鉄十字 1914年章

鉄十字

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/03/25 18:36 UTC 版)

1914年章

パウル・フォン・ヒンデンブルク。喉元に大鉄十字章、左胸上部に2級鉄十字章、中程に大鉄十字章星章、下部に1級鉄十字章を佩用

ドイツが統一された後も、第一次世界大戦時には“プロイセン国王”ヴィルヘルム2世によりプロイセン王国の軍事功労賞として再度制定された [1]。「1914年章」として知られ、章の表面には王冠とヴィルヘルムの頭文字W及び制定年度の1914が刻印されている。

パウル・フォン・ヒンデンブルク元帥が星章を授与され、この星章は Hindenburgstern と呼ばれている。

1939年章

ドイツ帝国が崩壊した後、ナチ党政権になっても、第二次世界大戦が勃発するとアドルフ・ヒトラーが再度制定した。「1939年章」として知られ、章の表面には鉤十字と制定年度の1939が刻印されている。

上級将官が対象となる大鉄十字章と一般兵士にも広く授与される1級鉄十字章の間には大きな開きがあった。第一次世界大戦までは大鉄十字章と1級鉄十字章の間に位置する、将校を対象としたプール・ル・メリット勲章等の武功勲章が各領邦毎に制定されていたが、王制廃止に伴い廃止されていた。そのため、同様の位置づけの騎士鉄十字章 (Ritterkreuz des Eisernen Kreuzes) が制定された。但し、それらの勲章と違い、騎士鉄十字勲章は授与対象者に階級の制限はない。

戦争の長期化に伴って、騎士鉄十字章には上位の柏葉付騎士鉄十字章 (Ritterkreuz des Eisernen Kreuzes mit Eichenlaub)、柏葉・剣付騎士鉄十字章(Ritterkreuz des Eisernen Kreuzes mit Eichenlaub und Schwertern)、柏葉・剣・ダイヤモンド付騎士鉄十字章 (Ritterkreuz des Eisernen Kreuzes mit Eichenlaub, Schwertern und Brillanten)、金柏葉・剣・ダイヤモンド付騎士鉄十字章 (Ritterkreuz des Eisernen Kreuzes mit goldenem Eichenlaub, Schwertern und Brillanten) が制定された。金柏葉・剣・ダイヤモンド付騎士鉄十字章の受章者は12人と定められていたが、授与されたのはハンス・ウルリッヒ・ルーデル一人であった。

星章も制作されたが受章者はなく、戦後連合軍に接収され、ウェストポイント陸軍士官学校の戦争記念館に所蔵されている。

第二次世界大戦後

鉄十字。現在のドイツ連邦軍の主権紋章。

現在のドイツ連邦共和国においても鉄十字章は正式な勲章として佩用が認められている。但し、鉤十字マークの使用は民衆扇動罪適用の対象となるため、第二次大戦での受章者に対しては、1957年に鉤十字を柏葉に置き換えた勲章を改めて渡している。


  1. ^ ドイツ帝国では栄典制度の制定や叙勲の権限は各領邦にあり、「ドイツ帝国の勲章」というものは存在しない。従って、形式的にはプロイセン国王ヴィルヘルム2世が帝国諸邦の将兵にプロイセンの鉄十字勲章(或はプール・ル・メリット勲章)を授与したことになる[a]


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