T・Pぼん
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2024/04/23 22:19 UTC 版)
タイムパトロールの道具
- タイムボート
- 本作品において使用される個人用のタイムマシン。外見はスノーモービルに似た流線型の機体の後部に大きなトランクが付属しており、オートバイのように直接またがって運転する。操縦はレバーを握ることでコンピューターが脳の電流を読み取り、自動的に調整を行う。そのため操縦系統は1軸(前後)のレバー2本[25]とスターターペダル、ブレーキペダルのみのシンプルなもので、メーターなどは存在しない[26]。また、ボートで通常空間を飛ぶことの他に次元変換で超空間にバイパスして遮蔽物を通過することも可能。放置されると自動的に隠れ、登録された声で呼ばれない限り出てこない「自動かくれんぼ機能」が備わっており、タイムマシンの秘密が漏れないようにセキュリティには気を使われているが、かくれんぼ機能が故障したのか、アラビアの町でアラジン少年に拾われ魔法のランプと勘違いされたこともある。なおロック機能は付いていないようで、放置されたボートは誰でも動作させることが可能となる。
- 背部に設置された大型のトランクスペースは物品の収納以外にも様々な機能を持つ。現場で何か物品を調達する必要が出てきたとき、タイムパトロール本部に連絡すればこのトランクを通じて必要な物品を時空転送してもらうことができる。その他、圧縮学習法を使用するための「圧縮学習装置」、収納式の薄型モニタ「ビジプレート」[27]などがトランクスペースに備わっている。第3部からはトランクが小型化された新型機が配備された。
- トランクには、常備品として野営用の空中テントや、カロリーメイトに似た非常食等が収納されている。
- 故障しやすいため定期的な点検が必要で、整備を怠ると逆流時間を漏らして周囲の時間を巻き戻したり、思うように操縦できなくなったり、最悪エンストで運転自体ができなくなったりする。操縦系統が故障した場合はメインスイッチを「自動」に切り換えることで他のボートに誘導してもらいフルオートで運転することが可能。
- 非常時には本部から予備のタイムボートを取り寄せることができるが、作中で活用されたのは第一話の、ぼんに乗り逃げされたタイムボートをリームが追いかけた時のみである。
- 制服(せいふく)
- 簡易的なバリヤーが張られ、温度・気圧・水圧の変化から守ってくれる。作中では水中での活動を可能にしたり、煮えたぎる熱湯に入っても何ともない、などの描写があった。ただし、第1話でリームがおぼれたり、矢が刺さってT・P隊員が倒れる描写もあり、防御効果がどのように、どれだけあるのかは不明瞭である。第2部で支給されたユミ子の制服はぼんやリームのものとはデザインが異なっており、第3部からはぼんの制服もリニューアルされた。旧デザインのユニフォームはユミ子に言わせると「アカぬけないデザイン」で、女性用はノースリーブにミニスカートで露出度が高かった。
- ヘルメット
- 核爆発にも耐えられる。だが、ヘルメットは核爆発に耐えられても制服は耐えられるのかは不明。またヘルメット自体についても、ヘルメットの上から槍で叩かれて倒れる描写がある。ゴーグルが付いており、超空間移動中は基本的にゴーグルを着用する。
- リニューアルされた制服ではヘアバンド状の装備品に変更され、ヘルメットはなくなった。ヘアバンドにヘルメットとしての機能性があるのかは不明。
- アニメ第1作では登場しない。
- ブーツ
- かかとが「引き出し超空間」になっていてタイムコントローラーなどの多くのものが入る。ブロック状の救命糧食が2個常備されている。
- タイムシーバー
- 小型の通信機。時間を超えた通信が出来る。制服着用時は胸部分に装着するが、指令を受けるのにも使用するので非任務時もポケットに入れるなどして常に携帯する必要がある。通信可能な時間範囲は設定上では前後14時間前後に限られるとなっているのだが、作中の描写ではリームが2016年からぼんに連絡している描写があり、正確な通信可能な時間範囲は不明。呼び出し音は「ビ、ビ、ビ」というブザー音で腹を壊したときの音に似ているらしく、呼び出し音を聞いた周りの人がぼんの健康を気遣って、彼が席を外すのを容認するくだりが複数回ある。#21「武蔵野の先人たち」ではぼんが本部に「あのねえブザーの音もう少しなんとかならないかしら」と伝える場面が描かれている。電池が切れると使えなくなる。
- 初出の雑誌掲載時は「タイムトランシーバー」「トランシーバー」の表記もあったが、単行本収録時に「タイムシーバー」に統一された。
- 『ドラえもん』にも同名の道具が登場するが、こちらはトランシーバー型で、未来の古道具屋「珍品堂」と交信できるのみとなっている(ドラえもんのひみつ道具 (たあ-たお)#タイムシーバーを参照)。
- フォゲッター
- リストバンド状の装置でT・P入隊者に最初に与えられる装備品。手首に装着して使用する。周囲の人間の大脳に働きかけ、T・P隊員を目撃した記憶だけを選択的に失わせる。起動したフォゲッターの効果範囲内にいる対象はその時点では記憶を失うことはないが、隊員からある程度距離を離れた時点で、T・P隊員に関する記憶が失われる。フォゲッターのスイッチを押していない時に隊員が目撃された場合はそれを忘れさせることはできない。また、写真など他の媒体に記録されたものには当然ながら効果がない。
- T・Pが活動中は、この装置を必ず起動させておく規則になっているが、任務達成に現地の人間の協力が必須な場合は、あえてフォゲッターのスイッチを押さないこともある(その場合は現地人に変装し、未来人だとバレないように振舞う必要がある)。ぼんやリームは「スイッチを押し忘れる」というドジを踏むことが頻繁にあり、そのおかげでトラブルに巻き込まれることも多い。この逆に「スイッチを切り忘れた」ため、協力を取り付けた現地人がその記憶をなくしてしまい任務達成の計画に狂いが生じたこともある。
- 腕輪上には起動スイッチの他に、年代等を表示するメーター(時空座標表示窓)が付いている。メーターの表示限度は下流(未来方向)3000年で、それ以上未来に移動すると表示できなくなる[28]。
- 生体コントローラー(せいたいコントローラー)
- 8mmフィルムカメラのような外観をした機器で、動物に電極を打ち込むことで自分の脳からの指令を相手の筋肉に伝え行動をコントロールする装置。動物を乗り物として利用したり、「困っている人を動物が助ける」という状況を演出するのに使われる[29]。機器自体は電極を打ち込むための道具でコントローラーの役割をするものではない。第2話でT・P隊員の装備品が解説されるくだりでは「生体ラジコン」と書かれているが、作品全般では「生体コントローラー」表記が多い。
- 『ドラえもん』にも、同様の効果を持つ「生物コントローラー」という道具が登場する。
- チェックカード
- 「安全カード」と呼ばれることもある。対象物にかざすと、歴史に影響を与える存在であれば光って知らせる。光の強さは対象の歴史に対する重要度で変化する。T・P隊員が本来の救助対象以外の人物を救助するとき、あるいは生体コントローラーなどで相手を利用するときは、このカードで相手が歴史上の影響がない存在かを確認しなければならない。カードに反応した相手には極力干渉してはならないとされている。#2「見ならいT・P」の装備一式一覧に初登場するが、実際に使用する場面が描かれたのは#10「バカンスは恐竜に乗って」で、それ以前は本部に問い合わせて確認していた。
- 『ドラえもん のび太の新恐竜』にも登場するが、映画版と小説版では設定に差異がある。映画版は本作と同様に対象物へかざすことで反応の有無を確認するが、小説版では対象物にかざさず事象に対し発光して反応を示す描写となっている(映画ドラえもんのひみつ道具#チェックカードを参照)。
- タイムコントローラー
- バトン状の機器でT・P装備品の中でも正隊員にならなければ支給されない。周囲の時間を遅くさせる「スローモーション」、逆に加速させる「コマ落とし」、一時停止させる「タイムロック」(限度は30分)、時間を逆転させる「巻き戻し」(最大5分前まで)などの操作を手軽に行うことができる。なお、これらのうち「巻き戻し」の機能はタイムボートでも使用可能だが、いずれでの使用も時空間にほころびを生じさせる原因となるため、気軽に使用することは推奨されないとされている。
- ホログラム
- 未来技術によって臨場感たっぷりに作られた立体映像を投射する装置。映像はT・P隊員の依頼に応じてT・P特撮部で作成される。「自動反応装置」によって、周りで起こった物理現象に自動で合わせる(ホログラムの怪物が、打ち込まれた矢に合わせて倒れる、など)こともできる。現場の文化圏で信仰されている神様の映像を使って、救助対象を助けるための「神託」を演出するという使い方が多いが、リームいわく、大抵の人間は「自分の信じたいことだけ信じる」ため、めったに効果はないとのこと。
- エイシャ錠(エイシャじょう)
- 老化を防ぐ薬。特定の時代に長期間とどまって仕事をするときに飲む。飲み過ぎると赤ん坊になる。
- ねむくならない薬(ねむくならないくすり)
- 夜間任務などの際に眠くならないように飲む薬。
- 同様の薬は『ドラえもん』にも登場する(ドラえもんのひみつ道具 (はあ-はと)#ハツラツンを参照)。
- ルーツ探知機(ルーツたんちき)
- 2つのプラグを1人1つずつ握ると、その2人の共通の祖先がわかる。任務で使用したのではなく、ぼんがT・Pカタログに載っていたのを興味本位で取り寄せた物。外観は任天堂のラブテスターに似ている。
- インスタントモデルハウス
- 住居を仮設するのに使用される。特殊なビニール製で出来ており、原寸大まで膨らますと材質が本物そっくりの質感で固まる。材質は経年劣化することがないため、使用後に分解処理しないと永久に残ることになる。
- 系類ガス(けいるいガス)
- T・Pの新発明。小さな球状の物体で、投げて当てると破裂してガスが出て、その煙を浴びた人同士はマインドコントロールされてお互いを肉親だと思い込む。(ただし相手からは若干不自然に思われる)。T・Pが任務中の時代の人物になりすます必要があるとき、現地で肉親を作るために使用される。ただし効果は両方に及ぶため、効き目が切れるまではT・Pの方もその人に対し家族への情を感じてしまう。
- 時空ガン(じくうガン)
- 追跡対象のタイムトリッパーに標識を打ち込むのに使用する。標識からはタキオン粒子が放射されているので、それをセンサーで探りながら自動追跡(オート)に設定したボートで追いかける。
- ショックガン
- 相手にショックを与える銃。出力を調整するダイヤルが付いている。弱いと相手に痛みを与えるだけで、強くすると相手を気絶させることができる。小道具として本物の拳銃を模した物もある。
- 注射器(ちゅうしゃき)
- ハンコ注射のような短い針が複数ついた注射器。現地人になりすますために一時的に色素を変質させる注射、一時的に仮死状態になるための注射、心肺停止を蘇生させる注射、即効性の抗生物質を投与して治す瞬間治療薬などがある。
- 透視ライト(とうしライト)
- 照らすことで障壁の先が透視できる懐中電灯。
- 多重情報カメラ(たじゅうじょうほうカメラ)
- 人物の骨格・血液型・毛髪・虹彩、物体の原材料・産地・品名など、解析することで様々な情報が得られる写真が撮れるカメラ。撮った写真はT・P本部の鑑識課で鑑識してもらう必要がある。
- 超空間センサー(ちょうくうかんセンサー)
- 対象物の情報をインプットすることで時間を超えて所在を追跡できるセンサー。
- 瞬間増毛剤(しゅんかんぞうもうざい)
- ふりかけると瞬間的に髪が伸びる。現地人に合わせて髪を伸ばす場合に使用する。
- ウエザリングマシン
- 周囲の気圧を調整して天候を変化させる装置。雨を降らせるだけの「人工降雨機」も存在する。
- ハンディタイムマシン
- 犯罪を犯したT・P隊員のジョン・デフォーが逃亡する際に使用。タイムボートを使わずに時間移動ができる以外の詳細は不明。
- ^ のちの藤子・F・不二雄
- ^ TPの間に中黒が入るのが正式な表記で作中もそれで統一されている。
- ^ 作中で主人公が住んでいる時代よりも未来へ行ったのは1回だけ(PART14、超空間の漂流者)であり、本作は基本的には過去の時代のみを舞台にする物語である
- ^ 第3部の25話~31話は隔月連載。
- ^ 「「ポコニャン」そして「T・Pぼん」のこと」『藤子・F・不二雄大全集 ポコニャン』解説:浮田信行(潮出版社取締役)(初版)、小学館(原著2011年10月25日)、356頁。ISBN 978-4091434746。
- ^ “Netflixシリーズ「T・Pぼん(タイムパトロールぼん)」2024年に独占配信決定!”. 2023年10月5日閲覧。
- ^ 第1部ではぼんが正隊員に昇格したことでリームとのコンビが解消されているが、第2部の途中で「T・Pは原則二人で行動すること」というルールが追加されている。
- ^ 場合によってはタイムマシンを使用した犯罪行為の回避・犯罪者の逮捕を行う場合もある。
- ^ 「ドラキュラの館」より。これによりT・P隊員自身が犠牲になった場合の救助も行えないものと思われる。
- ^ 装備品一式は単行本収録時に追加されている。初出では制服、ブーツ、ヘルメット、フォゲッター、タイムシーバーのみでユミ子の支給品と同等だった。
- ^ 生贄にされそうになった少女を助けたいとユミ子がばんに言った際、ぼんは「この世界の歴史は、積み上げられた不安定なブロック塀の上に立っているようなもので、その中の壊れたブロックを補修し入れ替えるのがタイムパトロールの仕事で、もし歴史に介入し壊れていないブロックまで動かしたら、この世界が滅茶苦茶になってしまう」とユミ子に説明している。
- ^ a b c d e f g “藤子・F・不二雄「T・Pぼん」2024年アニメ化 制作はボンズ、凡役は若山晃久”. ナターシャ (2023年10月4日). 2024年3月23日閲覧。
- ^ 日テレアニメ版では1988年。
- ^ #21「武蔵野の先人たち」より。
- ^ ぼんが腹いせに蹴った小石が通行人の頭に当たり、怒った通行人がぼんを追いかけていると、たまたま古井戸の跡に落ちていた子供を見つける。通行人に命を救われた子供は、その後成人してガンの根治法を発見する。治療により命を救われた政治家が第三次世界大戦を防ぎ、人類を絶滅から救う。すなわち、ぼんは非常に間接的にだが人類の未来を救うとされる。なおアニメ第1作ではこの経緯は省略されている。
- ^ 第2部でも、過去のぼんとの活動をぼんとユミ子が目撃する場面が2コマのみある。
- ^ 希望コミックス第1巻2話での設定。ぼんが住んでいる世界は第2巻2話で「昭和54年(1979年)」と語られているので、リームが住んでいる世界とは約37年差の計算になる。
- ^ 「OK牧場の近所の決闘」の回の圧縮学習で、ぼんが「僕なんか英語もね」と言っていることによる。
- ^ ただし、ブヨヨンによると、タイムボートのメンテナンスを怠ってよく故障させているらしく、地はややドジで面倒くさがり屋。いずれにしても使命感・責任感は強い性格として描かれている。
- ^ 「シンドバッド最後の航海」に「見てくれ、この金色の髪! シミ一つない白い肌!!」という奴隷商人の台詞があるが、色の感じ方、色を表す言葉、その日本語訳は文化や個人によって異なる。アニメ第1作では、漫画よりもやや茶色味が強い赤茶色で描かれている。
- ^ a b c d e f g “アニメ「T・Pぼん」キービジュと配信日解禁、追加キャストに宮野真守ら6人”. コミックナタリー. ナターシャ (2024年3月23日). 2024年3月23日閲覧。
- ^ リームと似たような容姿になるが、髪の長さはリームよりも短い
- ^ a b c #6「白竜のほえる山」でクラスの新年会の出し物を一緒に考えていたことによる。
- ^ 柳(やなぎ)となっている回も存在する。
- ^ 時間移動用と空間移動用。新型のボートは「タイムジャンプキー」のトリガーも付いている。
- ^ 新型のボートはフロントにメーター類が備わったコンソールがある。
- ^ 特定の時代の特定の場所の映像と音声を受信する場合などに使用。
- ^ 3000年以上未来に移動するとT・Pの管轄を外れるため本部との交信もできなくなる。T・Pぼんの未来の世界は地球を放棄して外宇宙に移住しているため地球は廃墟と化しているが、たまにタイムトリッパーが現れるため、未来のT・Pがパトロールしている。
- ^ 前述したようにフォゲッターは記憶は消せても記録や痕跡までは消せない。そのため、T・Pの隊員は自身の存在の秘匿のために「救助対象に対して隊員が直接干渉をせずに救助すること」が求められる。その手段の一つに「近場にいる動物を操って救助対象を助ける」ことがある。なお操る動物自体も未来の歴史に関係している可能性があるため、コントローラーを使う前にチェックカードで確かめる必要がある。
- ^ 「超空間の漂流者」にタイムトリッパーとして登場したアンブローズ・ビアスは、『ドラえもん のび太の日本誕生』では行方不明事件の実例として紹介されている。
- ^ 作中での呼称。1990年代頃以降の日本では一般的には「オスマン帝国軍」という呼称が用いられるようになった。
- ^ このうち「浦島太郎即日帰郷」は「アイランド・コミックスPrimo T・Pぼん」第3巻に収録され、残りの5話が同第5巻に収録された。それゆえ第5巻にのみ「幻の5話収録」の宣伝文が付いている(ここで言う「幻の5話」が、当時一度も単行本に収録されていなかったNo.6、8-11を指していないことに注意)。
- ^ ネクタイは紐状のものを使用している。
- ^ 実施的に名前を「安川ユミ子」に変更した白木陽子と言える。
- ^ 当時人気を博していたアパレルブランド「セーラーズ」の三浦静加がデザインを務めた。
- ^ a b c d e f g h i j k l “本編予告公開!Netflixシリーズ「T・Pぼん(タイムパトロールぼん)」5月2日配信開始!”. 藤子・F・不二雄生誕90周年を記念サイト (2024年4月16日). 2024年4月16日閲覧。
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