間接強制 間接強制の方法を採れない義務

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間接強制

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2019/03/22 02:14 UTC 版)

間接強制の方法を採れない義務

扶養義務等を除く金銭債務

金銭給付義務が養育費などの扶養義務である場合は、特例として間接強制の対象になることが認められているが(民事執行法167条の15)、その他の一般の金銭債務については間接強制の対象にはならず、直接強制の方法によることになる。

債務者の自発的意思によるべき場合

債務の性質上、債務者の自発的意思によらなければ履行ができない場合には、直接強制や代替執行が不可能なのはもちろんのこと、間接強制の方法により心理的圧迫をすることにより履行を強制すること自体が許されず、債務不履行による損害賠償を請求するほかない。この類型に該当する例としては、夫婦の同居義務(民法752条)がある。夫婦同居に関する処分は家事事件手続法別表第二に列挙される審判事項に該当し、家庭裁判所は審判により同居を命じることができるが、間接強制も含め強制執行はできないと解されている(判例)。また、請負契約に基づき芸術家が芸術作品を創作する義務を負った場合、芸術家である債務者の意思を圧迫して強制したのでは債務の本旨にかなった給付ができないとして、やはり間接強制はできないと解されている。

履行に第三者の協力が必要な場合

履行に第三者の協力が必要な場合などのように、履行に客観的な支障がある場合も履行が期待できず、損害賠償によるほかない。

意思表示擬制の場合

債務名義意思表示を命ずる場合は、当該義務は不代替的作為義務であるため、強制執行の方法としては間接強制によることになる。しかし、民事執行法では、不動産登記手続義務などの意思表示を命じる判決等が確定したときや裁判上の和解等が成立したときは、意思表示が条件に係っている場合等を除き、その確定又は成立の時に意思表示をしたものと擬制される(民事執行法174条1項)。つまり、確定又は成立の時に強制執行が終了していると観念され、債権者側の利益追行行為が残るのみにすぎない。したがって、証券への署名義務など法令上本人が行うことが要求されている場合を除き、間接強制の方法により強制執行をする必要がない。ただし、この点については、そもそも間接強制になじまないとする説明もある。




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