE-K - AV Watch・2021年9月16日
- ^ 1字違いでお値段半分!? テクニクスのアナログターンテーブル「SL-1200GR」は何が変わった? - ITmedia・2017年3月22日
- ^ Technics、DJターンテーブル11年振りの新機種。「SL-1200MK7」約9万円 - AV Watch・2019年3月14日
- ^ Technics、10万円のHi-Fi入門レコードプレーヤー「SL-1500C」 - AV Watch・2019年5月13日
- ^ テクニクス、エントリークラスのアナログプレーヤー「SL-100C」海外発表 - PHILE WEB・2021年4月22日
- ^ テクニクス、DJ用ターンテーブル「SL-1200」シリーズが50周年--7色の記念モデルを発表 - CNET Japan・2022年4月7日
- ^ Supreme/Technics SL-1200MK7が秋冬コレクションWEEK17に登場。マニア垂涎のコラボアイテム - DISCPICK・2023年12月11日
- ^ Technics、新開発ΔΣドライブ搭載レコードプレーヤー「SL-1200GR2」 - AV Watch・2023年9月29日
- ^ Pioneerから約4万円のDD方式ターンテーブルPLX-500。USB端子搭載でアナログ盤のデジタル化にも対応 - engadget日本版・2016年8月4日
- ^ Technicsのアナログターンテーブルが復活。新「SL-1200」シリーズを発表 - clubberia・2016年1月6日
- ^ ローランド初のターンテーブル「TT-99」。'83年のTR-909モチーフで500台限定 - AV Watch・2016年9月13日
- 1 Technics SL-1200とは
- 2 Technics SL-1200の概要
- 3 歴史
- 4 関連商品
- 5 外部リンク
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