過リン酸石灰 歴史

過リン酸石灰

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2023/06/02 02:04 UTC 版)

歴史

1840年化学肥料の父とも言われるリービッヒが従来肥料として使われていた骨粉に硫酸を作用させると肥料としての能力が増すことに気づく。なお、の主成分はリン酸カルシウム Ca3(PO4)2である。1841年には植物の成長にリンが必須であることを証明している。

ほぼ同時期、イギリスのギルバート (J.H.Gilbert) とローズ (J.B.Lawes) も植物の栽培実験により、土壌中の無機物が植物の生育に欠かせないことを示した。ローズは肥料の工業化を試み、早くも1843年にはリン鉱石に硫酸を加える肥料工場をロンドン近郊に建設した。

日本国内では1886年高峰譲吉がローズの設備を再現しようと試み、1888年から量産が始まっている。

成分

過リン酸石灰は純物質ではなく、第一リン酸カルシウム Ca(H2PO4)2·H2O と硫酸カルシウム(石膏) CaSO4 の混合物である。第一リン酸カルシウムの水に対する溶解度は1.8gである。

肥料として使われる場合は,全リン酸として16~20重量%、後ほど説明する水溶性リン酸を13%以上含んでいなければならない。硫酸カルシウムは60重量%程度含まれる。

製法

粉末状に粉砕したリン鉱石に硫酸を作用することで製造する。

生産量・消費量

第二次世界大戦以前は、リン酸肥料とは、ほぼ過リン酸石灰を指していた。しかしながら、その後、尿素リン安、リン硝安などに生産が移行し、過リン酸石灰の生産量は減少している。以下に2001年現在の総リン酸肥料の生産量を示す。全世界の生産量は3354万トンであった(以下、国連食糧農業機関の統計資料 FAO Production Yearbook 2002による)。

  1. アメリカ合衆国 - 22.8% 764万トン
  2. 中華人民共和国 - 22.2%
  3. インド - 11.5%
  4. ロシア - 7.2%
  5. ブラジル - 4.3%

全世界の消費量は、生産量と全く同じ数値である。日本国の消費量は第10位であり、全世界の消費量の1.5%を占める51万トンだった。

  1. 中華人民共和国 -26.9%
  2. インド - 13.3%
  3. アメリカ合衆国 - 12.7%
  4. ブラジル - 7.5%
  5. オーストラリア - 3.6%

最も重要な肥料は、窒素肥料、リン酸肥料、カリ肥料の3種類である。消費量の推移を計測すると、窒素肥料はほぼ右肩上がりで消費が伸びており、2001年時点で8000万トンを超えている。しかし、リン酸肥料とカリ肥料は横ばいである。リン酸肥料の全世界の消費量は1970年時点で2000万トン、1990年に4000万トン弱を記録し、これが最高値になっている。




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